報道発表資料

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1998年11月11日

気候変動枠組条約第4回締約国会議(COP4)ー会議第1週目の概要ー

COP4(11月2日~13日、於:ブエノスアイレス)の第1週目(2日~7日)が終了した。これまでの現地日本政府代表団からの報告に基づきその概要を取りまとめたところ、以下の通り。

1 COP4の焦点

今回の会合の焦点は、京都会議以降に積み残された課題である以下の2点につき、どこまで実質的な進展が図れるかということ。

  1. 排出量取引、クリーン開発メカニズム(CDM)、共同実施(JI)のいわゆるメカニズムの具体的な制度設計を図ること。
  2. 京都議定書で規定されなかった途上国の参加について、何らかの議論を行うこと。
2 これまでの概要
(1) メカニズムについて
 EUは、メカニズムに関する数量的上限の設定を主張。アンブレラグループ(非EU先進諸国)は数量的上限設定には反対しており、先進国内で協議を継続中。一方、先進国側と途上国側の間の議論も実施。この 中で、議長により、今後のメカニズムに関する作業計画案が提示されたが、途上国側は慎重な議論を求めており、右議長案をベースにして議論するかどうかで先進国(賛成)と途上国側(反対)で議論がおり合わず。 コンタクトグループ会合において調整を継続。
(2) 途上国の参加について
 2日、COPの議題に途上国の自主的参加を含めるべしとする議長国アルゼンティンの提案が途上国の反対により却下され、結局非公式会合を設けて議論することとなった。現在アルゼンティンが当該非公式会合 開催に向け途上国側に根回ししている模様。
 途上国の参加問題につき議論することに、これまで途上国側が一枚岩で反対してきた中で、今回アルゼンティンを始め、チリ、韓国等議論に前向きな国が出てきたことは注目される。
(3) 吸収源(シンク)について
 京都議定書で規定された吸収源(シンク)(温室効果ガス削減算定時に、森林等による二酸化炭素の吸収分を算定できるとするもの)については、6月の補助機関会合(於:ボン)で一定の成果があったが、今回 の会議では更に進展がみられ、結局、IPCCの特別報告書が提出される2000年5月以降に開催される最初の締約国会議で、京都議定書の規定の細目の定義、規則、指針等について合意する旨の決定が来週の全 体会議で採択されることとなった。
(4)

その他
 議定書に規定された共同実施活動(AIJ)(2000年までに試行的に先進国から途上国への温暖化対策のプロジェクト等に支援を行うとするもの)や、枠組条約で規定されている、途上国に対する技術移転や 資金支援のメカニズム等について、コンタクトグループ会合や非公式会合の下で議論が行われ、来週も議論が継続する見通し。

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