報道発表資料

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1998年12月15日

開放型冷水塔を有するごみ焼却施設に対する緊急調査の結果について

環境庁は、平成10年9月、同月に発表された大阪府豊能郡美化センターに係る厚生省の調査結果を踏まえて、同センターと同様の開放型冷水塔を有するごみ焼却施設に対して大気汚染防止法及び水質汚濁防止法に基づく立入検査を実施するよう、関係地方公共団体に対して指示をしたが、このたび、この指示を受けて地方公共団体が行った立入検査の結果がまとまった。
 調査結果によると、立入検査の対象となった施設は、大気汚染防止法及び水質汚濁防止法の規定を遵守しており、今回新たに措置を講ずべき事項はなかった。また、施設の運転・管理状況は概ね良好で、開放型冷水塔からのミスト(霧)の飛散は認められなかった。
1.対象施設等

 対象施設 別紙1の37施設
 検査期間 平成10年9月~10月

2.立入検査及び関連調査結果の概要

 (施設ごとの調査結果は別紙2)

(1) 大気汚染防止法による立入検査
 ばい煙発生施設に対して調査をしたところ、1施設でばいじん濃度測定結果が一時的に排出基準値を超過していたことを除き、排出基準は遵守されていた。
 排出基準値を超過した施設についても、施設の補修が行われた後に、県により再測定を実施した結果、排出基準は遵守されていた。
(2) 水質汚濁防止法による立入検査
 公共用水域への排水を調査したところ、すべての施設において排水基準は遵守されていた。なお、施設設置者による自主測定でも、すべての施設において排水基準値は満足していた。
(3) 開放型冷水塔に係る関連調査
ア 開放型冷水塔の運転・管理状況
 開放型冷水塔から水蒸気の発生が見られたが、ミスト(霧)の飛散は確認できなかった

 なお、3施設において開放型冷水塔付近に少量の水滴の落下が認められた。

イ 開放型冷水塔付近の汚染状況
 すべての施設で、開放型冷水塔の冷却水槽から施設外へのオーバーフロ-は見られず、開放型冷水塔の周辺に灰の堆積等は見られなかった。
 なお、2施設において、送風機の軸受等からごく少量の漏水が施設内(開放型冷水塔近傍)で見られたが、すべての施設で設備の改善がなされている。

ウ 冷却水の測定結果
 冷水塔で利用されている冷却水の水質を測定したところ、多くの施設で総水銀、鉛等の重金属が検出された。

 なお、冷却水等の飛散及び流出により生活環境保全上の支障が生じないよう、厚生省は、11月に一般廃棄物焼却施設及び産業廃棄物焼却施設に係る維持管理の技術上の基準を改正した。また、併せて施設内の土壌中の重金属の調査を行うよう施設設置者に対して指示している。
3.今後の予定
(1) 37施設の施設設置者は、現在、厚生省の指示を受け、開放型冷水塔の冷却水及びその近傍の土壌についてダイオキシン類濃度を調査中である。環境庁としては、この調査結果を踏まえ、必要があれば、開放型冷水塔を有するごみ焼却施設の周辺環境等のダイオキシン類概況調査について検討することとしている。
(2) 環境庁は、開放型冷水塔のあるごみ焼却施設も含めて、構造等を勘案して代表的な施設を選定し、ダイオキシン類排出実態調査を行うこととしている。
{1}調査対象施設 湿式洗煙設備を有する一般廃棄物焼却施設のうち、施設の構造等を勘案して約30施設を選定
{2}調査対象物質 ダイオキシン類及びコプラナPCB
{3}調査対象媒体 排水、汚泥、焼却灰、飛灰、近傍公共用水域
{4}関連調査項目 重金属類(汚泥、焼却灰、飛灰、大気)
{5}調査時期 平成10年12月から平成11年1月にかけて試料採取予定
用語解説

○炉型式

・全連続

全連続炉。ごみの供給、燃焼、炉内からの灰の搬出等を連続的に行える炉であり、1日24時間の連続運転を行う焼却炉。
・准連続 准連続炉。ごみの供給、燃焼、炉内からの灰の搬出等を連続的に行える炉であり、間欠運転を行う焼却炉。
・機バ 機械化バッチ炉。連続炉のようにごみを連続的に供給する機械設備を設けていない焼却炉。

○焼却方式

・ストーカ

ストーカ式。焼却炉の階段状の炉床により、乾燥ストーカ、燃焼ストーカ及び後燃焼ストーカが構成されており、ストーカが動くことによりごみを連続的に供給し、焼却する方式。
・流動床 流動床式。焼却炉の炉床が砂層で構成され、炉床から供給される燃焼用空気とともに、高温の砂を舞いあげて流動化し、ごみを焼却する方式。
・回転式 横置きの円筒状の炉床が回転し、ごみをかくはんさせながら焼却する方式。

○ガス冷却方式

炉頂型

水噴射式の燃焼ガス冷却室を焼却炉の上部に直結して設置する方式。
別置型 水噴射式の燃焼ガス冷却室を焼却炉とは別に設置している方式。
ボイラ 水が内部を流れるパイプにより燃焼ガスの熱を回収するために、廃熱回収ボイラを設置している方式。

○ばいじん処理

・EP

電気集じん器。排ガス中のばいじんを帯電させ、電極の集じん板により捕捉する装置。
・BF バグフィルター。ガラス繊維等のろ布により、排ガス中のばいじんをろ過する装置。
・MC マルチサイクロン。遠心力を利用して、排ガス中のばいじんを分離、除去する装置。

○ミスト(霧)及び水蒸気

・ミスト(霧)の飛散

冷水塔の冷却水そのものが、冷却ファンの回転により微細な液体の粒子となって大気中に飛び散ること。
・水蒸気の発生 冷水塔の冷却水が煙の熱により蒸発し、気体となって大気中に出ていくこと。通常は、ある程度の高さで白煙化する。

添付資料

連絡先
環境庁大気保全局大気規制課
課   長 :飯島  孝(6530)
 課長補佐 :柳橋 泰生(6532)

環境庁水質保全局水質規制課
課   長 :畑野  浩(6640)
 課長補佐 :西嶋 英樹(6643)

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