報道発表資料

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2008年03月24日
  • 自然環境

種の保存法に基づく緊急指定種の指定について

 我が国に生息する昆虫の一種、「タカネルリクワガタ」を種の保存法に基づく緊急指定種に指定することとし、本日公示いたしましたので、お知らせいたします。
 指定期間は、2日後の平成20年3月26日から平成23年3月25日までの3か年です緊急指定種に指定されると個体の捕獲・殺傷、譲渡しなどの行為が規制されます。
 今回指定したタカネルリクワガタは、昨年の11月に、新種として記載されたクワガタムシ科の昆虫の一種で、体長は1cm程度、青緑色の金属光沢があるなど、色彩が美しいことが特徴です。
 今回、この種の希少性に加え、標本が売買されているとの情報を確認したことから、緊急的な規制の必要性を認め、緊急指定種に指定することとしたものです。
 これまで緊急指定種に指定された種は、平成6年12月に指定されたワシミミズク等3種で、今回のタカネルリクワガタが4種目です。

1.タカネルリクワガタについて

タカネルリクワガタ

分類
クワガタムシ科ルリクワガタ属の昆虫の一種
和名
タカネルリクワガタ
学名
Platycerus sue (プラテュケルス・スエ)
※2007年11月に記載された新種。
形態
体長は1cm程度。
オスは青緑、メスは銅の金属光沢があり、色彩が美しい。
生態
落葉広葉樹林に生息。広葉樹の軟腐朽材を食し、2~3年の生活環をもつ。
分布
これまでの調査から、我が国のある山系の非常に限られた地点にのみ分布しているものと推定されている。乱獲への懸念などから、現時点で、生息地は明らかにされていない。
緊急指定種に指定する理由
本種は、昨年の11月に記載された新種であるため、生息状況等の把握が現時点で十分ではないが、これまでの調査で、ある山系の非常に限られた地点でしか分布が確認されておらず、個体数もごく限られたものである可能性が高い。
加えて、ネットオークション上での標本の売買が確認されたため、緊急的な規制の必要性を認めたもの。

2.緊急指定種の概要

緊急指定種は、「絶滅のおそれのある野生動植物の種の保存に関する法律」第5条に基づき、環境大臣が指定するもの。
新種、初確認種(我が国に生息していることが初めて確認された種)、再発見種(絶滅したと思われていた種が見つかった場合)のうち、特にその保存を緊急に図る必要があると認められる種について、捕獲・殺傷、譲渡し、輸出入、陳列等を禁止する緊急的な措置
指定の期間は、3か年が限度となる。
これまで、緊急指定種に指定した種は、ワシミミズク、イリオモテボタル及びクメジマボタルの3種(平成6年12月指定)。
このうちワシミミズクは、平成9年11月に国内希少野生動植物種に指定されている。イリオモテボタル及びクメジマボタルは、指定後の調査で、
・生息域がかなり広いこと。
・現在の生息環境が安定していること。
などが明らかとなったため、国内希少野生動植物種への指定は、なされていない。
今回、緊急指定種に指定するタカネルリクワガタについても、指定期間中の3か年に生息状況の調査等を行い、国内希少野生動植物種への指定について、検討を行う予定。

<参考>

絶滅のおそれのある野生動植物の種の保存に関する法律(平成4年法律第75条)抄 (緊急指定種)

第五条
環境大臣は、国内希少野生動植物種及び国際希少野生動植物種以外の野生動植物の種の保存を特に緊急に図る必要があると認めるときは、その種を緊急指定種として指定することができる。
環境大臣は、前項の規定による指定(以下この条において「指定」という。)をしようとするときは、あらかじめ関係行政機関の長に協議しなければならない。
指定の期間は、三年を超えてはならない。
環境大臣は、指定をするときは、その旨及び指定に係る野生動植物の種を官報で公示しなければならない。
指定は、前項の規定による公示の日の翌々日からその効力を生ずる。
環境大臣は、指定の必要がなくなったと認めるときは、指定を解除しなければならない。
第二項、第四項及び第五項の規定は、前項の規定による指定の解除について準用する。この場合において、第五項中「前項の規定による公示の日の翌々日から」とあるのは、「第七項において準用する前項の規定による公示によって」と読み替えるものとする。
連絡先
環境省自然環境局野生生物課
課長:星野 一昭(6460)
課長補佐:西山 理行(6475)
係長:中島 治美(6469)
直通 (03)5521-8283