報道発表資料

この記事を印刷
2007年06月28日
  • 再生循環

一般廃棄物会計基準、一般廃棄物処理有料化の手引き及び市町村における循環型社会づくりに向けた一般廃棄物処理システムの指針の策定について

 環境省では、「一般廃棄物会計基準」、「一般廃棄物処理有料化の手引き」及び「市町村における循環型社会づくりに向けた一般廃棄物処理システムの指針」を策定しました。これは、平成17年5月の廃棄物の処理及び清掃に関する法律第5条の2第1項に基づく廃棄物処理法の改正を受け、一般廃棄物の処理に関する事業のコスト分析手法や有料化の進め方並びに一般廃棄物の標準的な分別収集区分及び適正な循環的利用や適正処分の考え方を示すこと等を目的として策定したものです。
   今後、環境省では、これらを各地方公共団体に配布し、普及を進めることで、循環型社会の形成に向け、3Rに重点を置いた最適なリサイクル・処理システムの構築を図っていくこととしています。

1.背景

 廃棄物・リサイクル行政及び市町村の一般廃棄物処理事業の目的は、これまでの公衆衛生の向上や公害問題の解決という段階をさらに進め、循環型社会の形成を目指すものとなってきています。
 このような背景のもと、平成17年2月に中央環境審議会は「循環型社会の形成に向けた市町村による一般廃棄物処理の在り方について」を意見具申し、これを踏まえ、環境省において、平成17年5月に廃棄物の処理及び清掃に関する法律(昭和45年法律第137号。以下「法」という。)第5条の2第1項の規定に基づく「廃棄物の減量その他その適正な処理に関する施策の総合的かつ計画的な推進を図るための基本的な方針(以下「基本方針」という。)が改正されました。
 基本方針では、市町村の役割として、下記のような事項が明記されています。

  • 一般廃棄物の処理に関する事業に係るコストの分析及び情報提供を行い、分析の結果を様々な角度から検討すること等により、社会経済的に効率的な事業となるよう努めるものとする。
  • 経済的インセンティブを活用した一般廃棄物の排出抑制や再生利用の推進、排出量に応じた負担の公平化及び住民の意識改革を進めるため、一般廃棄物処理の有料化の推進を図るべきである。
  • 分別収集区分や処理方法といった一般廃棄物処理システムの変更や新規導入を図る際に、変更や新規導入の必要性と環境負荷面、経済面等に係る利点を、住民や事業者に対して明確に説明するよう努めるものとする。

 一方、国の役割としては、市町村及び都道府県が行う、その区域内における廃棄物の減量その他その適正な処理の確保のための取組が円滑に実施できるよう、一般廃棄物の処理に関する事業のコスト分析手法や有料化の進め方並びに一般廃棄物の標準的な分別収集区分及び適正な循環的利用や適正処分の考え方を示すことなどを通じて技術的な支援に努めることとされています。
 環境省では、基本方針の規定を踏まえ、市町村等が行う廃棄物の減量その他その適正な処理の確保のための取組が円滑に実施できるよう、技術的な支援を行うことを目的として、「一般廃棄物会計基準」、「一般廃棄物処理有料化の手引き」及び「市町村における循環型社会づくりに向けた一般廃棄物処理システムの指針」について検討をしてきたところですが、今般これらを取りまとめて公表することとなりました。

2.一般廃棄物会計基準等の概要

(1)一般廃棄物会計基準

 「一般廃棄物会計基準」は、市町村が一般廃棄物会計の導入を進めていくために、費用分析の対象となる費目の定義や共通経費等の配賦方法、減価償却方法等について標準的な分析手法を定めるものであり、これにより市町村や一部事務組合が行う一般廃棄物の処理に関する事業に係る会計について客観的に把握することが可能となることを目指している。これにより市町村において、自らの事業のどの部門にどれだけ費用がかかっているか、事業用資産の価値はどうか、事業収入はどうなっているか等を把握し、原価資産等について納税者である住民に対する説明責任を果たすことができ、かつ市町村が類似団体と比較して、費用対効果の優れた事業への改善を図ることができるようにするものである。
 「一般廃棄物会計基準」では以下のとおり財務書類の作成方法を示している。

○ 一般廃棄物の処理に関する事業に係る原価計算書
市町村等が行う一般廃棄物の収集運搬・中間処理・最終処分について、一年間に要した費用及び得られた収益より、廃棄物種ごとに単位重量当たりの費用を示すもので、一般廃棄物の処理に関する事業に係る施策の判断材料や他の市町村等との費用の比較評価等に役立てることができるもの。
○ 一般廃棄物の処理に関する事業に係る行政コスト計算書
市町村等が行う一般廃棄物の収集運搬・中間処理・最終処分の他、その他の一般廃棄物の処理に関する事業・施策(地元還元事業など)について、一年間に要した費用及び得られた収益を表したもので、一般廃棄物の処理に関する施策について、その効率性を検証するための情報として役立てることができるもの。
○ 一般廃棄物の処理に関する事業に係る資産・負債一覧
一般廃棄物の処理に関する事業にかかる資産及び負債の状況を整理して表したもので、事業に係る資産を把握し管理することで、資産の有効活用を図る他、資産の更新や修繕の計画的な実施を図る際に役立てることができるもの。

(2)一般廃棄物処理有料化の手引き

 「一般廃棄物処理有料化の手引き」は、有料化の制度設計の考え方、導入に伴う課題等について参考となる情報を示すことにより、市町村による一般廃棄物処理の有料化に向けた取組を支援することを目指している。具体的には、以下のような内容について考え方を示している。

○ 有料化の仕組み作り
料金体系、料金水準、手数料徴収方法、手数料の使途と運用について
○ 有料化の導入、運用
円滑な導入に向けた住民や事業者等関係者との連携等について
○ 有料化制度の評価及び見直し
制度の評価と見直しの方法について

(3)市町村における循環型社会づくりに向けた一般廃棄物処理システムの指針

 市町村が分別収集区分や処理方法等の一般廃棄物処理システムの変更や新規導入を図る際には、変更や新規導入の必要性と環境負荷面、経済面等に係る利点を、住民や事業者に対して明確に説明することが求められる。
 このようなことから、「市町村における循環型社会づくりに向けた一般廃棄物処理システムの指針」は、分別収集・リサイクル・エネルギー回収・最終処分等からなる、一般廃棄物処理の標準的な分別収集区分及び適正な循環的利用や適正処分の考え方や、一般廃棄物の処理に関する事業の効果(資源回収、エネルギー回収、最終処分量減量、二酸化炭素削減、住民サービス水準の向上、地域経済への貢献等)とそれを表現する指標等評価の考え方を内容とする。また、循環型社会形成に向けた一般廃棄物処理システム構築のため、市町村が定める一般廃棄物処理計画へ処理システムを位置づけ、定期的に評価及び見直しを行うための考え方も示している。
 これにより、循環型社会構築に向け、市町村の地域条件に応じた適切な一般廃棄物処理システムへの見直し等が円滑に行えるよう市町村を支援することを目指している。

【参考】
市町村の一般廃棄物処理事業の3R化のための支援ツール
https://www.env.go.jp/recycle/waste/tool_gwd3r/

連絡先
環境省大臣官房廃棄物・リサイクル対策部廃棄物対策課
代表:03-3581-3351
 直通:03-5501-3154
 課長:関 荘一郎(内線6841)
 課長補佐:高橋 一彰(内線6857)
 担当:鈴木あや子(内線6857)