報道発表資料

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1997年07月17日

全国星空継続観察:平成8年度冬期観察の結果及び平成9年度観察の実施計画

1. 全国星空継続観察(スターウォッチング・ネットワーク)は、身近な方法による星空観察を通じて大気環境への関心を高めていただくことを目的とし、昭和63年(1988年)から、環境庁と(財)日本環境協会が全国的に呼びかけて実施し
ています。
2. 平成8年度冬期(本年1月28日~2月10日)の観察結果は以下のとおりでした。
 (1) 参加者は年々増えており、今回の参加団体は45都道府県の345団体、参加人数は延べ5,197人でした。
 (2) 今回の実施期間中に参加団体が観察を行った場所の中で、夜空が星の観察に適していた場所は、鹿児島県菱刈町 、栃木県大田原市、鹿児島県加世田市などでした。
3. 次回の平成9年度夏期観察は、平成9年7月22日から8月4日までを観察期間といたします。具体的な観察日程や場所、今年度冬期観察を含めた参加方法等についてお知りになりたい方は、お住まいの都道府県・指定都市・中核市の大気保全担当課までお問い合わせ下さい。
4. 関連行事として、8月に「天の川観察報告」をホームページ上で実施します。
(アドレス:http://wnn.or.jp/wnn-u/)参加者からの報告を基に「天の川MAP」を作成・公開しますので、奮って御参加下さい。
1 全国星空継続観察の平成8年度冬期の観察結果
(1)観察期間:平成9年1月28日から2月10日まで(この期間中に1日以上観察)
(2)観察方法:{1}肉眼により、高度の異なる天の川の3部分を観察
{2}双眼鏡を用い、すばる(プレアデス星団)のラケットの部分を観察し、何等級の星まで見えたかを記録
{3}アルデバラン周辺の星空の写真撮影により、夜空の明るさを計測

 これらの3項目について参加団体から身近な場所における観察結果の報告を受け、(財)日本環境協会及びスターウォッチング研究会(座長 村山定男:国立科学博物館名誉館員)が集計・解析しました。

(3) 参加団体・参加者数:全国で44都道府県の345団体、延べ5,197人が参加しました。


  表1 毎年度冬期観察の参加団体・人数の推移
年度・時期 参加団体数(都道府県・市区町村) 参加延べ人数
昭和63年度・冬期 75団体(38・ 73) 1,556
平成元年度・冬期 166団体(39・146) 3,198
平成2年度・冬期 142団体(37・140) 2,774
平成3年度・冬期 179団体(39・157) 3,003
平成4年度・冬期 188団体(40・158) 2,831
平成5年度・冬期 250団体(43・194) 4,090
平成6年度・冬期 286団体(44・218) 4,108
平成7年度・冬期 291団体(45・265) 4,454
平成8年度・冬期 345団体(44・254) 5,197

(4)観察結果の概要

{1}双眼鏡によるすばるの観察結果

  表2 平成8年度冬期のすばるの平均観察等級の都市規模別比較
巨大都市
(人口
100万人以上)
大都市
(30万人以上
100万人未満)
中都市
(10万人以上
30万人未満)
小都市
(10万人未満)
7.4等級 7.6等級 7.7等級 8.7等級

  ☆ 観察相当個数:すばるのラケット形の中に見える星の個数
例:7等級まで見えると 8個  10等級まで見えると18個
  8等級まで見えると13個  11等級まで見えると20個
  9等級まで見えると16個

  ☆ 星の等級とは
 天体を地上で観測した時の明るさ(みかけの等級)として表した数字。等級は値が1減るごとに約2.5倍明るいことを示す。

{2}カラースライド写真から求めた夜空の明るさ
 夜空の明るさは、カメラ、露出時間等を一定条件にして撮影したカラースライド写真から、光の透過量を測定(測定機器:デンシトメーター)し、それを1平方秒角(地球の緯度・経度と同じように、角度1秒×1秒で切り取った場合の天球面の範囲)当たりの明るさとして等級で表したもの。星の等級と同様に数値が大きいほど夜空が暗く、星がよく見えるといえます。

  表3 平成8年度冬期の夜空の明るさの都市規模別比較
巨大都市
(人口
100万人以上)
大都市
(30万人以上
100万人未満)
中都市
(10万人以上
30万人未満)
小都市
(10万人未満)
17.9等級 17.8等級 18.8等級 20.7等級

  表4 平成8年度冬の観察から分かった、夜空が星の観測に適していた場所
順位 都道府県 市区町村 観察場所(参加団体) 夜空の明るさ(等級)

 
鹿児島県
 
ひしかりちょう
菱刈町
 
菱刈町立南永小学校
(南永小学校星の会)
22.4
 

 
栃木県
 
おおたわらし
大田原市
 
与一公園駐車場
(夢集団・星とロマンを語る会)
22.2
 

 
鹿児島県
 
かせだし
加世田市
 
加世田市鉄山地区構造改善センター
(加世田サイエンスクラブ)
22.0
 

 
宮崎県
 
たかざきちょう
高崎町
 
高崎町たちばな天文台広場
(高崎星を見る会)
22.0
 

 
鹿児島県
 
きほくちょう
輝北町
 
きほく上場公園
(輝北天球館)
22.0
 

 
北海道
 
りくべつちょう
陸別町
 
陸別町天体観測所
(陸別天体観測所)
21.9
 

 
宮崎県
 
みやざきし
宮崎市
 
椿山森林公園
(宮崎県天文協会)
21.9
 

 
熊本県
 
せいわそん
清和村
 
清和高原天文台
(清和高原天文台)
21.8
 

 
熊本県
 
りゅうがたけまち
龍ヶ岳町
 
ミューイ天文台屋上
(龍ヶ岳町)
21.8
 
10
 
佐賀県
 
いまりし
伊万里市
 
深山運動公園
(伊万里市)
21.8
 
注1) この表は、写真撮影から求めた夜空の明るさを基本とし、総合的な評価により順位づけを行っています。
注2) この調査は、スターウォッチング・ネットワークに自発的に参加して下さった団体により任意の地点で実施されており、全国の星空を網羅的に調査したものではありません。


2 全国星空継続観察の平成9年度夏期観察の実施計画
(1)観察期間:平成9年7月22日(火)から8月4日(月)まで

(2)観察方法:従来と同様、{1}肉眼による天の川の観察、{2}双眼鏡による"こと座"の観察、{3}"こと座周辺"の写真撮影、の3つの方法により行います。

(3)参加団体数:参加申込団体数は、6月現在、約550団体。参加を希望される場合は、お早めに都道府県・政令市の大気保全担当課(別添一覧表参照)までお問い合わせ下さい。

<参考>平成9年度冬期の全国星空継続観察は、平成10年1月18日(日)~1月31日(土)に実施する予定です。

添付資料

連絡先
環境庁大気保全局企画課大気生活環境室
室  長:竹内恒夫(内線6540)
 室長補佐:宍戸政憲(内線6541)
 担  当:西尾達司(内線6545)