報道発表資料

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1997年07月04日

「環境に係る税・課徴金等の経済的手法研究会」最終報告書 地球温暖化を念頭に置いた環境税のオプションについて

「環境に係る税・課徴金等の経済的手法研究会」(座長:石 弘光 一橋大学経済学部教授)は、平成6年8月以来、環境基本法、環境基本計画に位置付けられた経済的手法について、環境に係る税や課徴金を中心に調査研究と検討を重ねてきたが、今般、同研究会の最終報告書として「地球温暖化を念頭に置いた環境税のオプションについて」を取りまとめた。
 同報告書は、諸外国における地球温暖化防止を主な目的とする環境税(炭素税又は炭素・エネルギー税)の最新の状況と効果について紹介するとともに、地球温暖化対策としてなぜ税が必要かを明らかにしている。その上で、我が国へ導入すべきであると考えられる炭素税又は炭素・エネルギー税について、その具体的設計と影響を考察し、導入可能な炭素税の具体的なオプション案を提示している。    
 今後の課題としては、炭素税等の経済的手法に関する議論の一層の進展を期すために、産業界等を交えた幅広い視野からの検討や意見交換が必要であるとしており、環境庁としては、この報告を各界各層に積極的に提供し、議論の進展を図っていくこととしている。
1.環境に係る税・課徴金等の経済的手法研究会

同研究会は、平成6年8月、企画調整局長の委嘱により発足し、これまで23回にわたって、内外の研究成果や実際の政策等を参考に、経済的手法の環境保全上の効果、我が国の経済に与える影響等の論点を中心に幅広い研究を進めてきた。その間、産業界、地方公共団体、消費者団体、NGOから経済的手法に関する意見をヒアリングし、その意見の概要を取りまとめ公表したほか、平成7年11月には「地球温暖化問題を考えるー経済的手法の役割ー」と題したシンポジウムを開催するなど、経済的手法の意義と課題について、国民の理解が深められるような活動も行ってきた。
 平成8年6月には、第1次報告として、「環境政策における税・課徴金等の経済的手法の活用について」をとりまとめた。この中では、{1}経済的手法に関する基本的な考え方について考察するとともに、{2}経済的手法のうち最も多く活用されている環境に係る税・課徴金に関して、本研究会の前身である環境税研究会の中間まとめ(平成6年4月)に示された基本的な論点に沿って考え方をまとめた。

2.最終報告書の概要

 本年12月に、「気候変動に関する国際連合枠組条約」の第3回締約国会議(COP3)が京都において開催される。この会議では、2000年以降に先進国が講ずべき対策を定める議定書等を採択することが期待されており、我々人類の将来を左右すると言っても過言ではない重要な会議となるものである。この会議のホスト国となる我が国としては、地球温暖化防止のための取組を更に強化しつつ、この会議をむかえ、会議の成果を極力実りあるものとしなければならない。
 以上の状況を踏まえて、本研究会においても、これまでの研究成果を踏まえ、環境税などの経済的手法の活用について、特に地球温暖化の防止を念頭に置いて、具体的な提案をすることとした。
 このため、本報告書ではまず、諸外国における地球温暖化防止を主な目的とする環境税の最新の状況と効果について紹介するとともに、地球温暖化対策としてなぜ税が必要かを明らかにした。その上で、我が国へ導入すべきであると考えられる炭素税又は炭素・エネルギー税について、その具体的設計と影響を考察し、更に導入可能な炭素税の具体的なオプション案を提示した。
 環境税、とりわけ地球温暖化防止のための税の導入の是非については、各方面からの関心を次第に呼んできてはいるが、広い分野にわたる様々な関係者の間での共通の土台に立った本格的な議論は、残念ながら行われていないのが現状である。今後、議論の一層の進展を期すためには、産業界等を交えた幅広い視野からの検討や意見交換が必要であり、本報告書が、その議論におけるいわばたたき台として活用され、経済的手法についての国民の理解が一層深められることを期待する、としている。

添付資料

連絡先
環境庁企画調整局企画調整課
課長:増井 喜一郎(6210)

環境庁企画調整局企画調整課調査企画室
室長:柴垣 泰介(6250)
 補佐:廣木 雅史(6251)
 担当:松本 博行(6252)