報道発表資料

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1998年12月17日

全国星空継続観察-平成10年度夏期観察の結果及び冬期観察の実施計画について-

1.全国星空継続観察(スターウォッチング・ネットワーク)は、肉眼や双眼鏡等を使った身近な方法による星空観察を通じ、参加者に光害など大気環境問題への関心を高めてもらうことを目的に、昭和63年(1988年)から、環境庁と(財)日本環境協会が都道府県・政令指定都市・中核市を通じ参加団体を募り実施している。

2.平成10年度夏期の観察結果は以下のとおりであった。
(1) 今回の参加団体は47都道府県の499団体、参加人数はのべ8,884人
(2) 今回の観察の結果において、夜空が星の観察に適していた場所は、鹿児島県笠沙町、岩手県気仙沼市、鹿児島県伊仙町など

3.平成10年度冬期観察は、平成11年1月7日(木)から1月20日(水)までを観察期間として実施する。すでに、都道府県・政令指定都市・中核市の大気保全担当部局を通じ参加団体の募集・資料の配付等を行っている。参加方法等についての詳細に関する問い合わせは、各都道府県・政令指定都市・中核市の大気保全担当部局まで。

1 平成10年度夏期観察の結果

(1)観察期間:平成10年8月12日(水)から8月25日(火)まで
(この期間中に1日以上観察)
(2)観察方法:
  1. 肉眼により、高度の異なる天の川の3部分(白鳥座付近、たて座付近、いて座付近)を観察
  2. 双眼鏡を用い、こと座の織姫星(ベガ)を含む3つの星の作る三角形の中の星を観察し、何等級の星まで見えたかを記録
  3. こと座のベガを中心とする星空の写真撮影により、夜空の明るさを計測

 参加団体から報告された3項目の観察結果について、(財)日本環境協会及びスターウォッチング研究会(座長 村山定男:国立科学博物館名誉館員)が集計・解析

(3)参加団体・参加者数:全国47都道府県の499団体、のべ8,884人が参加
表1 観察参加団体・人数の推移(夏期)
年度・時期 参加団体数(都道府県・市区町村) 参加者数
昭和63年度・夏期
平成元年度・夏期
平成2年度・夏期
平成3年度・夏期
平成4年度・夏期
平成5年度・夏期
平成6年度・夏期
平成7年度・夏期
平成8年度・夏期
平成9年度・夏期
平成10年度・夏期
68団体(37・ 65)
153団体(44・150)
204団体(45・197)
187団体(44・170)
247団体(47・222)
245団体(44・201)
408団体(47・331)
429団体(47・341)
454団体(47・345)
431団体(47・350)
499団体(47・360)
3,157
5,658
5,511
5,220
7,186
5,732
9,948
9,987
10,393
8,336
8,884
(4)観察結果
a)天の川の観察結果

 星空を観察する際、観察する部分の高度が低いほど、大気環境の影響を受けやすくなり、星が観察しにくくなる。夏期観察では、天空(高度の高い位置)から順に、「白鳥座付近」、「たて座付近」、「いて座付近」の天の川の観察状況を調査しており、平成10年度における部分別の観察状況(天の川の見える地点の割合)は、「白鳥座付近」44.1%、「たて座付近」30.5%、「いて座付近」25.8%であった。また、天の川の観
察状況は、都市の規模により大きく異なる。(図1)

b)双眼鏡による観察結果

 参加者各人に双眼鏡を用い、こと座の織姫星(ベガ)を含む3つの星の作る三角形(資料1参照)の中の何等級の星まで見えるかを観察してもらい、その結果を基に、都市の規模別の平均観察等級を算出した。(表2)

表2 こと座の三角形の中に見える星の平均観察等級の都市規模別比較
都市の規模
  (人口)
巨大都市
(100万人
   以上)
大都市
(30万人
 以上100
 万人未満)
中都市
(10万人
 以上30
 万人未満)
小都市
(10万人
   未満)
平成8年度
平成9年度
平成10年度
8.0
7.8
6.9
8.0
7.8
7.7
8.1
8.2
8.1
8.8
8.7
8.8

注)星の等級について
 天体を地上で観測した時のみかけの明るさを表した数字。その星自体の明るさを表す絶対等級と区別して、みかけの等級ともいう。等級は数字が1減るごとに約 2.5倍明るくなる。

c)カラースライド写真から求めた「夜空の明るさ」

 夜空の明るさは、撮影範囲・露出時間等を一定条件にして撮影したカラースライド写真から、光の透過量を測定(測定機器:デンシトメーター)し、それから求めた夜空の明るさを星の等級に換算した値で求めており、星の等級と同様に数値が小さいほど夜空が明るく、大きいほど夜空が暗い状態を示す。

