報道発表資料

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1998年11月09日

「瀬戸内海環境保全大臣・知事円卓会議」の結果について

「瀬戸内海環境保全大臣・知事円卓会議」は、11月7日、香川県丸亀市で開催され、21世紀をにらみ、三橋時代を迎える瀬戸内海の環境保全・創造のあり方について活発な議論が行われ、地方公共団体間及び国と地方公共団体との間で更なる連携の強化が必要であること等が確認された。

1.「瀬戸内海環境保全大臣・知事円卓会議」の概要

(1) 目的
 現在、瀬戸内海環境保全審議会において、「瀬戸内海における新たな環境保全・創造施策のあり方」が審議されている。この機会をとらえ、瀬戸内海の環境保全に取り組む主要府県の行政のトップと環境庁長官との間で、21世紀をにらみ、三橋時代を迎えた瀬戸内海の環境の保全と創造のあり方について、討論を行うことを目的とした。
(2) 開催日時及び場所
    平成10年11月7日(土)   13:30~16:00
    オークラホテル丸亀(孔雀の間) 香川県丸亀市富士見町3-3-50
(3) 参加者
真鍋 賢二 国務大臣・環境庁長官
貝原 俊民 兵庫県知事
藤田 雄山 広島県知事
真鍋 武紀 香川県知事
金盛  弥 大阪府副知事
野平 匡邦 岡山県副知事

2.円卓会議の成果と今後の対応

(1)

瀬戸内海の環境保全に第一線で携わる各府県の知事・副知事から、環境創造への積極的取組み、住民参加の必要性、環境教育のあり方などについて、多くの示唆に富む発言があった。
三橋時代を迎え、時間的、空間的な一体性が高まる瀬戸内海における新たな環境保全・環境創造に向けた3つの「連携」の強化が必要であることが確認された。

  1. 瀬戸内海地域における沿岸府県市町村の「横の連携」と河川流域府県市町村の「縦の連携」
      その際、瀬戸内海の一体性と多様性に留意することが必要。
      (施策分野例)
    ・水質保全、富栄養化対策の推進
    ・ゴミ処理対策の推進
  2. 環境保全に取り組む関係省庁、自治体、事業者、住民、研究者などの「各主体間の連携」
      その際、特に住民の理解と協力を得ることが重要。
    また、異なる施策間の調整に留意することが大切。
      (施策分野例)
    ・砂浜、藻場、ふれあいの場の創出
    ・住民の理解と協力による生活排水対策の推進
    ・住民の理解と協力による廃棄物減量化・リサイクル推進
    ・環境創造に資する技術の開発、調査研究の推進
    ・調査研究推進のための研究・環境情報データベース構築
       
  3. 環境保全のための「世代を超えた連携」
      (施策分野例)
    ・環境教育・環境学習の推進
(2) 環境庁としては、この会議の結果を、瀬戸内海環境保全審議会での新たな環境保全・創造施策のあり方に関する審議に反映していただくとともに、施策の企画・調整、予算要求などにおいて適切な対応を図っていきたい。

(参 考)真鍋大臣及び各府県知事・副知事の発言の概要

1.四半世紀を経た瀬戸内海の環境保全 -その成果と課題-

(1)

真鍋大臣

  1. 瀬戸内法施行後25年が経過し、その水質は、赤潮の減少等一定の改善をみたが、近年は、やや横這い傾向。
  2. 埋立ては、法施行後大幅に減少。しかし、累積する埋立てにより砂浜等自然環境は徐々に減少。また、大規模な埋立て、廃棄物処分のための埋立てにも直面。
  3. 海砂利採取、有害化学物質問題など新たな課題にも直面。
(2)

貝原・兵庫県知事

  1. 歴史を振り返り「瀕死の海」と化した瀬戸内海の環境保全を図るため、知事・市長会議、瀬戸内海環境保全協会等を設置し、環境保全に関係自治体が一丸となって取り組んできたこと
  2. さらに、このような動きが世界の閉鎖性海域の環境保全への取組みにも寄与してきていることなどの実践報告。
(3)

