報道発表資料
概況調査を実施した井戸4,955本のうち、387本の井戸において地下水の水質汚濁に係る環境基準を超過する項目が見られ、全体の環境基準超過率は7.8%(前年度8.2%)であった。
項目別の環境基準超過率では、硝酸性窒素及び亜硝酸性窒素が5.5%(前年度6.5%)と最も高く、続いて砒素、ふっ素、テトラクロロエチレンの順であった。また、カドミウム等13項目については、環境基準を超過する井戸はなかった。
- 調査の概要
都道府県知事は、水質汚濁防止法第15条に基づき、地下水の水質汚濁の状況を常時監視することとされており、都道府県ごとに毎年測定計画を作成し、これに従って国及び地方公共団体は地下水の水質の測定を行っている。
本報告は、平成16年度に実施された地下水の水質(地下水の水質汚濁に係る環境基準項目)の測定結果をとりまとめたものである。(参考)測定計画に基づく調査の区分について 調査区分 調査目的 調査対象井戸 概況調査 地域の全体的な地下水質の概況を把握するために実施する調査。年次計画を立てて計画的に実施。 これまで基準超過が見られていない井戸 汚染井戸周辺地区調査 概況調査等により新たに発見された汚染について、その汚染範囲を確認するために実施する調査 当該年度に判明した汚染井戸の周辺井戸 定期モニタリング調査 確認された汚染の継続的な監視等、経年的なモニタリングとして定期的に実施する調査 前年度までに基準超過が確認された地域の汚染源近傍井戸等 - 調査自治体数及び調査井戸数
平成16年度において地下水質調査が実施された自治体数は合計1,898市区町村(前年度2,100市区町村)、調査井戸数は合計11,851本(前年度11,862本)であった(表1参照)。
- 概況調査の結果
地下水の全体的な汚染の状況は、地域の全体的な地下水質の状況把握を目的とした概況調査による評価を基本としている。平成16年度における概況調査は、合計4,955本(前年度5,129本)の井戸を対象に実施し、そのうち、387本(前年度421本)の井戸において地下水の水質汚濁に係る環境基準を超過する項目が見られ、全体の環境基準超過率は7.8%(前年度8.2%)であった(表2参照)。
環境基準項目別の環境基準超過率では、硝酸性窒素及び亜硝酸性窒素が5.5%(前年度6.5%)と最も高く、続いて砒素、ふっ素、テトラクロロエチレンの順であった。また、カドミウム等13項目については、環境基準を超過する井戸はなかった。
なお、環境基準を超過した井戸における、井戸所有者に対する措置としては、一般飲用井戸かその他の井戸かに関わらず、多くの事例で上水道への切り替え、飲用(使用)法の指示(飲用指導等)が行われ、健康被害の防止が図られている。 - 環境基準超過井戸が存在する市区町村
平成9年度から16年度の概況調査において、一度でも環境基準を超える値が検出されたことのある井戸が存在する自治体は、全国で849市区町村であり、そのうち硝酸性窒素及び亜硝酸性窒素が565市区町村と最も多く、続いて砒素、ふっ素、鉛、テトラクロロエチレン、トリクロロエチレンの順となっている(図1参照)。
- 環境基準超過率の高い項目等について
環境基準の超過率が高い5項目(硝酸性窒素及び亜硝酸性窒素、砒素、ふっ素、テトラクロロエチレン、トリクロロエチレン)について、概況調査における環境基準超過率の推移を示したものが、図2である。
汚染源が主に事業場であるテトラクロロエチレンやトリクロロエチレンの環境基準超過率は、水質汚濁防止法に基づく地下浸透規制が導入された平成元年度以降減少傾向が見られたが、ここ数年は概ね横ばいであり、依然として新たな汚染が発見されている。また、砒素、ふっ素は、岩石、土壌等からの溶出等の自然的要因により、地下水で検出される場合がある。
硝酸性窒素及び亜硝酸性窒素は、平成11年に環境基準項目に追加され、水質汚濁防止法に基づく常時監視が行われており、概況調査による環境基準超過率が他の項目に比べて高い傾向にあり、毎年200本程度の基準超過井戸が新たに確認されている。前年度までに汚染が判明した井戸を対象とした定期モニタリング調査による調査井戸数及び超過井戸数が増加していることも、汚染の顕在化を示している(図3参照)。
水・大気環境局行政資料
平成16年度地下水質測定結果(詳細)
添付資料
- 連絡先
- 環境省水・大気環境局土壌環境課地下水・地盤環境室
室長 尾川 毅(6670)
補佐 瀬戸 俊彦(6671)