表3 夜空の明るさの都市規模別比較(夏期)
都市の規模
  (人口)
巨大都市
(100万人
   以上)
大都市
(30万人
 以上100
 万人未満)
中都市
(10万人
 以上30
 万人未満)
小都市
(10万人
   未満)
平成8年度
平成9年度
平成10年度
18.3
17.3
16.8
18.5
17.6
18.0
19.3
18.6
18.6
20.7
21.6
20.2

[参考]
  平成10年度夏期観察において夜空の明るさが星の観測に適していた場所

夜空の
明るさ
(等級)
都道府県 市区町村 観察場所(参加団体)
22.1

21.8



21.6

21.5

21.4
鹿児島県

宮城県

鹿児島県

栃木県

兵庫県

東京都

宮崎県

鹿児島県

鹿児島県

鹿児島県

鹿児島県

鹿児島県
笠沙町

気仙沼市

伊仙町

塩原町

大屋町

小笠原村

高崎町

加世田市

川辺町

伊集院町

輝北町

中種子町
笠沙美術館(コスモス笠沙 '21 )

気仙沼市五右衛門が原運動広場駐車場
(気仙沼天文研究室)
義名山運動公園グランド
(伊仙町星空同好会)
遅野沢公民館前
(夢集団・星とロマンを語る会)
大屋高原「星の広場」(大屋町教育委員会)

評議平ヘリポート(母島観光協会)

高崎町たちばな天文台前広場
(高崎星を見る会)
加世田市鉄山地区構造改善センター
(加世田サイエンスクラブ)
川辺町諏訪運動公園管理事務所屋上
(川辺楽友協会)
中神殿公民館前庭(伊集院町星の少年団)

きほく上場公園広場(輝北天球館)

立切遺跡(中種子トライアルクラブ)

注1)「星の観察に適していた場所」については、カラースライド写真から求めた「夜空の明るさ(暗さ)」を基本に、肉眼や双眼鏡を使った観察結果や観察日時等も考慮して評価したものである。

注2)この評価の結果は、平成10年度夏期全国星空継続観察(スターウォッチング・ネットワーク)に自発的に参加した団体による任意の地点の観察結果に基づいて評価したものであり、全国の星空を網羅的に調査したものではない。従って、ここで発表した観察地点以外で、「星の観察に適した場所」の存在もあり得るので、順位付けは行っていない。

2 平成10年度冬期観察の実施計画

(1)観察期間:
平成11年1月7日(木)から1月20日(水)まで
(この期間中に1日以上観察)
(2)観察方法:
従来と同様、{1}肉眼による天の川の観察、{2}双眼鏡による"すばる(プレアデス星団)"のラケットの中の星の観察、{3}1等星アルデバランを中心とした夜空の写真撮影、の3つの方法により行う。
(3)参加方法:
都道府県・指定都市・中核市の大気保全担当部局(別添一覧表参照)へ参加申込みを行い、観察要領に基づき観察した結果を大気保全担当部局まで報告する。

 <参 考>
  平成11年度の全国星空継続観察は、以下の日程により実施する予定。

夏期観察:
平成11年8月 1日(日)から8月14日(土)まで
冬期観察:
平成12年1月25日(火)から2月 7日(月)まで

3 ホームページの紹介

(1)環境庁ホームページ

 環境庁ホームページ(http://www.eic.or.jp/)報道発表資料の中で、「全国星空継続観察」の実施結果及び実施予定に関する情報を掲載。
 なお、過去に実施した「グリーン・ライティング(環境にやさしい照明)・キャンペーン」や「へール・ボップすい星ライトダウン・キャンペーン」及び現在実施中の「光害対策」に関する取組等の情報についても併せて掲載。

(2)NTTホームページ

 NTTホームページの中で、「全国星空継続観察」における天の川(高度の異なる3地点)の観察状況を日本地図の上に表示した「スターウォッチングポイントMAP」(http://www.wnn.or.jp/wnn-u/)及び「グリーン・ライティング(環境にやさしい照明)・キャンペーン」に関するパンフレット(http://www.wnn.or.jp/wnn-eco/hikari)を掲載。
その他、星・星座に関する情報、環境問題に関する情報についても併せて掲載。

添付資料

連絡先
環境庁大気保全局企画課大気生活環境室
室   長 :柏木順二(内線6540)
 室長補佐 :臼木民夫(内線6541)
 担   当 :宮内 徹(内線6546)