真鍋・香川県知事

  1. 水質保全にとどまらず、水環境総体に着目した保全の推進と住民参加
  2. 自然環境の保全に際し、開発許容量の設定等総量規制的手法の導入に係る調査・研究などの新しい問題を提起。
(4)

藤田・広島県知事

  1. 瀬戸内海の漁業生産は環境の変化(藻場・干潟の減少、森林の荒廃、内海の底質の変化)と密接な関係を有していること
  2. 海砂利採取や新型赤潮などの新しい環境問題には、国、府県、大学等の各主体の連携対応が必要なこと
  3. 環境のバロメーターたる生物との共生の重要性を指摘。
(5)

金盛・大阪府副知事

  1. 三橋時代での「環瀬戸内交流圏」をにらみ、地域全体の活性化が必要な中で、環境問題の取り組みが求められていること
  2. 生活排水対策を中心とした水質保全対策には、下水道整備、浄化槽整備、河川浄化対策の総合的対応の必要性、府民の意識向上の必要性に言及。
(6) 野平・岡山県副知事
  水質問題、自然環境問題への対応について、上下流の交流、連携による山・川・湖・海の総合的、一体的な浄化対策と広域的連携の必要性を提起。

2.三橋時代を迎えた瀬戸内海 -21世紀をにらんだ環境保全・創造施策-

(1)

真鍋大臣

  1. 「環境保全策」の充実とともに、これまでの開発で消失した自然環境を回復・整備する「環境創造策」の二元的アプローチが必要であることを指摘。
  2. 喫緊の課題として、環境教育、研究・技術開発の充実への取組みの2つを提起。
(2)

貝原・兵庫県知事

  1. 我が国では、企業、住民の環境保全への参加が不足。
  2. 総合的な富栄養化対策として、特に生活系や農業系の対策が今後重要。
  3. 臨海遊休地の適切な活用を図ることが必要。
  4. 関西空港土取り跡地の公園整備(淡路夢舞台事業)の紹介。
  5. 環境庁の中核拠点構想は時宜を得た適切なものであり、兵庫県としても詳細を勉強して意見を述べたい。
(3)

藤田・広島県知事

  1. 域内の広域連携の呼びかけと環境庁の調整・仲介機能が必要。
  2. 知事・市長会議で共通課題を協議するための「検討会」を設置。
  3. 環境だけでなく「生活」に着目した総合的な地域整備のための瀬戸内海地域総合整備法を提案。
  4. その具体例として、次のような視点を含む島嶼部の人間と自然の共生の必要性を指摘。
    • 漁業、歴史、文化、自然を活用した海版エコツーリズム
    • ゼロエミッション型社会システム
    • 環境創造、修復、保全のための新海洋環境ビジネス
(4)

真鍋・香川県知事

  1. 生活排水対策や廃棄物・リサイクル対策には住民の理解と協力が必要。
  2. 環境教育について、自県における取組みを紹介するとともに、環境庁の中核拠点は時宜を得たものであり、同構想への支持及び協力を表明。
  3. 調査研究・技術開発の促進について、多様な分野の研究成果や情報を集約し、効率的に施策に活用することが必要。
(5)

野平・岡山県副知事

  1. 環境創造のための技術開発、調査研究の事例として、アマモ場の造成技術の調査研究を紹介。
  2. 環境教育について、「渋川青年の家」等自県における取組みを紹介するとともに環境庁の中核拠点構想との連携により、より充実したものになる旨表明。同構想の実現に対し、地元としても大きな期待を抱いており、よろしくお願いしたい旨要請。環境教育に関するソフトが不足していることを指摘。
(6)

金盛・大阪府副知事

  1. 環境創造事例として、りんくうタウンのミティゲーション、関西空港の緩傾斜護岸等を紹介。環境創造事業は未知の部分が多く、実証試験等が必要であることを指摘。
  2. 瀬戸内海の浄化対策については、流入河川の地域住民の上下流一体となった取組みと水源地での森林整備の重要性を指摘。
連絡先
環境庁水質保全局水質規制課
室 長 :名執(6660)
 担 当 :英保(6661)、宍戸(6663)