報道発表資料

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1998年01月12日

全国星空継続観察(スターウォッチング・ネットワーク)平成9年度夏期観察の結果及び冬期観察の実施計画

1.全国星空継続観察(スターウォッチング・ネットワーク)は、肉眼や双眼鏡等を使った身近な方法による星空観察を通じ光害など大気環境問題への関心を高めていただくことを目的とし、昭和63年(1988年)から、環境庁と(財)日本環境協会が呼びかけて実施しています。
2.平成9年度夏期の観察結果は以下のとおりでした。
(1) 今回の参加団体は47都道府県の431団体、参加人数は8,336人でした。
(2) 今回の観察の結果において、夜空が星の観察に適していた場所は、鹿児島県川辺町、宮崎県宮崎市、鹿児島県加世田市などでした。
3.平成9年度冬期観察は、平成10年1月18日(日)から1月31日(土)までを観察期間とします。最寄りの観察会等への参加が可能な場合がありますので、来年度の全国星空継続観察への参加方法も含め、ご関心のある方は、お住まいの都道府県・指定都市・中核市の大気保全担当部局までお問い合わせ下さい。
 平成9年度夏期観察の結果
(1) 観察期間:平成9年7月22日から8月4日まで(この期間中に1日以上観察)。

(2) 観察方法:
{1} 肉眼により、高度の異なる天の川の3部分を観察。
{2} 双眼鏡を用い、こと座の、織姫星(ベガ)を含む3つの星の作る三角形の中の星を観察し、何等級の星まで見えたかを記録。
{3} こと座のベガを中心とする星空の写真撮影により、夜空の明るさを計測。
 これらの3項目について参加団体から報告を受け、(財)日本環境協会及びスターウォッチング研究会(座長村山定男:国立科学博物館名誉会員)が集計・解析しました。

(3) 参加団体・参加者数:全国で47都道府県の431団体、8,336人が参加しました。

表1 夏期観察参加団体・人数の推移
実施時期参加団体数(都道府県・市区)参加延べ人数
昭和63年度・夏期  68団体(37・ 65)  3,157
平成元年度・夏期 153団体(44・150)  5,658
平成 2年度・夏期 204団体(45・197)  5,511
平成 3年度・夏期 187団体(44・170)  5,220
平成 4年度・夏期 247団体(47・222)  7,186
平成 5年度・夏期 245団体(44・201)  5,732
平成 6年度・夏期 408団体(47・331)  9,948
平成 7年度・夏期 429団体(47・341)  9,987
平成 8年度・夏期 454団体(47・345) 10,393
平成 9年度・夏期 431団体(47・350)  8,336
(4) 観察結果
{1} 双眼鏡によること座の観察結果

表2 こと座の三角形の中に見える星の平均観察等級の都市規模別比較
都市の規模巨大都市
(人口
100万人以上)
大都市
(30万人以上
100万人未満)
中都市
(10万人以上
30万人未満)
小都市
(10万人未満)
等級 7.8 7.8 8.2 8.7
観察相当個数:こと座の三角形の中に見える星の個数(資料1参照)
例: 7等級まで見えると7個10等級まで見えると16個
8等級まで見えると7個11等級まで見えると17個
9等級まで見えると11個
星の等級について
 天体を地上で観測した時のみかけの明るさを表した数字。その星自体の明るさを表す絶対等級と区別して、みかけの等級ともいいます。等級は数字が1減るごとに約 2.5倍明るくなります。

{2} カラースライド写真から求めた夜空の明るさ
 夜空の明るさは、カメラ・露出時間等を一定条件にして撮影したカラースライド写真から、光の透過量を測定(測定機器:デンシトメーター)し、それを1平方秒角(地球の緯度・経度と同じように、角度1秒×1秒で切り取った場合の天球面の範囲)当たりの明るさとして等級で表したものであり、星の等級と同様に数値が大きいほど夜空が暗く、星がよく見えるといえます。

