報道発表資料

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2005年09月25日
  • 地球環境

「気候変動枠組条約第11回締約国会議(COP11)及び京都議定書第1回締約国会合(COP/MOP1)閣僚準備会合」の結果について

要旨:
 気候変動枠組条約第11回締約国会議(COP11)及び京都議定書第1回締約国会合(COP/MOP1)閣僚準備会合は、9月22日から24日にかけて、約40か国他が参加してオタワで開催された。今次準備会合は、本年2月の京都議定書発効を受け、11月28日から12月9日までモントリオールで開催されるCOP11及びCOP/MOP1をいかに成功に導くかを念頭に、議長国であるカナダの主催により非公式な意見交換を目的として開催された。
 我が国からは、小池百合子環境大臣他が出席し、「京都議定書目標達成計画」やクール・ビズ等の取組を紹介するとともに、COP11及びCOP/MOP1では、京都議定書を実施に移すために必要な決定を行うべきこと、2013年以降の次期枠組みに関して全ての国が参加する実効ある枠組みの構築が必要であることなどを主張した。
 今回の準備会合では、多様な意見が表明され、論ずべきテーマについて一定の共通理解が得られるなどの前進は見られたものの、一方、意見の基本的対立がみられる論点も多く残された。今後はこの準備会合の結果を踏まえ更に調整が進められることとなるが、我が国としても、COP11及びCOP/MOP1の成功に向け、引き続き積極的に貢献していくこととする。

みんなで止めよう温暖化 チーム・マイナス6%

I.概要

1.会議概要

(1)

日時  :9月23日-24日

(2)

場所  :カナダ・オタワ

(3)
参加者:40ヵ国の代表、欧州委員会、条約事務局他
(我が国からは、小池百合子環境大臣、西村特命全権大使(地球環境問題担当)、笹谷環境省審議官、深野経済産業省審議官他が出席。)

2.会合の結果概要

(1)

モントリオール会合で議論すべき点は大分して2点であることについては、大方の見解の一致を見た。第一は、京都議定書の実施と現行の各種制度の改善に関すること、第二は2013年以降の将来の枠組みのあり方に関することであった。

(2)
小池大臣は、初日午前に発言し、特に以下の点を主張した。
  • 気候変動によって、地球の異変がこれ以上深刻にならないよう、国際社会がスピード感を持って、責任を持って行動すべきこと。
  • 我が国は、京都議定書目標達成計画を策定し、対策強化しているのみならず、「チーム・マイナス6%」やクール・ビズなどあらゆる取組を推進しており、京都議定書の6%の削減約束達成に向け全力投入していること。
  • 京都議定書は、条約の究極目的の実現に向けた重要な第一歩であり、モントリオールでは、まず京都議定書の実施を担保する措置についての合意形成とCDMなどの制度の改善を行うべきこと。
  • 2013年以降については、これまでの共通基盤・経験を踏まえ、全ての国が参加する実効ある枠組みの構築が不可欠であること。
(3)
上記の二つの論点については、様々な意見の相違も見られ、今後議論を深めていくことになった。
[1]
京都議定書の実施と現行の各種制度の改善に関して
  • マラケシュ合意の採択が重要である点では大方の意見の一致を見た。ただし、遵守手続きに関しては、その措置に法的拘束力を持たせるため議定書の改正が必要であるとする国もあったが、京都メカニズムの円滑な実施のためにもまずはその措置をCOP/MOPで速やかに決定すべきとの方向であった。
  • CDMの審査の迅速化などの改善が必要であるという点は、多くの国が主張した。一方で、CDMの実施にあたっては、アフリカなどの低開発国の参加や、先進国のみのメリットとならないよう途上国の持続可能な開発に十分に留意することが必要であるとの指摘もあった。また、事務局の人員や予算を充実すべきとの意見もあった。
  • 炭素市場の利用を進めていくべきという点についても多くの指摘があった。一方で、市場の力だけに任せるべきではないとの意見もあった。
  • 将来の大幅排出削減に向けて、技術の開発と普及の重要性や技術の移転を更に進めるべきとの指摘が多かった。
  • 今後は、より一層貧困の撲滅やエネルギー供給の確保等を含めた開発政策と、気候変動政策との統合が重要であり、また、そのために如何に温室効果ガスの削減対策に対しインセンティブを生み出すかが重要と多くの途上国が主張した。
  • 各種基金を充実していくことが必要であるとの主張が、多くの途上国によりなされた。
  • 適応問題が今後ますます重要であること、このためCOP10で決定されたブエノスアイレス作業計画に基づき、5カ年作業計画の早期策定がまずは重要であるという点で概ね意見の一致を見た。
[2]
2013年以降の将来の枠組のあり方に関して
  • 2013年以降の次期枠組みの構築に向けて、早期に対話を開始すべきとする国が多くあった。一方、現在はより実践的、具体的な取組を進めることがより重要であり、新たな約束についての対話や交渉は時期尚早で応じられないとの強い主張をする国もあった。
  • また、2013年以降の将来交渉開始は既に議定書に定められた既定路線であり、モントリオールでは、議定書3条9項に基づき議定書批准先進国の第2約束期間について議論することが先決である旨主張する国がある一方、より幅広く条約締約国全体の参加の下で将来のあり方について議論すべきであるとの主張を行う国もあった。
  • なお、特に途上国の一部からは、先進国は将来枠組みの議論をする前にまずは京都議定書の約束を果たすべきであること、途上国は貧困の撲滅などの優先課題を抱えており、温室効果ガスの排出抑制が強制されるべきではないこと、今後更に適応問題を重視した枠組みが必要となることなどの指摘があった。これに対し先進国からは、議定書の約束は確実に果たすこととしており、それと将来枠組みの議論とは同時に進めることが可能であること、途上国に対して先進国と同様の義務を求めようとしているのではなく、共通だが差異ある責任の原則を踏まえるべきと理解していること、などの主張がなされた。

