報道発表資料
環境庁では、快適環境づくりの推進のため、アメニティあふれるまちづくりに顕著な実績を挙げている市区町村を毎年表彰しています(環境庁長官表彰)。
9回目の今年は、一関市(岩手県)・小坂町(秋田県)・古河市(茨城県)・津川町(新潟県)・砺波市(富山県)・掛川市(静岡県)・太宰府市(福岡県)・甲佐町(熊本県)の8団体が表彰団体として選ばれました。
なお、表彰式は、11月12日、神奈川県小田原市で行われる第19回快適環境シンポジウムにおいて行います。
1.表彰制度の概要
(1) | 制度の趣旨: アメニティ(Amenity)とは、一般に「快適な環境」と訳され、私たちの身近な生活環境を構成している様々な要素(自然や伝統など)が、互いに活かしあい、その中で生活している人間との間に真の調和が保たれている場合に感じる「好ましい」とか「心地よい」といった感覚を指す言葉です。日本では、1977年にOECD環境委員会から「日本は数多くの公害防除の戦いを勝ち取ったが、環境の質を高める戦いではまだ勝利を収めていない。」という指摘を受けたことを契機に、強く認識されるようになりました。現在では、景観や親水性への配慮など、多くの施策に採り入れられており、国や自治体などの施策に広く浸透した概念となっています。 環境庁では平成2年度より、このようなアメニティあふれるまちづくりにおいて、特に顕著な実績を挙げている市区町村の功績を讃え、表彰することで、地方公共団体がアメニティあふれるまちづくりに取り組む上でのと励みとしていただくとともに、他の地方公共団体の模範となるよう、その具体的な取組状況を毎年秋に開催している快適環境シンポジウムにおいて紹介しています。 |
(2) | 表彰者:環境庁長官 |
(3) | 表彰対象:市町村(特別区を含む) |
(4) | 選考基準: アメニティあふれるまちづくりにおいては、施設整備などのハード面の施策ばかりではなく、地域住民と一体となった快適な環境づくりといったソフト面での施策を同時に進めていくことが重要であることから、ハード面とソフト面を総合的に勘案して選考を行っています。 |
(5) | 選考手続: 有識者からなる選考委員会(参考1)の意見を聞いた上で、環境庁長官が表彰団体を決定し、快適環境シンポジウム(本年度は11月12日に神奈川県小田原市で開催)において表彰を行います。 |
2.平成10年度(第9回)の表彰団体
本年度の表彰団体は、選考委員会の意見を踏まえて、以下の8団体に決定しました。(各団体の概要は別紙)
一関市 (岩手県)
小坂町 (秋田県)
古河市 (茨城県)
津川町 (新潟県)
砺波市 (富山県)
掛川市 (静岡県)
太宰府市 (福岡県)
甲佐町 (熊本県)
(参考1)選考委員名簿(50音順)
浅野 直人 | 福岡大学教授(法律学) |
生内 玲子 | 交通旅行評論家 |
岡田 康彦 | 環境庁企画調整局長 |
北澤 猛 | 東京大学助教授(都市工学) |
進士五十八 | 東京農業大学教授(造園学) |
眞崎 義明 | 全国アメニティ推進協議会(事務局=名古屋市)事務局長(名古屋市環境保全局長) |
(参考2)これまでの表彰団体(41団体)