表3 平成8年度夏の夜空の明るさの都市規模別比較
都市の規模巨大都市
(人口
100万人以上)
大都市
(30万人以上
100万人未満)
中都市
(10万人以上
30万人未満)
小都市
(10万人未満)
等級 17.3 17.6 18.6 20.3
表4 平成9年度夏の観察において夜空の明るさが星の観測に適していた場所
順位都道府県市区町村観察場所
(参加団体)
夜空の明るさ
(等級)
鹿児島県 川辺町 諏訪運動公園管理事務所屋上
(川辺楽友協会)
21.4
宮崎県 宮崎市 椿山森林公園
(宮崎県天文協会)
21.4
鹿児島県 加世田市 加世田市鉄山地区構造改善センター
(加世田サイエンスクラブ)
21.3
鹿児島県 財部町 陣ヶ岡展望台
(スペース・アドベンチャークラブ夜行星131)
21.3
鹿児島県 松山町 論田原団地
(松山町)
21.3
熊本県 田浦町 田浦町御立岬公園内
(田浦町)
21.3
和歌山県 川辺町 かわべ天文公園コスモロッジ屋上
(かわべ天文公園)
21.3
島根県 仁摩町 高山キャンプ町
(星見の会)
21.2
鹿児島県 菱刈町 菱刈町南浦南永小学校
(星の会)
21.2
10 栃木県 大田原市 与一公園駐車場
(夢集団・星とロマンを語る会)
21.2
注1) この表は、写真撮影から求めた夜空の明るさを基本とし、総合的な評価により順位づけを行っています。
注2) この調査は、スターウォッチング・ネットワークに自発的に参加して下さった団体により任意の地点で実施されており、全国の星空を網羅的に調査したものではありません。

 平成9年度冬期観察の実施計画
(1) 観察期間  : 平成10年1月18日(日)から1月31日(土)まで(この期間中に1日以上観察)。

(2) 観察方法  : 従来と同様、{1}肉眼による天の川の観察、{2}双眼鏡によるすばる(プレアデス星団)のラケットの中の星の観察、{3}1等星アルデバランを中心とした夜空の写真撮影、の3つの方法により行います。

(3) 参加団体数: 参加申込団体数は12月末日現在、約510団体。
最寄りの観察会等への参加が可能な場合もありますので、来年度の全国星空継続観察への参加方法も含め、ご興味のある方は、お住まいの都道府県・指定都市・中核市の大気保全担当部局までお問い合わせ下さい。

<参考>
平成10年度の全国星空継続観察は、以下の日程により実施する予定です。
夏期:平成10年8月12日(水)~8月25日(火)
冬期:平成11年1月7日(木)~1月20日(水)

 全国星空継続観察関連行事「天の川観察報告会」について
 全国星空継続観察の関連行事として個人で簡単に参加ができる「天の川観察報告会」をNTTの協力によりホームページ上で展開しております(昨年8月に実施した結果について現在も紹介しています。)。
 夏期に引き続き、冬期についても、全国星空継続観察の実施期間に合わせ、ホームページ上での観察報告を受け付けます。
 期間中に寄せられる「天の川」の観察報告については、リアルタイムで閲覧することが可能です。
 また、実施期間終了後には、観察報告に基づき、全国で冬の天の川が見える場所の分布を示す「スターウオッチングポイントMAP」を作成・公開します。

(1) ホームページアドレスと実施(報告受付)期間
ホームページアドレス:http://www.wnn.or.jp/wnn-u/
環境庁ホームページ(http://www.eic.or.jp)のトピックス内「平成9年度冬期全国星空継続観察について」からも簡単にアクセスすることが可能です。また、検索エンジンを活用する場合のキーワードは「天の川」が適当です。
報告受付期間:平成10年1月18日(日)から1月31日(土)まで

(2) 参加方法
 肉眼(メガネをかけた方はそのまま)で、天の川を観察した方は、その観察場所や日時等について、ホームページ上で登録して下さい。
 天の川にまつわる話題や観察方法等について、詳しくは上記ホームページで紹介しています。
連絡先
環境庁大気保全局企画課大気生活環境室
室    長 :竹内 恒夫(内線6540)
 室長補佐 :宍戸 政憲(内線6541)
 担    当 :西尾 達司(内線6545)