報道発表資料
全国星空継続観察(スターウォッチング・ネットワーク)は、全国各地で一斉に、肉眼や双眼鏡を使った身近な方法によって星空観察を行うものです。参加者に光害や大気汚染などのない清澄な大気への関心を高めてもらうことを目的に、昭和63年(1988年)から、毎年2回(夏期及び冬期)実施している事業です。
環境省では、本事業を通じて清らかな大気の大切さを広くアピールするとともに、本調査結果を参考にしつつ、上空への漏れ光が少ない照明器具や明るすぎない照明を普及するなど、良好な屋外照明環境の形成、ひいては、温暖化の防止や地域の大気汚染の改善に向けて、より一層の施策の推進を図っていくこととしています。
1.平成17年度冬期観察の実施
平成17年度冬期観察は、平成18年1月18日(水)から1月31日(火)までを観察期間として実施します。参加方法等についての詳細に関する問い合わせは、各都道府県・政令指定都市・中核市の大気環境行政担当部局へ。
環境省子どものページ(スターウォッチング)にも掲載しています。
URL:https://www.env.go.jp/kids/star.html
2.平成17年度夏期観察の結果(平成17年7月27日~8月9日実施)
- (1)
- 参加団体は47都道府県の427団体、参加人数は延べ7,325人。
- (2)
- 人工光の多い大都市ほど夜空が明るく、星が見えにくくなりますが、20年間に近い長期の経年変化からは、星の見え方は変化がないか、見えにくくなってきている傾向を読みとれます。
1 平成17年度冬期観察の実施
(1)観察期間
平成18年1月18日(水)から1月31日(火)まで
(参加者は、この期間中に1日以上観察する)
(2)観察方法
[1]肉眼による観察
高度の異なる天の川の3部分(ペルセウス座付近、ふたご座付近、いっかくじゅう座付近)を観察する。
[2]双眼鏡による観察
すばる(プレアデス星団)のラケット形の中の星について、何等級の星まで見えたかを観察する。
[3]星空の写真撮影
一眼レフカメラを使用し、天頂部分の夜空をリバーサルフィルム(スライド用フィルム)に撮影する。
(3)参加方法
都道府県・政令指定都市・中核市の大気環境行政担当部局へ参加申込みを行い、「平成17年度冬期全国星空観察実施の手引き」に基づき観察を実施し、その結果を大気環境行政担当部局まで報告する。
(4)定点観察
別途依頼している全国24地点の定点観察地において観察を行う。
一般参加団体による写真撮影の方法(上記の(2) [3])と同様の方法で行い、毎回継続して夜空の明るさを測定する。
2 平成17年度夏期観察の結果概要
(1)観察期間
平成17年7月27日~8月9日 (1日以上観察)
(2)参加団体・参加者数
全国から560団体の参加申込があったが、天候不順等の影響により427団体(437地点)が観察を実施した。観察の延べ参加者数は7,325人であった。(昨年度夏期は466団体、延べ7,690人が参加。)
(3)観察結果
[1] 肉眼による天の川の観察
肉眼で「天の川」の高度の異なる部分(白鳥座付近[高々度]、たて座付近[中高度]、いて座付近[低高度])の見え方を観察した。
星座の高度に応じて見え方に違いがあり、高度が低いほど「夜空が明るくて天の川が見えない」という回答の割合が高くなったことから、地上に近いほど人工光の影響を受けていることが確認できる。
[2]双眼鏡による観察結果
双眼鏡を用い、こと座の1等星(ベガ)を含む三角形付近の星を対象に観察し、「平均観察等級」 (何等級の星まで見えたのかの平均)を都市規模別にまとめた。(図3参照)
規模の大きな都市ほど明るい星しか見えず、星が見えにくいという結果となっている。
[3]カラースライド写真から求めた「夜空の明るさ」
ア.一般参加団体による写真撮影結果
各参加団体が撮影したカラースライド写真の分析結果を都市規模別(表1)、周囲の土地利用状況別(表2)に整理し、それぞれ平均値を求めた。
表1都市規模別に見た「夜空の明るさ」(平成17年度夏期)
都市規模 | 観察数 | 平均値(mag/□") ※ |
---|---|---|
巨大都市 | 12 | 17.1 |
大都市 | 23 | 18.0 |
中都市 | 36 | 18.5 |
小都市 | 90 | 20.8 |
全体 | 161 | 19.6 |
表2観察地点の周囲の土地利用状況別に見た「夜空の明るさ」(平成17年度夏期)
周囲の土地利用状況 | 観察数 | 平均値(mag/□") ※ |
---|---|---|
商業地域 | 18 | 17.5 |
工場地帯 | 3 | 17.8 |
住宅地 | 51 | 18.2 |
農業地域 | 27 | 20.2 |
森林・山間地 | 44 | 21.4 |
その他 | 10 | 19.6 |
未記入 ※2 | 8 | 21.3 |
全体 | 161 | 19.6 |
- ※1
mag/□”(マグニチュードパー平方秒角)
天空の写真をスライドにしてスライド上で星が存在しない部分の明るさ(mag)を単位平方秒角(□”)あたりで示したもの。
夜空の明るさを示す単位で値が大きいほど夜空が暗く、星が見えやすいことを示す。- ※2
全スライド観察数161地点の内、8地点は周辺状況が未記入であった。
イ.定点観察地における写真撮影結果
全国の定点観察地で実施した結果をまとめ、経年変化をグラフで表した。(図4参照)
図4は、定点におけるスライド撮影による夜空の明るさ判定の結果を図化したものである。スライド撮影による明るさ判定は第三者が客観的に行うので、前記の肉眼や双眼鏡による観察と比べると観察者による差が出にくく、また、観察場所の移動がない分、経年的変動データとしての信頼度は高くなる。
なお、次ページ(別紙)に全国24地点※の定点観測の結果を示す。
※ 今年度より国立天文台(東京都三鷹市)が定点観察地に加わった。
添付資料
- 連絡先
- 環境省水・大気環境局大気環境課大気生活環境室
室長:瀬川 俊郎(内線6540)
室長補佐:波多野 実(内線6541)
担当:島田 佳代子(内線6544)