報道発表資料

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2007年06月21日
  • 自然環境

「新・生物多様性国家戦略の実施状況の点検結果(第4回)」を踏まえた今後の施策の方向に係る中央環境審議会の意見について

 平成18年度に実施した「新・生物多様性国家戦略の実施状況の点検結果(第4回)」を踏まえ、中央環境審議会より環境大臣に対して、生物多様性の観点からの今後の施策の方向について意見が出されましたのでお知らせします。

1.新・生物多様性国家戦略の実施状況の点検結果(第4回)

 この点検は、新・生物多様性国家戦略(平成14年3月策定)に基づき、平成17年度以降の取組を中心に実施した施策を関係省庁が自主的に点検し、生物多様性国家戦略関係省庁連絡会議(9府省で構成:事務局は環境省自然環境局)が取りまとめたものです。なお、点検結果の取りまとめに当たっては、平成18年11月~12月にパブリックコメントを行い国民のご意見を聴きました。
 点検結果の概要については別添参考を、また点検結果本文については環境省のホームページ(http://www.biodic.go.jp/cbd/check_2006/index.html)をご覧ください。

2.中央環境審議会における審議

 点検結果は、平成19年2月26日の中央環境審議会自然環境・野生生物合同部会に報告され、4月26日の同部会において、点検結果を踏まえた今後の施策の方向について議論されました。
 その結果、本日、平成19年6月21日(木)付けで中央環境審議会から環境大臣に対し、次のとおり意見が出されました。
 なお、自然環境・野生生物合同部会の審議の概要等については、環境省のホームページ(http://www.biodic.go.jp/cbd/check_2006/progress.html)をご覧ください。

【今後の施策の方向に係る中央環境審議会意見】

  1. 国家戦略実施状況の点検の方法について
    (1)
    戦略に基づく施策の実施状況を網羅的に把握・整理するだけでなく、その効果を指標化することが必要であり、「美しさ」などの統合的指標も検討すべきである。また、生物多様性の変化状況を地図化する、生態系サービスに着目した評価や経済的な評価を行うなど、わかりやすく、国民の意識改革につながるような評価を行うべきである。
    (2)
    点検は今後の施策にフィードバックすることが必要であり、すべての施策を平板に点検するだけでなく、項目を重点化し深く掘り下げることが望ましい。
  2. 国家戦略の普及啓発について

     「生物多様性」や「国家戦略」が国民に浸透していないため、その必要性・重要性の普及啓発にさらに努力すべきである。また、受け入れやすい平易な言葉で言い換えることも必要である。

  3. 次期国家戦略について
    (1)
    次期国家戦略の検討方法について
    • 生物多様性の具体的取組の充実のためには、経済界や特に関係の深い省庁など、ターゲットを絞って議論することが重要である。
    • 戦略実現に果たす地方自治体の役割が重要なことから、戦略見直しの検討過程でモデルとなるような自治体の関与が必要である。
    (2)
    里地里山
    • 里地里山の保全対策については、保全対象を明確にして取り組むことが望ましい。また、里山だけの発想ではなく、森林全体における里山の位置付けを明確にし、地域の理解を得ることが必要である。
    • 環境面だけでなく、過疎化対策をはじめ各種施策を所管する省庁との連携が重要である。
    (3)
    干潟・海岸
    • 漁業の場における沿岸部を森林における里山のような「里海」として位置付け、漁業者をはじめとして生物多様性に関する理解の向上を図ることが重要である。また、干潟を含む海岸の生物多様性保全のためには、多くの行政機関の連携協力が不可欠である。
    (4)
    教育
    • 教育基本法の中にも環境の観点が盛り込まれており、学校、地域における教育や生涯学習を含む具体的な取組を進めるため、各省の枠を超えた協力体制を強化すべきである。
    (5)
    公共事業
    • 生物多様性の観点を浸透させるためには、事業の計画段階や施工段階において現場で使えるチェックリストなど具体的な仕組みづくりを検討することが必要である。
    (6)
    実施体制
    • 自然環境データの観測は、地道に継続していくことが重要であり、そのための十分な体制が必要である。
    • 戦略の効果的な実施のためには、地方自治体や民間企業など多様な主体の参画が必要であ り、その推進のための経済的な措置が重要である。

添付資料

連絡先
環境省自然環境局自然環境計画課生物多様性地球戦略企画室
電話:03-3581-3351
 直通:03-5521-8275
 課長:渡邉綱男(6430)
 室長:亀澤玲治(6480)
 課長補佐:野仲典理(6490)

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