報道発表資料

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1997年07月11日

港湾審議会第163回計画部会について

運輸省において、平成9年7月11日(金)午後1時30分より、港湾審議会第163回計画部会が開催され、小樽港をはじめ7港湾の港湾計画の改訂等について審議がなされる。当庁は、当該審議会の委員として、環境保全の観点から意見を述べることとしている。
<上程案件>
【港湾計画】
港 湾 名 種  別 都 道 府
県 名
将来取扱貨物量
(目標年次)
 主な改訂等の内容
小樽港 改  訂 北海道 3,850万トン
(平成10年代 後半)
公共ふ頭の再開発、フェリー・ 旅客ふ頭、泊地、小型船だま り、臨港道路等の整備
船川港 改  訂 秋田県   150万トン
(平成20年代 前半)
公共ふ頭、旅客ふ頭、航路・泊 地小型船だまり、臨港道路等の 整備
小木港 改  訂 新潟県   210万トン
(平成20年代 前半)
公共ふ頭、フェリー・旅客ふ 頭、航路・泊地、防波堤、小型 船だまり、臨港道路等の整備
尼崎西宮
芦屋港
改  訂 兵庫県 2,880万トン
(平成10年代 後半)
公共ふ頭、旅客ふ頭、泊地、緑 地、都市機能用地等の整備
鳥取港 改  訂 鳥取県   160万トン
(平成10年代 後半)
航路、防波堤、小型船だまり等 の整備
苅田港 改  訂 福岡県 3,970万トン
(平成20年代 前半)
公共ふ頭、泊地、廃棄物処分用 地、臨港道路、緑地等の整備
細島港 改  訂 宮崎県   840万トン
(平成20年代 前半)
公共ふ頭、防波堤、小型船だま り、臨港道路、海浜等の整備
函館港 軽微変更 北海道   フェリーふ頭の整備
神戸港 軽微変更 兵庫県   被災ふ頭等の整備
広島港 軽微変更 広島県   大規模地震対策施設の整備
那覇港 軽微変更 沖縄県   小型船だまりの整備

<環境庁意見>

○ 小樽港
 本港の背後地においては、現況・将来とも道路交通騒音に係る環境基準を満足していない点が見られ、港湾関連交通もその一因となっている。また、自動車NOx排出量の大幅な増加も予測されているところである。
 このことから、港湾管理者におかれては、共同輸配送の推進等により港湾関連交通の発生量軽減に努めるとともに、予測の前提となっている道路網の整備促進を関係機関に要請することにより交通流の分散を図るなど、道路環境保全対策に努められたい。

○ 尼崎西宮芦屋港
1.本港は、瀬戸内海の環境の保全を図ることを目的とした瀬戸内海環境保全特別 措置法に定める瀬戸内海に位置することから、特に本計画にある緑地の具体化にあたっては、親水性、生物生息空間等の確保について配慮されたい。

2.本港の周辺地域においては、道路交通に伴う著しい大気汚染、騒音等の問題が生じている。特に国道43号線及び阪神高速道路神戸線の沿道においては、すべての測定地点において、二酸化窒素の環境基準並びに道路交通騒音の環境基準及び要請限度が満たされておらず、更に、平成7年7月の「国道43号線・阪神高速道路騒音排気ガス規制等訴訟」の最高裁判決に見られるとおり、これら道路の交通総量の削減は、本問題の根本的な解決のための喫緊の課題である。
  このため、港湾管理者におかれても、計画年次における本港の港湾活動全体が周辺道路沿道に与える影響について物流・人流の流動特性の定量的な把握を行い、その環境影響を極力削減するため積極的な対応の検討を行うとともに、関係機関との協力のもと、本港に起因する港湾関連交通の削減及び阪神高速道路湾岸線への誘導等、道路交通公害の低減に最大限努力されたい。

○ 鳥取港
 本港の背後地においては、現況で道路交通騒音に係る環境基準を満足していない点がみられ、将来、取扱貨物量の大幅な増加に伴う港湾関連交通の増加が見込まれることから、港湾管理者におかれては、関係機関と協力しつつ、物流の合理化等の港湾関連交通の発生量軽減方策について検討を行うなど道路環境保全対策に努められたい。

○ 苅田港
1.本計画は、埋立てを厳に抑制すべきとされる瀬戸内海において、廃棄物処理用地として新たに埋立地を位置付けるものであることから、港湾管理者におかれては、埋立事業の実施にあたって、次の事項に十分配慮されたい。
 {1} 廃棄物の受け入れに際しては有効利用等による減量化が図られること。
 {2} 廃棄物処理場からの浸出水による新たな水質汚濁が生じることがないよう、水質汚濁防止対策を十分講じること。
 {3} 当該海域の生物生息空間、自浄能力の確保等の観点から、海域環境改善に資する護岸構造の導入等について検討すること。

2.本港湾区域を含む周防灘は閉鎖性海域で富栄養化の進行が懸念され、平成9年4月に全窒素及び全燐に係る環境基準の類型指定がされている他、将来は流入する窒素負荷量の増大が予測されていることから、港湾管理者におかれては、今回計画の松山地区の埋立事業の実施に当たっては、CODのみならず、窒素、燐を含めて定量的な水質予測を実施し、その結果を事業実施に反映されたい。
  さらに、港湾区域の水質保全の観点から、下水処理場への高度処理の導入を関係機関に要請する等、当該海域への流入汚濁負荷量の低減に努められたい。

3.本港の背後地を通る苅田臨海工業線は、一部で第一種住居地域を通過し、将来、全時間帯にわたり道路交通騒音に係る環境基準を超過することが予測されており、港湾関連交通もその一因となっている。
  このことから、港湾管理者におかれては、必要に応じて、防音対策等の実施を関係機関に要請するとともに、公共交通機関等の導入、物流の合理化等の港湾関連交通の発生量軽減方策について検討を行うなど道路環境保全対策に努められたい。

○ 細島港
 本港の背後地においては、道路交通騒音に係る環境基準を満足しない点が将来増加することが予測され、港湾関連交通もその一因となっている。
 このことから、港湾管理者におかれては、公共交通機関等の導入、物流の合理化等の港湾関連交通の発生量軽減方策について検討を行うなど道路環境保全対策に努められたい。

○ 船川港、小木港、函館港、神戸港、広島港、那覇港
 意見なし
連絡先
環境庁企画調整局環境影響評価課環境影響審査室
室 長:寺田 達志(6231)
 審査官:関根 達郎(6236)