II.二国間会談

小池環境大臣は、今回の機会を利用して、英国・カナダ・オーストラリア・欧州委員会と二国間会談を行った。
カナダ・ディオン大臣との会談では、小池大臣より、COP11、COP/MOP1の議長国として今回の非公式会合におけるディオン大臣のイニシアチブを高く評価し、今後重視すべき点等について意見交換を行ったほか、わが国としても協力していく旨述べた。
英国ベケット大臣との会談では、グレンイーグルズG8サミットにおいて、気候変動問題対策の推進のために大きな成果が得られており、今後その取組の具体化が重要であること、COP11、COP/MOP1の成功に向けて協力していくこと等の点で一致した。
豪州キャンベル大臣との会談では、アジア太平洋パートナーシップにつき、京都議定書を補完する取組として協力していくこと、COP11の成功に向けてお互いの努力が必要であることなどで一致した。また、小池大臣からは豪州も京都議定書の仕組みに係る議論に積極的に参画するよう働きかけた一方、キャンベル大臣からは、将来枠組みに向けては、十分な議論が必要であることなどが指摘された。
欧州委員会のディマス委員との会談では、COP11、COP/MOP1の成功に向けて協力していくこと等で一致した。

III.評価

(1)
今回の会合では、モントリオールの会合を如何に成功させるかを念頭に、主要各国の代表が集まり自由な意見交換をすることができた。
(2)
モントリオールで調整すべき主要な論点は、一つは京都議定書の実施に必要な事項の決定と現行の各種制度の改善について、もう一つは将来枠組みのあり方についてであるとの課題設定については、大方の見解が一致した。
(3)
しかし、各々の論点については、様々な意見の対立が見られた。特に、将来の枠組みのあり方に関しては、直ちに対話を開始すべきとする国と、それよりも一層の具体的行動が重要であり、新たな対話や交渉は時期尚早と主張する国との隔たりが大きかった。
(4)
我が国からは、小池環境大臣が出席し、我が国の積極的取組を紹介すると共に、モントリオールで京都議定書を実施に移すために必要な決定を行うべきこと、2013年以降の次期枠組みに関して、全ての国が参加する実効ある枠組みの構築が必要であること等わが国の基本的立場を主張した。
(5)
今後はこの準備会合の結果を踏まえ、更に調整が進められることとなるが、今後の調整課題が多く残されているので、我が国としても、COP11及びCOP/MOP1の成功に向け、引き続き積極的に貢献していくこととする。
(了)
連絡先
環境省地球環境局地球温暖化対策課
国際対策室長: 水野 理  (6772)
 補佐: 竹本 明生 (6773)
 担当: 小林 豪  (6775)