報道発表資料

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1997年07月28日

カドミウム汚染地域住民健康影響調査検討会 中間報告 「神通川流域住民健康調査の今後のあり方について」

カドミウム汚染地域住民健康影響調査検討会は、今般、神通川流域のカドミウム汚染地域における今後の住民健康調査のあり方について中間報告をとりまとめた。
 今回提言された調査方法は、基本的には昭和51年に定められた住民健康調査方式に沿ったものであるが、主な変更点は、1 近年の検査技術の進歩等を踏まえ、効果的かつ効率的に調査を実施できるよう、調査項目等の見直しを行ったこと、2 神通川流域のカドミウム汚染地域住民の健康管理の推進を図るため、保健指導の方針等を定めたことである。
 環境庁は昭和54年度以降、富山県との協力の下で住民健康調査を実施してきたが、平成9年度からは、今回提言された方法により実施することとしている。
中間報告の概要
1.神通川流域住民健康調査の目的 神通川流域住民健康調査(以下「住民健康調査」という。)は、神通川流域のカドミウム汚染地域住民の健康管理の推進、近位尿細管機能異常の可逆性及び予後に関する調査研究等今後の環境保健対策に資することを目的とする。

2. 調査対象者
カドミウム摂取量減少対策の進展及び若年世代では検査値異常の割合が低いことを考慮して、昭和50年以前に汚染地域に20年以上居住していた者で、調査年に50歳以上のものを調査対象者とすることが適当である。
なお、カドミウム汚染地域住民にみられる近位尿細管機能異常の可逆性及び予後に関する調査研究を進める観点からは昭和54年度から昭和59年度に実施された住民健康調査の対象者に対する調査の重要度が高いため、上述の調査対象者のうちこれらの者について環境庁が調査を実施することが適当である。

3.調査項目及びスクリーニング゛基準(図1、図2)
近年の検査技術の進歩等を踏まえ、効果的かつ効率的に調査を実施できるよう、従来の4段階の検診方式を3段階とし、併せて調査項目等の見直しを行うことが適当である。

主な変更点は、従来の1次検診A及びBを統合し、1次検診で近位尿細管機能異常のスクリーニング゛検査である尿中β2-マイクログロブリン定量を行うこと等である。

4.検診結果の通知と保健指導
住民健康調査による検査値、所見等の検診結果は医師により総合判定をした上で、受診者本人に通知するとともに、結果に応じて適切な保健指導を実施することが適当である。また、1次検診でスクリーニング基準に該当しなかった者については5年後に、2次又は3次検診の対象となった者については1年後に、再度検診を実施するのが適当である。
なお、検診結果通知時に添付する受診者向け説明文、保健指導に当たる保健婦等の医療関係者向けの資料等の例を参考として示した(報告書参考3~6)。

5.今後の課題
カドミウム曝露による健康影響については、カドミウム汚染地域住民にみられる近位尿細管機能異常の可逆性及び予後等未だ解明されていない問題があり、また、骨代謝異常に関する知見の収集等、最近の検査技術の進歩を踏まえて今後さらに検討が必要な課題もある。
また、カドミウム曝露を受けていない一般の集団において加齢が近位尿細管機能を含めた腎機能に及ぼす影響や、カドミウム曝露を受けていない者においてみられる近位尿細管機能異常の病像・自然史について、引き続き知見を収集する必要がある。住民健康調査の方法については、今後ともこれら調査研究の成果及び新たな知見等を踏まえ、適時見直しを行う必要がある。

カドミウム汚染地域住民健康影響調査検討会

座長長澤 俊彦杏林大学医学部長
委員飯田 博行富山県立中央病院内科部長
(五十音順)石本 二見男東京慈恵会医科大学客員教授
黒川 清東海大学医学部長
柴崎 敏昭東京慈恵会医科大学臨床検査医学助教授
清水 弘之岐阜大学医学部公衆衛生学教授
副島 昭典杏林大学医学部第一内科学講師
田部井 薫自治医科大学腎臓内科学講師
中村 利孝産業医科大学整形外科学教授
中村 好一自治医科大学公衆衛生学助教授
吉川 靖三筑波大学名誉教授

*図1、2及び報告書参考3~6については、添付ファイル参照。

添付資料

連絡先
環境庁企画調整局環境保健部保健企画課保健業務室
室 長    岸田 修一 (6320)
 室長補佐  泉  陽子 (6322)