第1回(平成2年度) ○砂川市(北海道) ○越谷市(埼玉県) ○呉 市(広島県) ○盛岡市(岩手県) ○上中町(福井県) 第2回(平成3年度) ○岐阜市(岐阜県) ○長浜市(滋賀県) ○綾 町(宮崎県) ○磐田市(静岡県) ○出雲市(島根県) 第3回(平成4年度) ○網走市(北海道) ○大津市(滋賀県) ○福岡市(福岡県) ○仙台市(宮城県) ○神戸市(兵庫県) 第4回(平成5年度) ○諏訪市(長野県) ○西条市(愛媛県) ○佐賀市(佐賀県) ○丸亀市(香川県) ○北九州市(福岡県) 第5回(平成6年度) ○原町市(福島県) ○名張市(三重県) ○広島市(広島県) ○狭山市(埼玉県) ○彦根市(滋賀県) 第6回(平成7年度) ○富良野市(北海道) ○高崎市(群馬県) ○湯布院町(大分県) ○長井市(山形県) ○島原市(長崎県) 第7回(平成8年度) ○東和町(岩手県) ○板橋区(東京都) ○金沢市(石川県) ○三島市(静岡県) ○名古屋市(愛知県) ○大島町(長崎市) 第8回(平成9年度) ○世田谷区(東京都) ○小田原市(神奈川県) ○富士市(静岡県) ○木曽福島町(長野県) ○豊浜町(香川県)
(別紙)今年度の表彰団体概要
一 関 市 |
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岩手県 (62,486人・410.23km2) 一関市は、岩手県の南端、北上川の中流域にあって、西に国定公園栗駒山を仰ぎ、市街の中心部を流れる磐井川の上流には、渓谷美で知られる厳美渓を有するなど、緑豊かな自然に恵まれた町です。 アメニティ施策に係る具体的な取組として、市民のまちづくりに対する意識の高揚とその意欲を培うことを目指して、民区単位で住民自らが企画し、実際の事業も手掛ける「いちのせきの里まちづくり推進事業」を進めており、市民の参加意識を高め、自然な形での世代間交流を実現しています。また、生活排水対策として、洗剤の代替品として「皀(サイカチ)」の実の使用促進を進めるなどのユニークな活動も見られます。他にも、活発な活動を行っている民間団体が多く、また一斉清掃にほぼ全戸からの参加があるなど、市民活動が活発です。広大な河川公園などの都市緑化にも積極的に取り組んでいます。 |
小 坂 町 | : | 秋田県(7,675人、178.10km2) 小坂町は、秋田県の東北端に位置し、明治初期より鉱山の町として栄えた当時の歴史的な建築物が息づき、また、十和田湖を控えた自然豊かな町です。 アメニティ施策に係る具体的な取組として、芝居小屋「康楽館」等の建築群がある町中心部に、煙害対策として植栽されたアカシヤ並木や中央公園、ポケットパークを整備し、憩いの空間を作っています。また、家庭用生ゴミ処理のシステム化を目指して、畜産の糞尿処理施設を利用して、公的施設の生ゴミの堆肥化を行っているほか、鉱山技術を生かした金属リサイクル産業、JICA研修員との個人レベルの国際交流などを進めています。 |
古 河 市 | : | 茨城県(59,144人、21.00km2) 古河市は、関東平野のほぼ中央にあって、利根川と渡良瀬川を挟んで、栃木県・群馬県・埼玉県と県境を接し、33km2の広大な渡良瀬遊水池や古河公方館跡などの史跡で知られています。 アメニティ施策に係る具体的な取組としては、「日本一きれいなまち」をキャッチフレーズに、ポイ捨て禁止条例と推進本部の設置、年4回の全市的清掃活動や自治会組織などの清掃活動、女性ボランティア組織「エルミット」による活動など、ゴミと放置自転車のないまちを目指した活動が広く行われています。また、水辺環境を復元し、景観工学を生かした総合公園やワークショップ形式による「道空間」づくりなどの整備も進められています。 |
津 川 町 | : | 新潟県 (5,654人、84.19km2) 津川町は、新潟県の東側、福島県会津地方と接した、奥羽山脈の麓、阿賀野川の舟運や筏流送で栄えた川港町です。 アメニティ施策に係る具体的な取組としては、若手商店主らからなる「旧本町再生倶楽部」によるまちづくりへの提言を契機として、伝統のある「狐の嫁入り行列」に似合ったまちづくりを目指して活発な取組が行われており、地区住民間での「まちづくり協定」や雁木(とんぼ)のある街並みづくり、ワークショップ形式での各地区の地域資源調査、「アメニティ整備計画」・「景観形成基本計画」の策定など住民と行政の連携の取れた多彩な活動が展開されています。また、子供達の視点で町の気に入った場所、直したい場所を撮影してコメントを発表してもらう「子供ワークショップ」のようなユニークな活動も行われています。 |
