報道発表資料

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2007年04月19日
  • 地球環境

黄砂実態解明調査中間報告書について

環境省では、平成14年度から、黄砂の飛来実態を科学的に把握するため、日本に黄砂の飛来が予想される日に併せて国内の9地点で一斉に浮遊粉じんを捕集し、粒径分布や成分の分析を行う黄砂実態解明調査を実施しています。
 今般、平成14年度から17年度までに実施された黄砂実態解明調査の結果をとりまとめました。主な結果としては、人為発生源由来の汚染物質を吸着したと考えられる黄砂の飛来が確認されたものの、黄砂が飛来していないときと比較して、黄砂飛来時に汚染物質濃度が高くなったとは言えないことが示されています。ただし、調査期間中、大規模な黄砂が飛来しなかったため、今後も調査が必要と考えられます。
 環境省としては、大規模な黄砂が飛来した平成18年、19年の調査結果を検討した上で、平成20年度を目途に実態解明調査の最終報告書をまとめ、公表する予定です。

1.背景

 我が国への黄砂の飛来頻度の増加に伴い、黄砂の影響への関心が高まっていますが、黄砂粒子が大気汚染物質を吸着し輸送する現象等、黄砂の影響は科学的に未解明な部分が多く、黄砂の物理的性状(粒径分布、粒子の形状等)や化学的性状(化学組成、鉱物組成、吸着・付着した酸性物質や農薬等)について調査が必要です。
 このため、環境省では、地方公共団体、独立行政法人国立環境研究所の協力を得て、平成14年度から「黄砂実態解明調査」を実施しており、「黄砂問題検討会」(座長:岩坂金沢大学教授)の議論を経て、平成14年度から17年度までの調査結果をとりまとめました。

2.調査方法

(1)調査方法
 本調査では、黄砂の飛来が予想される日に、原則24時間連続で、以下の捕集装置を用いて浮遊粉じんをサンプリングしました。
[1] 八段型ローボリウムアンダーセンサンプラー(平成14~16年度)
主な目的: 粒径分布の把握
[2] ハイボリウムサンプラー(平成14~17年度)
主な目的:重金属類、炭化水素類等の成分分析
(2)調査期間
 平成14年度から平成17年度までの黄砂飛来シーズン(3月から5月)の22回
(3)調査地点

9地点
札幌市(国設札幌大気環境測定所)、つくば市((独)国立環境研究所)、新潟市(国設新潟巻酸性雨測定所)、富山市(立山測定所)、金沢市(石川県保健環境センター)、犬山市(国設犬山酸性雨測定所)、松江市(国設松江大気環境測定所)、太宰府市(福岡県保健環境研究所)、長崎市(式見ダム酸性雨測定所)(図1参照)。

(4)分析項目
 捕集した浮遊粉じんの濃度を測定したほか、金属類、各種イオン類、農薬類を分析しました(表1参照)。

3. 調査結果の概要

中間報告書の主な内容は次のとおりです。

(1)黄砂の飛来状況
  •  東日本に比べて西日本、太平洋側に比べて日本海側の浮遊粉じん濃度が高くなる傾向が見られた。
  •  調査結果を、「黄砂」、「弱い黄砂」、「非黄砂」に分類したところ、それぞれの浮遊粉じん濃度の平均値は、黄砂時91.3μg/m3、弱い黄砂時66.7μg/m3、非黄砂時51.4μg/m3であった(表2参照)。
(2)黄砂の化学的性質
  •  黄砂飛来時の浮遊粉じんの成分は、非黄砂時と比較して、[1]鉱物由来と考えられる金属元素(Mg、Al、Ca、Feなど)の濃度が高い一方、[2]燃焼由来と考えられる硫酸イオンやフッ化物イオンの濃度は、捕集日によって高い日と低い日があり、気象条件等により様々な黄砂の飛来形態があることが分かった。なお、これら人為発生源由来の汚染物質の大部分は、飛来過程で黄砂に吸着されたものと考えられる。
  •  捕集した浮遊粉じんの成分を解析したところ、鉱物粒子由来、燃焼由来、海塩由来の3つの因子が抽出された。黄砂の有無による比較をしたところ、鉱物粒子由来は黄砂時に濃度が高く、弱い黄砂時、非黄砂時になるに従って低くなった。一方、燃焼由来、海塩由来の濃度は、黄砂の有無による差異はあまりなかった(図2参照)。
(3)黄砂の物理的性質

 黄砂の粒径は、概ね4μm付近にピークがあることが分かった(図3参照)。また、黄砂発生源に近い西日本地方では、飛来黄砂の粒径が大きめとなる可能性が示唆された。

(4)調査の今後の課題
  •  本調査期間中は、大規模な黄砂が飛来せず、黄砂を的確に捕集できなかった。このため、今後も調査を継続し、様々な形態の黄砂を捕集することが必要である。
  •  黄砂の飛来ルートや黄砂と大気汚染物質との関係等をより詳細に検討するため、中国や韓国など関係国との共同研究について協力を進めるべきである。

4.今後の予定

 環境省としては、大規模な黄砂が飛来した平成18年、19年の調査結果を検討した上で、平成20年度を目途に実態解明調査の最終報告書をまとめ、公表する予定です。

添付資料

連絡先
環境省地球環境局(旧)環境保全対策課
直通:03-5521-8246
 代表:03-3581-3351
 課長:徳田 博保(6740)
 補佐:袖野 玲子(6755)
 担当:橋本 俊一(6745)

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