報道発表資料
南極地域で観測や観光等の活動を行う場合には、南極地域の環境の保護に関する法律(平成9年法律第61号)に基づき、活動計画について事前に環境大臣の確認を受ける必要があり、特に南極特別保護地区(※1)に指定されている場所での活動を行うに当たっては、南極地域の環境の保護に関する法律施行規則(平成9年総令第53号)に定める各南極特別保護地区ごとの要件を満たすことが求められています。また、南極史跡記念物(※2)については除去や損傷等することが禁止されています。
去る4月下旬から5月上旬にかけてインド・ニューデリーで開催された南極条約協議国会議において、第9及び第29南極特別保護地区内での活動の許可条件等を定める管理計画の一部改正及び南極史跡記念物の追加(1箇所)について採択されたことから、国内法制度上これに対応するため、環境省においては、南極地域の環境の保護に関する法律施行規則の一部を改正することを検討しています。
本件について広く国民の皆様から御意見を募集するため、平成19年6月22日(金)から7月23日(月)までの間、パブリックコメントを実施いたします。
- (※1)南極特別保護地区...環境上、科学上、歴史上、芸術上若しくは原生地域としての顕著な価値を有する地区
- (※2)南極史跡記念物...歴史上の価値を有すると認められている場所または記念物
1.背景
- (1)環境保護に関する南極条約議定書
- 南極地域の環境保護については、環境保護に関する南極条約議定書(平成3年採択、平成11年発効。以下「議定書」という。)により国際的義務が定められており、特に環境上顕著な価値を有する地域については、南極特別保護地区として指定し、その管理計画を策定できることとなっている。また、歴史上重要な価値を有するものについては、南極史跡記念物として指定できることが定められている。
南極特別保護地区の管理計画には、各地区ごとに指定区域、指定理由、目的、許可条件(当該地区内で実施できる活動や当該地区内への出入りの経路等当該地区内で許可される行為及びその際の条件)等が規定される。また、南極史跡記念物に指定された場合、それらを除去し、損傷し、又は破損してはならないこととされる。
毎年開催される南極条約協議国会議において、南極特別保護地区の指定や管理計画の作成又は修正、南極史跡記念物の指定が採択された場合、各協議国政府はこれらを法的に担保する義務を負うこととなる。 - (2)南極地域の環境の保護に関する法律
- 我が国は、南極地域の環境の保護に関する法律及びその下位法令により議定書に基づく義務を国内担保しており、一部の例外を除き、環境大臣による確認を受けない限り、いかなる活動も南極地域において行ってはならないこととなっている。
特に、顕著な価値を有する南極特別保護地区内で活動しようとする場合は、環境大臣の確認を受ける際の前提条件として、各南極特別保護地区の管理計画に規定された活動の許可条件を基に定められた南極地域の環境の保護に関する法律施行規則の要件をすべて満たすことが求められる。 - (3)今回の改正の趣旨
- 本年4月30日~5月11日、インド・ニューデリーで開催された第30回南極条約協議国会議において、第9南極特別保護地区の管理計画の改正、第29南極特別保護地区の指定区域の変更及び管理計画の改正並びに南極史跡記念物の追加指定が採択されたところである。これを受け、これら採択された内容について国内的な担保措置を講じる必要が生じたことから、南極地域の環境の保護に関する法律施行規則の改正を検討するものである。
2.パブリックコメント要項
- (1)意見募集対象
- 南極地域の環境の保護に関する法律施行規則の一部を改正する省令案
- 第9南極特別保護地区(サウス・オークニー諸島のモウ島)
南極地域の環境は極めて脆弱であることから、環境への劇的な変化をもたらしかねない外来生物の偶発的な侵入について、国際的な懸念が強く寄せられている。このため、故意によらない外来生物の侵入を可能な限り予防すべく、既存の当該地区管理計画に定められた立ち入り条件に、「当該地区に持ち込むすべての物品を洗浄又は滅菌すること等により、動物、植物又は微生物の偶発的な移入を防ぐこと」が新たな条件として付された。
これを国内担保するため、当該地区の要件に上記を追加するもの。 - 第29南極特別保護地区(アデレイド島のロゼラ岬)
上記(1)と同様の理由により、既存の当該地区管理計画に定められた立ち入り条件に、「当該地区に持ち込むすべての物品を洗浄又は滅菌すること等により、動物、植物又は微生物の偶発的な移入を防ぐこと」が新たな条件として付された。
また、アデレイド島ロゼラ岬の北東端から230m以内にある当該地区の指定区域を、これまで「標高2.5m以上の区域」としていたものを、安全上の観点から、「標高5m以上の区域」に変更することとしたもの。
これらを国内担保するため、当該地区の指定区域の変更を行うもの。 - 第82南極史跡記念物
以下の史跡を、82番目の南極史跡記念物として指定するもの。
キングジョージ島のファイルズ半島のフレイ基地、ベリングスハウゼン基地並びにエスクデロ基地の近くにある南極条約の記念碑並びに同条約への署名及び極地に関する国際年を記念した銘板
- 第9南極特別保護地区(サウス・オークニー諸島のモウ島)
- (2)意見募集期間
- 平成成19年6月22日(金)~平成19年7月23日(月)
- (3)意見提出方法
- (意見提出用紙)の様式により、以下に掲げるいずれかの方法で提出してください。
1)郵送
2)ファックス
3)電子メール(意見提出用紙)※ 電話での意見提出はお受けしかねますので、あらかじめ御了承ください。
[宛先]環境省地球環境局環境保全対策課 あて
[氏名](企業・団体の場合は、企業・団体名、部署名及び担当者名)
[郵便番号・住所]
[電話番号]
[ファックス番号]
[意見] - (4)意見提出先
- 環境省地球環境局環境保全対策課 あて
- 郵送の場合 〒100-8975 東京都千代田区霞が関1-2-2
- ファックスの場合 03-3581-3348
- 電子メールの場合 antarctic@env.go.jp
3.施行期日(予定)
平成19年8月9日(官報公布日)
4.別添資料
今回南極地域の環境の保護に関する法律施行規則改正の対象となる南極特別保護地区・南極史跡記念物 位置図
添付資料
- 連絡先
- 環境省地球環境局(旧)環境保全対策課
課長:徳田 博保(内6740)
課長補佐:矢澤 真裕(内6456)
担当:齋藤 佑介(内6747)