報道発表資料

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1998年11月25日

モントリオール議定書第10回締約国会合の結果について

11月23日~24日の2日間、エジプトのカイロにおいて「オゾン層を破壊する物質に関するモントリオール議定書第10回締約国会合」が開催され、{1}オゾン層を破壊する可能性がある新規物質の扱い、{2}検疫及び出荷前処理用途の臭化メチルの扱い 、{3}試験研究・分析用途のオゾン層破壊物質の扱い、{4}京都議定書を考慮したモントリオール議定書の執行、等について、今後の取組の方針等が合意された。

1.会合の概要

(1)場 所:エジプト・カイロ
(2)日 程:11月18日~11月20日 モントリオール議定書第18回作業部会
11月23日~11月24日 モントリオール議定書第10回締約国会合
(3)出席者:代表 エジプト大使 小原 武
 環境庁より、山崎元資広域大気管理室長補佐が出席した他、外務省、農林水産省及び通
商産業省から関係者が出席。

2.主な合意事項

(1)オゾン層破壊の可能性がある新たな物質

 オゾン層破壊の可能性があると思われる物質について、新たな物質を規制の対象にすることについての可能性が議論され、{1}科学アセスメントパネル(SAP)及び技術経済アセスメントパネル(TEAP)による評価の結果を踏まえ、当該物質がオゾン層に脅威を与えていることを締約国が合意すれば、削減・全廃に向けて適切な手続を取ること、{2}オゾン層破壊の可能性があるn-プロピルブロマイド、ブロモクロロメタン等については、締約国が使用量・用途等の情報を事務局に提出すべきこと、{3}SAP及びTEAPに対し、n-プロピルブロマイド等の大気中寿命の短い物質がオゾン層に脅威を与えるかどうか、締約国会合に報告するよう要請すること、等が合意された。

(2)検疫及び出荷前処理用途の臭化メチル

 現在、規制が適用除外されている検疫及び出荷前処理用途の臭化メチルについて、本適用除外を厳格に運用するとともに本用途の中でその使用をさらに限定していくことができないかとの観点から、今後の扱いについて議論され、TEAPに対し、{1}適用除外となっている量及び用途を評価すること、{2}当該用途の臭化メチルの排出を抑制する手法として、個々の国が検討し得るものを締約国会合に報告すること、を要請すること等が合意された。

(3)試験研究・分析用途のオゾン層破壊物質

 現在、エッセンシャルユースとして規制が適用除外されている試験研究・分析用途のオゾン層破壊物質について、今後の扱いが議論され、{1}2005年末まで適用除外を延長すること、{2}TEAPに対し、オゾン層破壊物質を使用しなくても実施できる手法の開発状況を毎年報告するよう要請すること、{3}締約国会合において、毎年、{2}の報告を基に除外規定を外すことが可能な用途及びその除外時期を決定すること、等が合意された。   

(4)京都議定書を考慮したモントリオール議定書の執行

 代替フロンであるHFC及びPFCが気候変動枠組み条約の京都議定書において対象ガスとされたこと、及び同条約の第4回会議(COP4)でオゾン層保護と気候変動防止の取組相互の関係が決議されたことを踏まえ、京都議定書がモントリオール議定書の執行に与える影響を締約国が評価することを支援する目的で、モントリオール議定書の関連機関(TEAP等)に対し、{1}同条約事務局に関連の情報を提供すること、{2}気候変動に関する政府間パネル(IPCC)と合同のワークショップを開催すること、等を要請することが合意された。

(5)その他

 ハロンの管理、オゾン層破壊物質を含む機器の輸出入、原料用途からの漏出等について議論された。

3.今後の開催予定

モントリオール議定書第11回締約国会合は、1999年11月に北京で開催される予定。


(参考)オゾン層を破壊する物質に関するモントリオール議定書

モントリオール議定書は、オゾン層保護のための国際的な枠組みを定めた「オゾン層の保護のためのウィーン条約」(1985年採択)に基づき、オゾン層を破壊する物質の削減スケジュール等の具体的な規制措置等を定めたもの。
1987年に採択され、1990年、1992年、1995年及び1997年の4度にわたって規制強化のための改正等が行われた。
なお、議定書の締約国数は、下記のとおりである。

  国の数
モントリオール議定書批准国 168
ロンドン改正(1990年)批准国 125
コペンハーゲン改正(1992年)批准国 82

(1998年11月2日現在;国連環境計画[UNEP]資料より)

連絡先
環境庁大気保全局企画課広域大気管理室
室  長 :一瀬 壽幸 (内6560)
 担  当 :木野 修宏(内6562)