報道発表資料
国連砂漠化対処条約(UNCCD)第8回締約国会合(COP8)は、9月3日(月)から14日(金)まで、約190の締約国、国連諸機関、NGO等の参加を得て、マドリード(スペイン)において、開催された。我が国からは、吉川駐スペイン大使を団長とし、環境省、外務省等が出席した。
今次会合の主な成果は、第7回会合における決議に基づき政府間会期間ワーキンググループ(IIWG)が作成した十年戦略計画が採択されたこと、条約事務局とグローバル・メカニズムとの関係、条約実施レビュー委員会、科学技術委員会の枠組の改善等が採択されたことである。なお、2008,2009年の計画・予算については、最終的に期間中に合意に達せず、9月下旬以降国連本部(ニュー・ヨーク)で開催される国連総会の会期中に特別締約国会合を開催し、継続審議をすることとなった。なお、会合初日、本年6月19日に、ブルキナ・ファソの国会議員に選出されたことを理由に辞職したアルバ・ディアロ前事務局長の後任として、国連事務総長が、ベナンのル・マリー・ニャカジャ元環境大臣を次期事務局長として任命したことが報告された(任期は10月1日から2年間)。
1.期間
平成19年9月3日(月)から14日(金)
2.場所
マドリード(スペイン)
3.参加者
100以上の締約国、国連諸機関、NGO等
4.我が国からの参加者
我が国政府代表団として、駐スペイン吉川元偉日本国特命全権大使を団長に、環境省、外務省より担当者及び東京大学大学院武内和彦教授が出席した。
5.閣僚級会合
12,13日の両日、閣僚級会合が開催された。12日の午後には、11人の大臣、副大臣及び国連諸機関の代表者による円卓会議が開催され、砂漠化と気候変動の関係について議論を行い、13日には、17人の大臣、9人の副大臣、吉川駐スペイン大使を含む85人が発言を行い、炭素の蓄積と乾燥地域の生産性の増加に関係する特定の目標の設定、社会経済的費用の検討、科学技術協力の促進等の重要性を訴えるマドリード宣言を採択した。
6.補助機関会合
本条約の下には補助機関として締約国会合に対して科学技術的情報及び助言の提供を行う科学技術委員会(CST)及び条約の実施状況を定期的にレビューする条約実施レビュー委員会(CRIC)が設けられている。COP8と並行して、4日~7日に第8回科学技術委員会(CST8)が、5日~14日に第7回条約実施レビュー委員会(CRIC7)が開催された。これらの委員会での検討結果は締約国会合に報告され、決議に反映された。
7.主な成果
- (1)条約実施を強化するための十年戦略計画と枠組の決議
- IIWGにより原案が作成された十年戦略計画について、議論が行われ、COPにおいて、採択された。本戦略は、今後10年間の間にCOPに必要な目標を共有し、CRIC、CST、GM、地域調整部等の任務を明確化し、作業の方法を規定し、条約事務局の作業の優先順位を示すもの。
- (2)全ての地域おける条約実施の強化の決議
- 締約国・国際機関が条約事務局に提出する報告書の強化・標準化、被影響国の条約実施における全ての利害関係者の参加の促進、途上国・国際機関が国家行動計画に基づき実施・支援する能力開発は持続的な方法で実施等条約実施の強化を求める決議が採択された。
- (3)情報伝達手続き及び国別報告書の質と様式の改善の決議
- 締約国がCRICへ提出を求められている国別報告書の内容を改善するため、気候変動枠組条約、生物多様性条約における報告書との調和がとれた報告書の様式等を定める決議が採択された。
- (4)専門家グループ(GoE)の機能等のレビューとGoEメンバー更新のための手続き
- 今後のGoEについては、新たにCSTの下に5名からなる専門家グループ調整委員会(CIGE)を設置し、優先分野に関して、アドホック・ワーキンググループを設置し、研究、成果をCOP/CSTに報告することとなった。
- (5)十年戦略計画の勧告に従ったCSTの再編の決議
- IIWGの十年戦略計画の勧告に従い、今後のCSTの運営方法に関して、議論が行われ、関連研究機関と共同による研究成果発表会形式のものとすることが決定され、次回のCSTにおいては、テーマを「砂漠化・土地劣化の生物理学的・社会経済的モニタリング・アセスメント」とすることとなった。
- (6)今後の予定
- 本会合で採択できなかった2008,2009年の計画と予算について議論する特別会議を9月下旬以降、国連総会の期間中にニュー・ヨークで、CRIC7、CST9を平成20年10月20-29日にイスタンブール(トルコ)で、COP9を平成21年秋、ホスト国を申し出る国がない限り、条約事務局が所在するボン(ドイツ)で開催することが決定された。
8.我が国の取組の紹介
CST8において、COP5での決議で設置された専門家グループ(GoE)の活動の成果となる最終報告書の発表が行われ、9つのテーマのうちの1つ、「地球、地域、現場レベルでの砂漠化評価のための方法論に関する研究」について、我が国唯一のGoEメンバーである武内和彦教授が、環境省地球環境研究総合推進費による研究の成果を活用した発表を行い、砂漠化に対する科学面、技術面での貢献を行った。
また、今回の優先討議課題であった「気候変動と人為的活動が土地劣化に与える影響」に関して、モンゴルから日本の環境省の予算を活用した日・モンゴル共同研究の成果の紹介があった。
- 連絡先
- 環境省地球環境局(旧)環境保全対策課
直通:03-5521-8245
代表:03-3581-3351
課長:田中 聡志(6740)
課長補佐:服部 浩治(6744)
担当:仲埜 公平(6747)