報道発表資料
廃棄物処理法に定める産業廃棄物の委託基準では、産業廃棄物の排出事業者は、適正処理のために必要な廃棄物情報を処理業者に提供することとされています。本ガイドラインは、産業廃棄物の処理を委託する際、廃棄物情報の提供に関して排出事業者と処理業者の参考となるよう、情報提供が必要な項目や契約書に添付できる廃棄物データシート(WDS)の様式例をとりまとめたものです。
1.ガイドラインの目的
廃棄物を適正に処理するためには、各々の廃棄物の特性に応じた処理が必要です。このため、廃棄物の処理及び清掃に関する法律(昭和45年法律第137号。以下、「廃棄物処理法」という。)に定める産業廃棄物の委託基準では、産業廃棄物の排出事業者は、適正処理のために必要な廃棄物情報を処理業者に提供することとされています。
しかし、廃棄物処理過程において、有害特性等の廃棄物情報が排出事業者から処理業者に十分に提供されないことに起因する自然発火や化学反応等による事故や有害物質の混入等の課題があり、廃棄物情報の適切な伝達が求められています。このため、廃棄物の処理過程における事故を未然に防止し、環境上適正な処理を確保することを目的として、排出事業者が提供すべき廃棄物の性状等の情報について具体的に解説し、排出事業者が処理業者へ産業廃棄物の処理を委託する際の廃棄物情報の提供の望ましいあり方を示すガイドラインを策定しました。
2.ガイドラインの内容
ガイドラインの主な内容は以下のとおりです。
(1)廃棄物の適正処理に必要な廃棄物情報の具体化・明確化
廃棄物の処理過程で発生した事故事例の検証結果等から、廃棄物情報が必要な項目として、廃棄物の有害性等の12項目を選定し、必要な情報項目を整理した廃棄物データシート(WDS)の様式例を示した(別添参照)。
排出事業者は、産業廃棄物の処理委託に当たって、廃棄物情報をWDS等で通知し、これを基に処理業者と十分打合せを行うこととした。
- 注)
- ガイドラインで示しているデータシートは一例であり、従来使用しているデータシートが、必要な情報項目を満たしている場合には、継続的にそのシートを使用して差し支えない。また、WDSは、廃棄物処理に必要な情報の提供を目的とすることから、提供する情報の項目・内容は、処理業者と十分協議の上決定し、データの提出が困難であれば、廃棄物サンプルや発生工程図、既存のMSDSデータの提供により対応してもよい。
(2)廃棄物の性状等の変動を踏まえた情報提供の方法
廃棄物の性状等に変更がある場合は、排出事業者から処理業者へ速やかに新しい廃棄物データシートを提供する必要があるとした。処理業者が処理方法の変更を検討しなければならないような廃棄物性状の変動の幅は、処理業者によって異なるため、委託契約時にあらかじめどの程度の変更がある場合に情報提供が必要かを打合せしておくことが望ましい。
なお、平成18年3月10日公布の廃棄物処理法施行規則改正により、委託契約の締結時には、廃棄物情報に変更がある場合の情報提供の方法について、排出事業者と処理業者間であらかじめ決めておかなければならないとされたところであり、同規定は7月1日より施行される。
(3)情報の信頼性を高める方法
排出事業者及び処理業者の社内の情報伝達体制を整備することが重要であるとし、先進的な取り組み事例を掲載した。また、排出事業者と処理業者の双方向コミュニケーションを促進し、信頼関係の構築が重要であるとした。
なお、「廃棄物情報の提供に関するガイドライン」の本文は、環境省ホームページ(https://www.env.go.jp/recycle/misc/wds/index.html)において公表しています。
(参考)廃棄物処理法施行規則第8条の4の2(委託契約に含まれるべき事項)
- 一~五
- (略)
- 六
-
委託者の有する委託した産業廃棄物の適正な処理のために必要な次に掲げる事項に関する情報
- イ
- 当該産業廃棄物の性状及び荷姿に関する事項
- ロ
- 通常の保管状況の下での腐敗、揮発等当該産業廃棄物の性状の変化に関する事項
- ハ
- 他の廃棄物との混合等により生ずる支障に関する事項
- ニ
- その他当該産業廃棄物を取り扱う際に注意すべき事項
- 七
- 委託契約の有効期間中に当該産業廃棄物に係る前号の情報に変更があつた場合の当該情報の伝達方法に関する事項
- 八~九
- (略)
- 注)
- 第7号は平成18年3月10日公布、同年7月1日施行。
添付資料
- 連絡先
- 環境省大臣官房廃棄物・リサイクル対策部産業廃棄物課適正処理・不法投棄対策室
室長:坂川 勉(内線 6881)
室長補佐:袖野 玲子(内線 6885)
担当:菅 範昭(内線 6888)