報道発表資料

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2007年11月19日
  • 地球環境

インドネシアにおけるフロン破壊処理施設の稼働について

 オゾン層を破壊する物質に関するモントリオール議定書に基づき生産・消費が全廃されるCFC等のフロンについて、開発途上国において使用後の廃フロンの処理が課題となりつつある。
 環境省では、フロンの大気排出抑制を地球規模で推進する取組の一環として、インドネシアにおけるフロン破壊処理施設の整備について技術指導等の協力を行ってきた。
 今般、技術協力を行ったフロン破壊処理施設がインドネシア国内の第1号施設として完成したので、環境省担当官が同施設の現地確認を行い、フロンの受入が可能となっていることが確認できた。
 環境省においては、本事業の知見を踏まえ、他の開発途上国にもフロンの適正な破壊処理の普及に努め、地球規模でのオゾン層保護と地球温暖化防止に努めていくこととしている。

1.背景

 オゾン層を破壊する物質に関するモントリオール議定書に基づき、開発途上国では2010年までにCFC等の主要なオゾン層破壊物質の生産・消費を全廃することとされている。しかしながら、過去に生産されたオゾン層破壊物質の回収・破壊については同議定書上の義務にはなっておらず、現在、同議定書締約国会合等の場においても、不要となった廃フロンの処理に関する問題が議論されている。
 オゾン層を破壊し、また強力な温室効果を有するフロンの破壊処理は、地球環境保全上、極めて有効な対策であるため、我が国は、特定製品に係るフロン類の回収及び破壊の実施の確保等に関する法律(フロン回収・破壊法)、特定家庭用機器再商品化法(家電リサイクル法)及び使用済自動車の再資源化等に関する法律(自動車リサイクル法)に基づき、使用済み機器等からのフロン回収・破壊に先進的に取り組んでおり、フロンの破壊処理に関する制度的・技術的知見を蓄えている。
 これらを背景として、環境省では、2006年からインドネシアの環境省、民間企業及び我が国のフロン類破壊業者と協力し、インドネシア国内で廃フロンの破壊処理施設の整備に取り組んできた。 今般、そのフロン破壊処理施設がインドネシア国内の第1号施設として完成し、その現地確認を行ったものである。

2.インドネシア国のフロン破壊処理施設の概要

事業所の名称:
PT Holcim Indonesia Tbk. Narogong Plant
(ホルシム・インドネシア社 ナロゴン工場)
所在地:
Jl. Raya Narogong Km.7 Bogor 16820, Indonesia
破壊可能なフロンの種類:
CFC及びHCFC
フロンの破壊能力:
50~100kg/時
フロン破壊処理技術:
セメント焼成炉混入法方式
フロン破壊処理施設が完成した年月日:
2007年2月上旬
フロン破壊許可年月日:
2007年8月30日(試運転許可は2007年1月23日)
これまでの破壊実績:
CFC-11を9.18トン破壊処理
(CO2換算で4万トン強の温室効果ガスを削減)

3.フロン破壊処理施設の整備経緯と日本の協力

 環境省では、2005年度に、アジア地域における不要なオゾン層破壊物質の存在状況調査を実施し、インドネシア国においては、不要なオゾン層破壊物質の処理ニーズ(CFC-11/CFC-12の混合物1t、余剰となった1,1,1-トリクロロエタン74t及び汚染されたCFC-11 11t)が存在することを確認した。これを受け、インドネシア政府及び廃フロンの処理事業に積極的であった PT Holcim Indonesia Tbk.社と協議し、日本及びインドネシア間の協力事業を検討した。
 2006年度にインドネシア政府担当者及びHolcim社技術者を日本に招へいし、日本におけるフロン回収・破壊に関する法制度の説明及びフロン破壊処理施設の実地見学等を行った。以後、日本のフロン類破壊業者の協力のもと、Holcim社におけるフロン破壊処理施設整備のために必要な技術的・制度的助言、専門家の派遣等を行ってきた。  これによりフロン破壊処理施設は2007年2月に完成し、その後、試運転等を経て、8月30日にインドネシア政府がフロンの破壊処理を許可した。
 この11月16日に環境省担当官が同施設の現地確認を行い、フロンの受入が可能となっていることを確認した。

4.今後の対応

 環境省では、引き続きインドネシア政府に対して技術的・制度的知見の提供に努め、同国におけるフロンの適正な破壊処理を支援するとともに、本事業の知見を踏まえ、他の開発途上国へもフロンの破壊処理の普及に努めることとしている。また、モントリオール議定書締約国会合等の場において、フロンの破壊処理の重要性を提起し、世界全体の取組になるよう働きかけていくこととしている。

連絡先
環境省地球環境局(旧)環境保全対策課フロン等対策推進室
直通 03-5521-8329
室長 深見 正仁(内6750)
室長補佐 井上 貴志(内6751)
担当 吉崎 仁志(内6753)