報道発表資料

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1998年11月16日

国連気候変動枠組条約第4回締約国会議(COP4)について/概要と評価

1.概要

(1)主要な論点

{1}京都議定書において導入されたいわゆるメカニズム(排出量取引、共同実施、クリーン開発メカニズム(CDM))の制度の具体化

{2}COP3において合意が見送られた途上国の参加問題

{3}条約上の課題の検討

(2)会議の成果

 今回の会議では、今後のタイムフレームを伴う目標及びそのための具体的取組を規定する行動計画(いわゆる「ブエノスアイレス行動計画(Buenos Aires Plan of Action)」)が作成されたことが最大の成果。この中で、最大の交渉の焦点であったメカニズムについて、その原則、手続き等につき、COP6に最終決定を行うことを目的とした作業計画及び当面の作業日程が決定された他、資金メカニズム、技術移転等についても具体的作業計画が決定された。また、遵守問題については、COP6における決定を目的として検討作業を進めることが決定された。

2.主要論点別概要

(1)ブエノスアイレス行動計画

 COP4においては、条約の履行の強化、京都議定書の実効化に加え、政治的モメンタムを維持するために、以下の項目からなる行動計画が採択された。

{1}資金メカニズム

{2}技術開発及び移転

{3}条約4条8項、9項の実施(気候変動による悪影響及び対応策による影響への対処)

{4}共同実施活動(AIJ)

{5}メカニズム

{6}京都議定書の締約国会議への準備

(2)メカニズム
   「ブエノスアイレス行動計画」の中で、メカニズムについての原則、手続き、指針等につき、COP6に最終決定を行うことを目的とした作業計画を決定した。その他、各国からの提案の提出、ワークショップの開催、報告書の作成等に関する今後の当面の作業日程も合意された。

(3)途上国の自発的約束

(イ)議長国であるアルゼンチンより非附属書[1]国(途上国)の自発的約束に関する議題が提案されたが、途上国側は、議論は時期尚早であるとして強く反対した。

(ロ)結果、本件は議題から削除することとなったが、アルゼンチン主催の下、先進国、途上国別に関心のある国が集まり、意見交換を行った。意見交換の内容は、今後の協議の取り進め方で、これを非公式協議の開催と位置づけるのかは明らかでないが、今後、先進国及び途上国双方の参加による協議の場が確立されるための足がかりが形成されたものと評価できる。なお、CDMについては、中南米諸国及びアフリカ諸国が独自の動きを示すなど、従来のG77+中国(途上国グループ)の一枚岩がくずれる徴候が出てきたことは注目される。

(4)条約上の課題

(イ)条約4条8項、9項の実施(気候変動による悪影響及び対応策による影響への対処については、COP5及びCOP6での決定に向けて、各国からの提案の提出及びワークショップの開催等、検討のための具体的な作業日程が決まった。

(ロ)資金メカニズムについては、途上国による更なる取組に配慮した追加的ガイドラインが設定された。

(5)吸収源
   吸収源については、6月にボンでの補助機関会合で決まった今後の作業計画をベースとして、それをさらに発展させた今後の作業計画につき合意した。

(6)遵守問題
 遵守問題に関するSBSTA/SBIの共同作業グループを設立することが決定した。

COP6での決定を目的とし、今後、作業グループを中心とした検討が進められることとなった。

3.評価

(1)COP4において、京都会議後の国際的取組についてのタイムフレームを伴う共通目標を設定し、今後実施すべき作業を具体化することができたことは、今後の交渉のモメンタムの維持、強化に大きく資することになったと評価できる。

(2)また、今回の会議では、東京での閣僚レベル非公式会合の成果が、メカニズムにおける議論をはじめとして、様々な場で交渉の進展に反映され、最終的に「ブエノスアイレス行動計画」という大きな成果として結実した。先進国と途上国の対立が顕在化したにも拘わらず、今回の会議で何らかの成果をまとめようとする積極的かつ協力的姿勢が先進国、途上国の双方から見られ、これが今回の会議の成功に大きく貢献した。

(3)更に、今回の会議では、会議初日及びハイレベル・セグメント(後者は真鍋環境庁長官)において、我が国の地球温暖化対策に関する国内努力や国際協力の現状についての演説を行ったのをはじめとして、いくつかのセッションにおいて、我が国の考え方についての説明を行うとともに、英文資料を配布し、我が国の取組ぶりをアピールするとともに、我が国の考え方に対する理解を求めた。その結果、我が国の地球温暖化への取組ぶりと考え方に対する各国の理解を深めることができた。

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