報道発表資料

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2006年04月28日
  • 総合政策

堺港発電所設備更新に係る環境影響評価準備書に対する環境大臣意見の提出について

環境省は、堺港発電所設備更新に係る環境影響評価準備書について、本日付けで経済産業大臣に対し、施設の稼働に伴い排出される二酸化炭素及び窒素酸化物の低減を求める環境大臣意見を提出した。
1.
環境省は、堺港発電所設備更新(大阪府堺市、事業者:関西電力株式会社、燃料:天然ガス)に係る環境影響評価準備書について、環境の保全の見地からの意見を求められたことから、平成18年4月28日付けで経済産業大臣に対し、環境大臣意見を提出した。
2.

本事業は、既設火力発電設備を天然ガス専焼の高効率コンバインドサイクル発電システムに更新しようとするものであり、環境負荷の軽減が図られるとしている。
 しかしながら、昨年4月に京都議定書目標達成計画が閣議決定され、電力分野における地球温暖化対策が一層重要となっていることから、関西電力(株)が販売する電力全体の二酸化炭素排出原単位をできる限り低減する必要がある。また、窒素酸化物排出濃度はガスタービンとして国内最低レベルであるが、対象事業実施区域周辺は二酸化窒素に係る環境基準が達成されていない地点があり、これまで大気環境改善に向けた各種対策が講じられてきた地域であることから、窒素酸化物による大気環境への影響をできる限り低減する必要がある。
 これらのことから、環境大臣意見では以下の内容について指摘している。

(1)温室効果ガス
 当該事業者が所有する火力発電所の中で最も二酸化炭素排出原単位の小さい本発電所の稼働率を総合的な電源運用の中でできる限り高く維持するとともに、他の発電所を含めた全体の稼働分担を適切に行うことにより、事業者が販売する電力全体の二酸化炭素排出原単位の低減を図ること。
(2)窒素酸化物
 窒素酸化物の排出濃度をガスタービンとしては国内最低レベルに抑えるとしているが、この排出濃度を確保するため、発電設備及び排煙脱硝装置の運転管理など環境影響評価準備書に記載された環境保全措置を確実に実施すること。
3.
なお、事業者に対しては、経済産業大臣から、環境大臣意見を勘案した勧告がなされることとなる。

[環境大臣意見の内容]

(1)温室効果ガス
 本事業は、燃料として他の化石燃料と比べて二酸化炭素排出原単位の小さい天然ガスを使用するとともに、火力発電所としては現時点における最高レベルの発電効率を有する設備を採用するとしているが、昨年4月に京都議定書目標達成計画が閣議決定され、電力分野における地球温暖化対策が一層重要となっていることから、当該事業者が所有する火力発電所の中で最も二酸化炭素排出原単位の小さい本発電所の稼働率を総合的な電源運用の中でできる限り高く維持するとともに、他の発電所を含めた全体の稼働分担を適切に行うことにより、事業者が販売する電力全体の二酸化炭素排出原単位の低減を図ること。また、その旨を評価書に記載すること。
(2)窒素酸化物
 対象事業実施区域周辺は、二酸化窒素に係る環境基準が達成されていない地点があり、「大気汚染防止法」に基づく窒素酸化物に係る総量規制地域及び「自動車から排出される窒素酸化物及び粒子状物質の特定地域における総量の削減等に関する特別措置法」に基づく対策地域に指定され、これまで大気環境改善に向けた各種対策が長期にわたり集中的に講じられてきた地域であることから、このような地域において行われる本事業については、窒素酸化物による大気環境への影響をできる限り低減する必要がある。
 このため、本事業は、発電設備に改良型低NOx燃焼器を採用するとともに排ガスを排煙脱硝装置で処理することにより、窒素酸化物の排出濃度をガスタービンとしては国内最低レベルに抑えるとしているが、施設の維持・運用に当たってこの排出濃度を確保するため、発電設備及び排煙脱硝装置の運転管理など環境影響評価準備書に記載された環境保全措置を確実に実施すること。また、その旨を評価書に記載すること。

[参考]

○事業概要
・名称 堺港発電所設備更新
・事業者 関西電力株式会社
・計画I 大阪府堺市築港新町一丁2
・発電方式 ガスタービン及び汽力(コンバインドサイクル発電方式)
注:更新前は汽力
・出力 200万kW(50万kW×4基)
注:更新前は200万kW(25万kW×8基)
・燃料 天然ガス専焼
注:更新前(平成15年度実績)は天然ガス(98.7%)、重油(0.9%)、原油(0.4%)
・運転開始時期(予定) 1号機 平成21年4月~4号機 平成22年10月
○環境影響評価手続(環境影響評価法及び電気事業法に基づく手続)
・方法書縦覧 平成16年 1月19日~平成16年 2月18日(住民意見なし)
・大阪府知事意見提出 平成16年 5月14日
・経済産業大臣勧告 平成16年 7月 9日
・準備書縦覧 平成17年 8月30日~平成17年 9月29日(住民意見2件)
・大阪府知事意見提出 平成18年 1月20日
・環境大臣意見照会 平成17年 3月17日

添付資料

連絡先
環境省総合環境政策局環境影響評価課環境影響審査室
室長 早水 輝好 (内6231)
 審査官 中西 重二 (内6239)
 TEL 03-3581-3351(代表)
     03-5521-8237(直通)

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