報道発表資料
本報告書は、ダイオキシン類環境モニタリング研修を実施するために必要な測定分析施設の整備のあり方、ケミカルハザード防止関連設備の内容及び施設の運用に当たっての安全管理体制等について提示したものである。
環境研修センターとしては、同報告書をもとに、ダイオキシン類分析研修施設の建設を早急に進めるなど実施体制の整備を図ることとしている。
1.経 緯
近年、社会問題となっているダイオキシン類の汚染実態を詳細に把握するため、全国 的な環境モニタリング体制を整備することが緊要の課題となっているが、ダイオキシン 類の測定分析を行うためには、高度な分析技術を持った専門家が必要である。
環境庁は、環境研修センターにダイオキシン類分析研修施設を整備することとし、今 年度第1次補正予算に、所要の経費(323百万円)を計上した。
環境研修センターでは、ダイオキシン類分析研修施設を整備するに際し、関連分野の 専門家で構成する「ダイオキシン類分析研修施設整備検討会」を本年6月に設置して、 これまで4回にわたって検討を重ねてきた。
このたび、その検討成果を報告書として取りまとめたものである。
2.報告書の名称
「ダイオキシン類分析研修施設整備検討会報告書」
(座長:鈴木継美 元国立環境研究所長)
3.報告書の内容
(1) ダイオキシン類分析研修施設整備のあり方
ダイオキシン類分析研修施設を整備するに当たり最も重要なことは、ダイオキシン 類を取り扱う者の安全及び健康の確保と、ダイオキシン類による周辺環境の汚染の防 止に万全を期することである。
ダイオキシン類分析研修施設は、環境研修センター特殊実習棟1階部分を改造して設置する。全体の床面積は228平方メートルを予定する。
本施設は、{1}前室(一般施設とダイオキシン測定分析施設との緩衝地帯兼準備室)、{2}パスルーム(前処理室とGC/MS室に直結した室)、{3}前処理室(試料の分解、抽出、濃縮、精製等をする室)、{4}GC/MS室(前処理室で調製した試料を測定する室)、{5}標準・試料室(ダイオキシン類の標準物質や試料を保管する室)、{6}廃棄物保管室(管理区域内から出る廃棄物を保管する室)、{7}データ解析室(GC/M Sでの測定データを解析する室)から構成するものとする。
これらの室については、ケミカルハザード防止設備を整備し、特殊化学物質の管理区域内に設ける。
(2) ケミカルハザード防止対策
ダイオキシン類測定分析施設の構造は、ケミカルハザード防止のため万全を期するとともに、空調・排気設備、安全対策設備など、ケミカルハザード防止関連設備の整備に万全を期するものとする。空調等の条件は、次表のとおり。
面 積 (m2) |
温度条件 (℃) |
湿度条件 (%) |
換気回数 (回/時) |
室内圧力 (mmAq) |
空調時間 (h) |
|
前室 | 16 | 約23 | 成り行き | 20 | -2 | 8~10 |
バスルーム | 11 | 専用空調なし | 20 | -2 | 専用空調なし | |
前処理室 | 53 | 23程度 | 50% 以内 |
25 | -3 | 8~10 |
GC/MS室 | 32 | 23±2 | 50±10 | 25 | -3 | 24 |
標準・試料室 | 4 | 前処理室に準ず | ||||
廃棄物保管室 | 6 | GC/MS室に準ず | ||||
データ解析室 | 76 | 任意設定 | 成り行き | - | 常圧 | 一般空調 |
(3) ダイオキシン類分析研修施設運用に当たっての安全管理体制
ダイオキシン類分析研修施設を運用するに当たって、人為的事故を最小限に抑え、取扱者の安全及び健康の確保、周辺環境への汚染の防止を確実なものにするため、ダイオキシン類を取り扱う上で遵守すべき事項について安全管理規程等を制定することが必要である。
4.今後の取組
(1) 環境研修センターでは、検討会報告書を受けて、ダイオキシン類分析研修施設の建設を早急に進めることとし、来年1月を目途に建設工事に着手すべく作業を進める。
(2) 来年度からダイオキシン類環境モニタリング研修を開設するため、平成11年度政府予算案に所要の経費を要求している。
(3) 本報告書について地方公共団体に周知するため、本年12月9日付けで地方公共団体に送付するとともに、同日環境庁で開催する「地方公共団体公害試験研究機関等所長会議」において説明する予定である。
- 連絡先
- 環境庁環境研修センター
TEL 042(994)9303
研修企画官 :藤 田 八 暉
庶務課長 :川 崎 俊 郎
主任教官 :牧 野 和 夫