報道発表資料

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2008年03月07日
  • 大気環境

(株)島津製作所製窒素酸化物自動計測器に係る問題について(長期間並行測定に基づく検証結果)

 (株)島津製作所製の窒素酸化物自動計測器については、平成17年12月に光学フィルター未装着の問題が指摘され、環境省において、測定結果への影響等について検討を行ったところ、平成18年4月、「環境基準達成の判断に影響を及ぼした可能性と程度は必ずしも大きいとは考えられない」との結論が得られた。この結論は、緊急に実施した短期間の他社製計測器との並行測定の結果に基づくものであったため、環境省においては、平成18~19年度に、長期間の並行測定結果等に基づき更に詳細な検証を行ってきた。今般、その結果が取りまとめられ、平成18年4月の結論が再確認された。

1.背景

 平成17年12月に明らかになった(株)島津製作所製の窒素酸化物自動計測器(以下「島津製NOX計」という。)の光学フィルター未装着の問題については、環境省において、緊急に他社製NOx計との並行試験及び「環境大気測定機の信頼性評価検討会」(委員長:坂本和彦埼玉大学大学院教授)による検討を行い、その結果を平成18年4月に公表したところであるが、その概要は以下のとおりである。

  • 島津製NOX計の技術的問題が測定値に与えた影響については、「環境基準達成の判断に影響を及ぼした可能性と程度は必ずしも大きいものとは考えられない」と判断できること。
  • 個々の測定局の測定値については、干渉成分による影響を個別に補正することができないこと等から、基本的に参考値扱いとすること。
  • しかしながら、今回の並行測定が2週間という限られた期間であったこと、光学フィルター未装着以外の不具合が見られたことなどから、更なる検証が必要であること。

環境省では、この検討結果を受け、平成18年度及び19年度に、長期間並行測定(9局、約4か月~約14か月)等の調査結果に基づき「環境大気測定機の信頼性評価検討会」において検証を進めてきたものである。  なお、環境大気の常時監視に使用されている島津製NOX計については、平成18年7月までに、光学フィルターの装着及びその他の不具合の改修を終えている。

2.検証結果の概要

(1)
島津製NOx計は、NO2(二酸化窒素)の平均値で、他社製NOX計より0.0007~0.0045ppm(平均0.0024ppm)低めの値を示す傾向が確認された。
(2)
NO2の環境基準の評価に準じて日平均値の98%値を算出したところ、島津製NOX計は、他社製NOx計より0.001~0.005ppm低い値を示した。 これは、平成18年4月の試算結果(0.001~0.010ppm)よりも小さく、「環境基準達成の判断に影響を及ぼした可能性と程度は必ずしも大きいとは考えられない。」という結論を、より明確に支持するものであった。
(3)
全国及び地域単位のNO2の年平均値への影響については、平成18年4月の試算結果と同等であり、大きな影響がないことが再確認された。
(4)
個々の測定局における測定値については、平成18年4月の判断と同様、基本的に参考値扱いとすることが適当である。

「〔平成18・19年度〕環境大気測定機の信頼性評価検討会報告書」本体は、環境省ホームページをご覧ください。https://www.env.go.jp/air/osen/eamire_com/index.html

参考

(1)島津製既設機の問題の経緯

平成17年12月

  • 神奈川県から環境省に対し、平成8年以降に製造された島津製NOx計に欠陥(光学フィルターの装着なし)の疑いがあるとの情報提供
  • 環境省が神奈川県等のデータに基づき概略評価し、環境基準達成の判断に影響を及ぼした可能性と程度は必ずしも大きいものとは考えられないと判断(平成17年12月9日報道発表)

平成18年4月

  • 島津製NOx計と他社製NOx計との並行測定(9局、平成18年1~3月(約2週間))結果に基づく検証結果の取りまとめ(平成18年4月7日報道発表)

(2)島津製既設機の問題点

[1]光学フィルター未装着

 NO測定では硫黄化合物の干渉影響を大きく受け、測定値は高めになる。NOxでは、測定の過程で硫黄化合物の吸着や分解が生じるため干渉影響が小さくなり、測定値は影響を受けないか、少し高くなる程度である。NO2測定値は、NOx測定値からNO測定値を引いて求められるため、低めになる場合がある。

[2]除湿器、電磁弁、コンバータによる不具合

  • 除湿器の抵抗により測定ラインと校正ラインの流量に差が生じ、NO、NO2、NOX測定値が低めになる場合がある。
  • 測定機の流路切替のための電磁弁が磨耗することにより、測定値が影響を受ける場合がある。
  • 試料中のNO2をNOに変換するコンバータの劣化により、NO2、NOX測定値が低めになる場合がある。
連絡先
環境省水・大気環境局大気環境課
代表 03-3581-3351
課長:岩田 元一(内線6530)
補佐:宇田川弘康(内線6538)
担当:仙波 道則(内線6539)