報道発表資料
SAICMは、2020年までに化学物質が健康や環境への影響を最小とする方法で生産・使用されるようにすることを目標とし、科学的なリスク評価に基づくリスク削減、予防的アプローチ、有害化学物質に関する情報の収集と提供、各国における化学物質管理体制の整備、途上国に対する技術協力の推進などを進めることを定めたものです。
我が国では、こうした考え方を、環境基本計画等の政策文書に盛り込むとともに、関係省庁による連絡会議において、SAICMに沿った取組状況のフォローアップを行ってまいります。
1.会議概要
国際化学物質管理会議
- 日時:
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2月4日(土)~6日(月)
- 場所:
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ドバイ(アラブ首長国連邦)
- 主催:
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国連環境計画(UNEP)、化学物質の安全性に関する政府間フォーラム(IFCS)及び化学物質の適正な管理に関する国際機関間プログラム(IOMC)
- 出席者:
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世界各国の政府代表、関係国際機関、産業界、非政府機関等
我が国からは、小島敏郎 地球環境審議官のほか、環境省、外務省、経済産業省の担当官が出席。
2.「国際的な化学物質管理のための戦略的アプローチ」の概要
会合では、「国際的な化学物質管理のための戦略的アプローチ」(SAICM)を構成する「ハイレベル宣言」(ドバイ宣言)と「包括的方針戦略」が採択され、これに関するガイダンス文書として「世界行動計画」がとりまとめられました。文書の仮訳は、環境省ホームページ(https://www.env.go.jp/chemi/saicm/index.html)に掲載しています。
(1)ハイレベル宣言(「ドバイ宣言」)
2020年までに化学物質が健康や環境への影響を最小とする方法で生産・使用されるようにすることを目標に掲げた、30項目からなる宣言です。
(2)包括的方針戦略
SAICMの対象範囲、必要性、目的、財政的事項、原則とアプローチ、実施と進捗の評価について、以下のような事項が定められた文書です。
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- 科学的なリスク評価・管理手法に基づく、化学物質の生産から消費、廃棄に至るライフサイクルにわたるリスクの削減
- ○
- 完全な科学的知見が欠如していることを対策延期の理由としないとする、予防的取組方法の考え方
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- 有害な化学物質について、健康・環境への影響などの情報を整備し、関係者に提供すること
- ○
- 各国において、化学物質管理に関わる分野横断的な体制を整備すること
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- 「クイックスタートプログラム」基金をUNEPに設立するなど、開発途上国の能力向上のための国際的支援
(3)世界行動計画
SAICMの目的を達成するために関係者がとりうる行動についてのガイダンス文書として、273の行動項目がリストアップされています。
3.今後の予定
SAICMは、2月7日から9日にドバイで開催される国連環境計画(UNEP)特別管理理事会に提出され、UNEPとしてこれを承認することが予定されています。また、世界保健機関(WHO)や国際労働機構(ILO)などの関連国際機関にも、同様に承認のため提出されます。今後、SAICMのフォローアップのため、国際化学物質管理会議が2009年、2012年、2015年、2020年に開催されます。
我が国としては、SAICMの考え方を環境基本計画等の政策文書に位置づけるとともに、関係省庁による連絡会議において、SAICMに沿った取組の状況についてフォローアップを行うこととしています。また、こうした取組に当たって産業界や市民団体とも協力していくため、2月21日に開催予定の第17回化学物質と環境に関する円卓会議において、SAICMを受けた今後の化学物質対策について意見交換を行う予定です。
さらに、東アジアPOPsモニタリング事業や、化学物質管理に関する技術協力等を通じ、アジア太平洋地域における化学物質管理に関する取組を支援していく予定です。
- 連絡先
- 環境省総合環境政策局環境保健部環境安全課
課長:上家 和子(内線 6350)
課長補佐:戸田 英作(内線6353)
担当:吉崎 仁志(内線 6358)
担当:奥崎 浩享(内線 6352)