報道発表資料
平成17年度は、平成18年1月15日に全国約9,000地点において調査を行いました。
その結果を暫定値として取りまとめたところ、全国において、ハクチョウ類約8万2千羽、ガン類約11万4千羽、カモ類約186万8千羽が観察されました。
過去10年間の調査結果によると、全国におけるガンカモ科鳥類の観察数に大きな変化は見られません。一方で地域的には、コハクチョウなどの一部の種において昨年と比較して太平洋岸寄り、また南寄りの地域で多く観察されています。
1.調査概要
・目的 | : | 我が国におけるガンカモ科鳥類の冬期の生息状況を把握すること。 |
・調査期間 | : | 平成18年1月15日(予備日:1月8~22日) |
・調査地 | : | ガンカモ科鳥類の生息地となっている全国約9,000 地点の湖沼等で調査を実施しました。 (ハクチョウ類及びガン類については原則として全ての生息地を対象とし、カモ類の生息地については可能な限り多くの生息地を対象としました。) |
・調査方法 | : | 各都道府県において、各調査地点に調査員を配置し、双眼鏡等を使用した目視により、ガンカモ科鳥類の個体数を種ごとにカウントしました。 |
・集計 | : | 各都道府県の調査結果を環境省において全国集計しました。 |
2.結果概要
(1)全国における観察数について
全国の調査地のうち約5,900地点でガンカモ科鳥類が観察され、コハクチョウなどのハクチョウ類は約670 地点、マガンなどのガン類は約140地点、マガモなどのカモ類は約5,800地点で観察されました。ハクチョウ類(平成16年度:575地点→平成17年度:672地点)、ガン類(平成16年度:107地点→平成17年度:142地点)については昨年度よりも観察地点数が増えており、分散している傾向がみられました。
全国で観察された総数は、ハクチョウ類約8万2千羽、ガン類約11万4千羽、カモ類約186万8千羽でした。なお、過去10年間(*後述)の調査結果の推移(表1及び図1)をみると、全国におけるガンカモ科鳥類の観察数は、年変動はあるものの、ほぼ同程度で推移しています。
ハクチョウ類については、北海道、東北6県、新潟県の地域で観察数が多く、この地域で全国の約81%に当たる約6万6千羽が観察されました。ガン類については、宮城県で全国の約86%に当たる約9万7千羽が観察されました。カモ類については、広く全国に分布して観察されました。
(2)地域的な観察数の変化について(表2及び図2-1~図2-6)
ハクチョウ類のうち、オオハクチョウについては、今年度は昨年度と比べ北海道、山形県などで観察数が減少しています。一方、福島県、宮城県などでは観察数が増加しました。また、コハクチョウについては、今年度は昨年度と比べ新潟県、山形県などで観察数が減少しています。一方、長野県、島根県などでは観察数が増加しました。
ガン類のうち、マガンについては、今年度は昨年度と比べ宮城県、岩手県などで観察数が減少しています。一方、島根県、滋賀県などでは観察数が増加しました。また、ヒシクイについては、今年度は昨年度と比べ秋田県、山形県などで観察数が減少しています。一方、宮城県、新潟県などでは観察数が増加しました。また、全国的に分散する傾向がみられました(平成16年度:27地点→平成17年度:43地点)。
カモ類のうち、マガモについては、今年度は昨年度と比べ山形県、岩手県などで観察数が減少しています。一方、茨城県、大分県などでは観察数が増加しました。また、スズガモについては、今年度は昨年度と比べ愛知県、東京都などで観察数が減少しています。一方、長崎県、島根県などでは観察数が増加しました。
(3)まとめ
過去10年間の調査結果によると、全国的にはガンカモ科鳥類の観察数に大きな変化は見られません。ただし、昨年度と比較して、オオハクチョウ、コハクチョウでは太平洋岸寄り、ヒシクイ、マガモ等では南寄りの地域に分散して観察されました。この原因は特定できていませんが、今冬の日本海側を中心とした積雪、結氷の状態が影響している可能性が考えられます。
なお、今回の集計結果は暫定値であり、今後データの精査を行った上で最終的な取りまとめを行います。
- *
- 昭和45年から調査を実施しているが、調査箇所数及び調査員数が大きく変化しているために、調査精度がほぼ同一と判断される過去10年間について比較対象としている。
添付資料
- (表1及び図1)過去10年間の調査結果の推移 [PDF 39 KB]
- (表2及び図2-1~図2-6)地域的な観察数の変化について [PDF 238 KB]
- (参考資料)平成17年度ガンカモ科鳥類の生息調査(平成18年1月調査実施) [PDF 90 KB]
- 連絡先
- 環境省自然環境局野生生物課課長 名執 芳博
課長補佐 山崎 敬嗣
担当 松田 彰紀
環境省自然環境局生物多様性センター
センター長 北沢 克巳
総括企画官 中島 尚子