環境省は、吉の浦火力発電所(燃料:天然ガス)に係る環境影響評価準備書について、本日付けで経済産業大臣に対し、景観への一層の配慮及び二酸化炭素総排出量の低減を求める環境大臣意見を提出した。
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- 環境省は、吉の浦火力発電所(沖縄県中頭郡中城村、事業者:沖縄電力株式会社)に係る環境影響評価準備書について、環境の保全の見地からの意見を求められたことから、平成18年2月17日付けで経済産業大臣に対し、環境大臣意見を提出した。
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本事業は、火力発電所の中では環境負荷の低い天然ガスを燃料とし、また、発電効率の高いコンバインドサイクル発電システムを採用するととしている。一方、事業計画地は、既存の埋立地であるが、近傍の史跡である中城城跡から中城湾を見下ろしたときに正面に位置することから、眺望景観について十分配慮する必要がある。また、昨年4月に京都議定書目標達成計画が閣議決定され、電力分野における地球温暖化対策が一層重要となっていることから、沖縄電力(株)の事業活動に伴う二酸化炭素の総排出量をできる限り低減するよう配慮する必要がある。
これらのことから、環境大臣意見では以下の内容について指摘している。
- (1)
- 事業計画地近傍の史跡である中城城跡からの眺望景観に十分配慮するため、発電所の構造物の配色、デザイン及び修景緑化について、周辺の景観と調和するよう、さらに検討すること。
- (2)
- 事業者が所有する火力発電所の中で最も二酸化炭素排出原単位の小さい本 発電所を優先的に稼働するとともに、既設の発電所についても、事業者の販売する電力全体の二酸化炭素排出原単位がより小さくなるよう適切に稼働分担を行うこと。また、LNG冷熱の有効利用について、技術開発の動向を注視しつつ、検討を進めること。
- 3.
- なお、事業者に対しては、経済産業大臣から、環境大臣意見を勘案した勧告がなされることとなる。
[環境大臣意見の内容]
- 1
- 事業計画地近傍の史跡である中城城跡からの眺望景観に十分配慮するため、発電所の構造物の配色、デザイン及び修景緑化について、周辺の景観と調和するよう、さらに検討すること。また、その旨を評価書に記載すること。
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本事業は、燃料として他の化石燃料と比べて二酸化炭素排出原単位の小さい天然ガスを使用するとともに、火力発電所としては現時点における最高レベルの発電効率を有する設備を採用するとしているが、昨年4月に京都議定書目標達成計画が閣議決定され、電力分野における地球温暖化対策が一層重要となっていることから、以下の措置を講ずることにより、事業活動に伴う二酸化炭素の総排出量の低減を図ること。
また、これらについて、評価書に記載すること。
- (1)
- 当該事業者が所有する火力発電所の中で最も二酸化炭素排出原単位の小さい本発電所を優先的に稼働するとともに、既設の発電所についても、事業者の販売する電力全体の二酸化炭素排出原単位がより小さくなるよう適切に稼働分担を行うこと。
- (2)
- LNG冷熱の有効利用について、技術開発の動向を注視しつつ、検討を進めること。
[参考]
○事業概要
・名称 |
吉の浦火力発電所 |
・事業者 |
沖縄電力株式会社 |
・計画位置 |
沖縄県中頭郡中城村字泊509番地の2及びその地先 |
・発電方式 |
ガスタービン及び汽力(コンバインドサイクル発電方式) |
・出力 |
100.4万kW(25.1万kW×4機) |
・燃料 |
天然ガス(約80万t/年) |
・運転開始時期(予定) |
1号機:平成22年度 |
2号機:平成23年度 |
|
3号機:平成28年度 |
4号機:平成32年度 |
○環境影響評価手続(環境影響評価法及び電気事業法に基づく手続)
・方法書(再手続)縦覧※ |
平成15年11月6日~平成15年12月5日(住民意見1件) |
・沖縄県知事意見提出 |
平成16年3月23日 |
・経済産業大臣勧告 |
平成16年4月21日 |
・準備書縦覧 |
平成17年7月4日~平成17年8月3日(住民意見1件) |
・沖縄県知事意見提出 |
平成17年12月22日 |
・環境大臣意見照会 |
平成17年12月26日 |
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- ※
- 平成14年に方法書手続が実施されたが、その後、事業内容の変更があり、方法書の再手続が実施されている。
添付資料
- 連絡先
- 環境省総合環境政策局環境影響評価課環境影響審査室
室長 早水 輝好 (内6231)
審査官 中西 重二 (内6239)
TEL 03-3581-3351(代表)
03-5521-8237(直通)

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