報道発表資料
平成5年3月に、水質汚濁に係る人の健康の保護のため、人の健康に関連する物質ではあるが、直ちに環境基準項目とはせず、引き続き知見の集積に努めるべき物質として、要監視項目が設定された。国及び地方公共団体においては、平成6年度から8年度にかけて公共用水域及び地下水における要監視項目の水質測定調査を行い、ほぼ全国的な測定結果の集積が行われたところである。その結果、大部分の項目については指針値を超過した地点はない状況であったが、一部の項目については超過地点が見られた。
この測定結果を踏まえ、環境庁は、平成9年5月14日、水質汚濁に係る人の健康の保護に係る環境基準の項目の追加等について、中央環境審議会(会長:近藤次郎前日本学術会議会長)に諮問する。この諮問は、同日開催される同審議会水質部会(部会長:村岡浩爾 大阪大学工学部教授)に付議される。環境庁としては、平成10年夏頃を目途に答申を頂き、これを受けて所要の措置を講じていくこととしている。
この測定結果を踏まえ、環境庁は、平成9年5月14日、水質汚濁に係る人の健康の保護に係る環境基準の項目の追加等について、中央環境審議会(会長:近藤次郎前日本学術会議会長)に諮問する。この諮問は、同日開催される同審議会水質部会(部会長:村岡浩爾 大阪大学工学部教授)に付議される。環境庁としては、平成10年夏頃を目途に答申を頂き、これを受けて所要の措置を講じていくこととしている。
1. | 要監視項目について | |
平成5年1月に「水質汚濁に係る人の健康の保護に関する環境基準の項目追加等について」中央公害対策審議会(当時)から出された答申を受け、同年3月に水質汚濁に係る環境基準のうち、人の健康の保護に関する項目の追加・見直しが行われた。同時に、人の健康の保護に関連する物質ではあるが、公共用水域等における検出状況等からみて、直ちに環境基準とはせず、引き続き知見の集積に努めるべき物質として要監視項目を設定する必要性が示された。 要監視項目については、継続して公共用水域及び地下水の水質測定を行い、その推移を把握すること、水質測定の結果を踏まえて、必要に応じ水質汚濁の未然防止のための措置を講じること、その後の知見の集積状況も勘案しつつ、環境基準項目への移行等を機動的に検討する必要があることが答申で示されている。これらについては、平成5年3月に環境庁水質保全局長名で都道府県知事に対して通知を行っている。 |
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2. | 要監視項目の調査結果について | |
平成5年の答申を受け、国及び地方公共団体において要監視項目の水質測定調査を行っている。平成6年度及び7年度に水質汚濁防止法第15条に基づき都道府県知事が策定する水質測定計画により行われた調査及び平成6年度から8年度に行われた環境庁委託調査の結果は、以下の通りである。 |
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(1) | 公共用水域における要監視項目の調査結果 |
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a. | 調査実施都道府県数及び調査地点数 | |
調査実施都道府県数 47自治体 調査地点数 6,009地点(延べ数) 平成6年度 45自治体 3,498地点(水質測定計画による調査及び環境庁委託調査) 平成7年度 46自治体 2,449地点( 〃 〃 ) 平成8年度 9自治体 62地点(環境庁委託調査) |
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b. | 調査結果の概要 | |
調査結果を要監視項目の指針値と比較すると、イプロベンホス、ほう素、フッ素、ニッケル、モリブデン、アンチモン、硝酸性窒素及び亜硝酸性窒素について指針値を超過している地点が見られた(詳細については表2を参照)。 なお、指針値を超過した地点については、地方公共団体等により排出源における自主的な削減指導、汚濁原因の調査等の対策が行われている。 |
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(2) | 地下水における測定結果 |
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a. | 調査実施都道府県数及び調査対象井戸数 | |
調査実施都道府県数 39自治体 調査対象井戸数 5,276地点(延べ数) 平成6年度 27自治体 2,576地点(水質測定計画による調査及び環境庁委託調査) 平成7年度 32自治体 2,666地点( 〃 〃 ) 平成8年度 8自治体 34地点(環境庁委託調査) |
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b. | 調査結果の概要 | |
調査結果を要監視項目の指針値と比較すると、フタル酸ジエチルヘキシル、ほう素、フッ素、ニッケル、アンチモン、硝酸性窒素及び亜硝酸性窒素について指針値を超過している井戸が見られた(詳細については表3を参照)。 なお、指針値超過井戸については、地方公共団体等により飲用指導等の対策が行われている。 |
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3. | 人の健康の保護に係る環境基準設定の諮問について | |
今回の測定結果においては、一部の項目について、公共用水域等における指針値を超える検出事例が相当数見られることから、要監視項目の公共用水域及び地下水の環境基準項目への移行等について検討を行い、適切な対策を講じる必要がある。そのため、環境庁では、中央環境審議会に要監視項目の環境基準項目への移行等の検討に関する諮問を行い、審議を行っていただくこととしている。 |
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(1) | 諮問文 | |
環境庁は、平成9年5月14日、中央環境審議会(会長:近藤次郎 前日本学術会議会 長)に対し、以下の諮問を行うこととしている。 「環境基本法(平成5年法律第91号)第41条第2項第3号の規定に基づき、「水質汚濁に係る環境基準について」(昭和46年12月28日環境庁告示第59号)別表1(人の健康の保護に関する環境基準)及び「地下水の水質汚濁に係る環境基準について」(平成9年3月13日環境庁告示第10号)別表に係る項目の追加等について、貴審議会の意見を求める。」 |
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(2) | 今後の予定 | |
本諮問については、同日付けで同審議会水質部会(部会長:村岡浩爾 大阪大学工学部教授)に付議され、同時に設置される環境基準健康項目専門委員会(委員長:村岡浩爾 大阪大学工学部教授を予定)において具体的な調査が行われる予定である。 環境庁としては、平成10年夏頃を目途に答申を頂き、これを受けて所要の措置を講じてまいりたいと考えている。 |
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* | 表1,2については、添付ファイルを参照。 |
添付資料
- 連絡先
- 環境庁水質保全局水質管理課
課 長 南川 秀樹(内線6630)
補 佐 木村 祐二(内線6631)
環境庁水質保全局企画課地下水・地盤環境室
室 長 八木 美雄(内線6670)
補 佐 油本 幸夫(内線6672)