報道発表資料

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1997年07月11日

総合的環境指標検討会試案の公表について

環境基本計画(平成6年12月閣議決定)において、同計画の長期的な目標に関する総合的な指標又は指標群の開発を政府において早急に進め、同計画の実行・見直し等に活かすこととされたことを受けて、平成7年11月より、総合的環境指標検討会(環境庁企画調整局長が参集を求めた学識経験者で構成。座長:天野明弘関西学院大学総合政策学部長)では、総合的環境指標の開発に係る検討が進められてきたが、今般、その中間段階の試案が取りまとめられた。
 同検討会では、今回の試案について、公表後、8月22日までの期間で意見を公募し、各方面から寄せられた意見等を受けて、再検討の上、本年度末を目途に、検討会としての成案を取りまとめる予定である。
[1] 総合的環境指標について

 環境指標については、政策決定者や市民が、環境に係る状況が望ましい方向に向かっているかどうかを知り、現行の政策や取組が十分なものかどうかを判断することが可能となるよう、これまでも、国内外において、その開発に向けた取組がなされてきた。
 しかしながら、我が国では政府レベルの総合的な指標が開発されていなかったことから、平成6年12月に閣議決定された環境基本計画において、同計画が掲げる4つの長期的目標の達成に向けた施策の効果的な実施を図るため、これらの目標の達成状況や目標と施策との関係等を具体的に示す総合的な指標あるいは指標群の開発を政府において早急に進め、その成果を得て、環境基本計画の実行(点検)・見直し等の中で活かしていく旨記載されたものである。

  *4つの長期的目標:「循環」「共生」「参加」「国際的取組」

[2] これまでの検討経緯

 環境庁においては、総合的環境指標の開発に係る調査・検討を進めることを目的として、平成7年11月より、企画調整局長が参集を求めた学識経験者で構成される「総合的環境指標検討会」を設置し、計7回の検討会を開催し、国内外の取組の動向の把握、総合的環境指標の概念の明確化のための検討等を進め、このたび、同検討会における中間段階の案である総合的環境指標試案が取りまとめられたところである。

[3] 総合的環境指標試案の概要

  環境基本計画における4つの長期的目標ごとに、それぞれの目標の達成状況等を示 す複数の指標群試案の開発を目指した。
  なお、今回の試案では、データの未整備等から、指標化が図られなかった項目・分 野があるとともに、指標化されたものの中にもデータの不足等により現段階では数値化できないものもあるが、今後とも、指標の開発に向けてデータの整備、充実を図っていく。

 1 循環指標


   環境への負荷の低減の度合いを示す指標群試案の開発を試みるとともに、あわせて、環境への負荷の増大原因たる大量生産・大量消費・大量廃棄の度合いも捉えられるよう、我が国の経済社会システムにおける物質循環の確保の度合いを示す指標群試案の開発も試みた。

  (1) 経済社会システムにおける物質循環の確保の度合いを示す指標群
   {1} 物質のフロー量に着目した指標群
    ○総物質投入量
    ○総廃棄物発生量 等
   {2} エネルギーのフロー量に着目した指標群
    ○一次エネルギー国内供給量
    ○最終エネルギー消費量  等
   {3} 健全な水循環の確保に着目した指標群
    ○自然循環指標
    ○人為循環指標

  (2) 環境への負荷の低減の度合いを示す指標群
    環境基本計画の政策課題ごとに(地球温暖化、オゾン層破壊等15項目)、
    ・環境への負荷  (D指標:Driving force)
    ・環境の質    (S指標:State)
    ・それに応じた対応(R指標:Response)
    に着目した指標群の開発を目指した(DSRフレームワークの活用)。
    ○地球温暖化負荷総合指標等(地球温暖化・D指標)
    ○オゾン層破壊負荷総合指標(オゾン層破壊・D指標)
    ○SOx排出量・NOx排出量(酸性雨・D指標)   等

 2 共生指標

  (1) 自然環境の特性に着目した指標群
    DSRフレームワークを活用しているが、当面はS指標を中心に代表的な指標群試案の選択や集約化を試みることとした。また、環境基本計画の地域区分(山地自然地域、里地自然地域、平地自然地域)毎に数値を経年比較できるような指標群試案の開発を目指した。
    ○自然連結性指標(S指標)  等
  (2) 自然と人間とのふれあいに着目した指標群
    ふれあい活動量の実態を示す「実態指標」を主とし、補完的なものとして、ふれあいの可能性を示す「ポテンシャル指標」の開発を目指した。
    ○ふれあい活動量指標(実態指標)
    ○ふれあい自然の場指標等(ポテンシャル指標)
 3 参加指標
   国、地方公共団体、事業者、国民、民間団体の各主体の取組に着目した指標群

 4 国際的取組指標
  (1) 地球環境保全に関する政策の国際的連携の確保に着目した指標群
  (2) 開発途上地域等への支援に着目した指標群

[4] 総合的環境指標試案の意義・特徴

 1 環境基本計画の要請の充足 今回の試案に基づく指標群試案により、環境基本計画の長期的目標の達成状況について、客観性を担保しつつ、より具体的・定量的に示すことが可能となる。

 2 国際的な取組状況を踏まえた指標化
  ・循環分野等では、国連持続可能な開発委員会(CSD)で検討が進められているDSRフレームワークを可能な限り活用。
  ・循環分野では、独・日・米・蘭の4か国の共同研究の成果を応用し、大量の物質のフローに警告を発するような指標群試案(総物質投入量等)を提示。

 3 D(環境への負荷)指標の重点的な開発
   循環分野では、これまで環境への負荷の状況が必ずしも十分明らかとなっていないことから、どの分野の環境負荷低減が進んでいるか等を明らかにするため、D指標の重点的な開発を試みた。

 4 共生分野での指標化
   循環分野に比べ、数量化がなじみにくく、国際的にも指標の開発が遅れている中で、自然連結性指標等、可能な限りの指標化を試みた。

[5] 今後の予定
  公表後、8月22日(金)までの期間で、意見を公募することとし、各方面からの意見等を受けて、改良に向けて再検討を行い、本年度末を目途に検討会としての成案を取りまとめる予定である。
  その後は、中央環境審議会における審議等を経て、平成10年度以降に行われる環境基本計画の点検や見直し等に活用される予定である。

[6] 意見のあて先
  総合的環境指標試案に関する御意見は、住所、氏名、年齢、性別、職業、意見要旨を書面にご記入され、郵送、FAX又は電子メール(郵送、FAXの場合はA4版)にて、8月22日(金)(郵送の場合も同日必着)までに下記あてにお送り下さい。
  なお、意見の様式は問いませんが、試案のどの部分に関するご意見かを明記して下さい。
  〒100 東京都千代田区霞が関1-2-2
       環境庁企画調整局環境計画課
       電話 03-3581-3351(内線6222,6226)
       FAX  03-3581-5951
       電子メール shihyo@eanet.go.jp
連絡先
環境庁企画調整局環境計画課総合的環境指標検討会事務局
課 長 一方井 誠治(6220)
 計画官 今田  長英(6227)
 補 佐  岸  毅明(6282)