砺 波 市 | : | 富山県( 39,599人、96.22km2) 砺波市は、庄川扇状地の扇央部、広々とした砺波平野に開けた町で、散居村やチューリップで知られています。 アメニティ施策に係る具体的な取組としては、「花と緑のまちづくり条例」等に基づき、緑花推進市民会議による花壇コンテストや花の再活用事業、チューリップ街道実行委員会、学校や道路の緑花などの施策展開をしており、また、散居村の特色ある景観を形成している屋敷林についても、保存樹制度の他、民間の「砺波カイニョ倶楽部」が保存相談や管理方法の勉強会などを開催するなど多彩な活動をしています。また、リサイクル、リユース等によるゴミの減量を目指す5R推進運動や各地区でごみ対策委員会による分別収集の徹底などに取り組んでいます。 |
掛 川 市 | : | 静岡県(77,942人、185.79km2) 掛川市は、静岡県の西部に位置し、南に小笠山台地、北に赤石山系の尾根が走る温暖な町で、東海道の宿駅・城下町として、また、緑茶生産量日本一としても知られています。 アメニティ施策に係る具体的な取組としては、駅や掛川城周辺の街並み整備などに加え、全自治会への緑化組織の設置や生垣の推奨などで緑化運動の活性化を図っており、緑化の専門家を緑化技監として委嘱し、「万緑化GO」と名付けた車で市内を巡回し、こまめに空き地への植樹を進める他、市民の緑化相談を行うなどユニークな活動も行っています。「かけがわ環境の会」をはじめとする市民団体の活動も活発であり、また、生涯学習まちづくり土地条例や市民総代会システムなどにより、行政に対する住民の直接参加の制度化が図られています。 |
太 宰 府 市 | : | 福岡県(63,721人、29.71km2) 太宰府市は、福岡市の南東に位置し、福岡近郊の住宅・文教都市であるとともに、太宰府政庁や天満宮などの史跡の町としても知られています。 アメニティ施策に係る具体的な取組としては、緑地や史跡の公有化やコミュニティバスの導入、近隣に先駆けた指定ゴミ袋等のごみ減量への取組みを行っている他、平成6年に環境管理計画を策定し、チェック体制を整備して、その徹底に努めています。また、「太宰府水から川る会」による川掃除や再生方策の検討などの市民運動も活発に行われています。 |
甲 佐 町 | : | 熊本県(12,690人、57.87km2) 甲佐町は、熊本県の中央部にあり、九州山地を背に、中央部を緑川が貫流する中山間地の農村地帯です。 アメニティ施策に係る具体的な取組としては、町のシンボル的な存在である緑川を題材に、広く町民一般について環境についての問題意識を高めるための環境教育に非常に力を入れており、身近な川の自然から環境問題一般までを盛り込んだ総合的な啓発冊子を作成、全戸に配布するとともに、各種の研修会を通じて、積極的な活用を図っています。小中学校でも、学年別に緑川を題材とした自然、社会、生活、文化、環境保全についての教材を作成し、各教科等の中に系統的に位置づけて活用をしています。また、商店街を流れる大井手川の整備、ボランティア団体によるリサイクル活動や清掃活動、生活排水対策なども積極的に進められています。 |
- 連絡先
- 環境庁企画調整局企画調整課環境保全活動推進室
室 長 :伊藤哲夫(6196)
課長補佐 :森田義雄(6273)
担 当 :渡辺繁樹(6266)・桑原大輔(6268)