報道発表資料

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2005年08月12日
  • 再生循環

「製品中の有害物質に起因する環境負荷の低減方策に関する調査検討報告書」の取りまとめについて

欧州連合(EU)では特定有害物質使用制限(RoHS)指令が公布、発効し、電気・電子機器における有害物質(鉛や水銀等6物質)の使用は2006年7月から規制されます。
 日本では、廃電気・電子製品について、廃棄物処理法に基づく適正な処理が行われているなどにより、製品中の有害物質に起因する環境汚染は顕在化していませんが、環境汚染を未然に防止するため、環境省においては、「製品中の有害物質に起因する環境負荷の低減方策に関する検討会」(座長 新美育文 明治大学法学部教授)を設置して、検討を行い、今般、報告書を取りまとめました。
 本報告書は、当面講ずべき対策として、
[1]
資源有効利用促進法の活用による有害物質関連情報(RoHS対象物質の含有マーク表示など)の提供
[2]
廃棄された製品中の有害物質情報(RoHS対象物質の情報)の確実な提供
[3]
ガイドラインの作成による廃棄物MSDS(廃棄物処理法に基づき排出者が処理業者に提供することになっている廃棄物情報)の明確化
[4]
商品環境情報提供システムの活用によるRoHS対象物質の情報提供
[5]
グリーン購入法による政府調達における有害物質関連情報の管理を打ち出しました。
 今後、環境省は、関係省庁と連携して実施していくこととしています。

1.EU等における製品中有害物質規制の動き

 EU各国では、廃電気・電子機器の約90%が前処理を経ずに埋立てや焼却されており、埋立場や焼却場からの鉛などによる汚染が問題となっています。このため、EUでは電気・電子機器の特定有害物質使用禁止指令(RoHS指令)が、2003年1月27日に制定され、発効しています。RoHS指令による有害物質規制は2006年7月1日以降上市する製品に適用されることになり、EU加盟諸国は、これを受けて、国内法の整備を進めています。

2.本検討会について

 我が国においては、使用済みの製品について、家電リサイクル法、資源有効利用促進法、廃棄物処理法等に基づく回収・リサイクル、廃棄物処理法に基づく適正な処理が行われています。このため、製品のライフサイクルを通じて、その中に使用されている有害物質に起因する環境汚染が顕在化している状況にはありませんが、一方で毎年多くの有害物質が市場に投入されており、これらの一部は回収されずに廃棄物として最終的には埋立て処分されています。資源有効利用の観点からこれら有害物質を含めた天然資源のリサイクルを促進するとともに、製品に含まれるこれらの有害物質が環境汚染を引き起こすことがないよう、未然防止の観点から有害廃棄物管理やグリーン調達等の措置を講じる必要が生じています。
 このような状況を踏まえ、製品中の有害物質に起因する環境負荷の低減のための方策のあり方について調査検討を行うことを目的に「製品中の有害物質に起因する環境負荷の低減方策に関する検討会」を開催し、これまで4回にわたり、環境負荷の低減のための課題や講ずべき対策について整理を行いました。

3.検討会報告書で打ち出された対策の概要

 検討会報告書では、当面講ずべき対策として、次の5点を取りまとめています。その対策の実施に向け、環境省として、関係省庁と連携して取り組んで行くこととしています。

(1)
資源有効利用促進法の活用による有害物質関連情報の提供

 RoHS指令の対象6物質(鉛やカドミウムなど)を一定割合以上含有する大型家電製品やパソコンについて、製造事業者及び輸入販売業者に対し、有害物質含有を示すマークの表示など情報開示を求める。

(2)
廃棄された製品中の有害物質情報(RoHS対象物質の情報)の確実な提供

 排出事業者が処理事業者に製品の処理を委託する際の基準に、RoHS指令対象物質の含有情報を追加する(廃棄物処理法の省令改正等)。

(3)
ガイドラインの作成による廃棄物MSDS(※)の明確化
 廃棄物の有害特性等の情報について記載内容や様式を整理したガイドラインを作成することにより、廃棄物MSDSを明確化する。
廃棄物処理法の委託基準では、排出者は廃棄物情報(廃棄物MSDS:Material Safety Data Sheet)を処理業者に提供することになっている。

(4)
商品環境情報提供システムの活用

 製品中にRoHS指令対象物質が含有されるかどうかについての情報を商品環境情報提供システムによりウェブサイトで公開する。

(5)
グリーン購入法による政府調達における有害物質関連情報の管理

 グリーン購入法の基本方針に、RoHS指令対象物質の含有情報の把握に関する配慮事項を記載する。


【 製品中の有害物質に起因する環境負荷の低減方策に関する検討会 委員 】
(五十音順、敬称略)
貴田 晶子 国立環境研究所循環型社会形成推進・廃棄物研究センター主任研究官
斎田 正之 日本電気株式会社CSR推進本部環境推進部長
酒井 伸一 京都大学環境保全センター教授
澤地 實 大阪市環境事業局理事兼施設部長
新美 育文(座長) 明治大学法学部教授
松浦 徹也 日本電子株式会社営業統括本部/技術法規顧問
森田 昌敏 国立環境研究所客員研究官
吉田 文和 北海道大学大学院経済学研究科教授



廃棄物・リサイクル対策(廃棄物・リサイクル対策部)報告書
製品中の有害物質に起因する環境負荷の低減方策に関する調査検討報告書
連絡先
環境省大臣官房廃棄物・リサイクル対策部企画課
課長 森本 英香(6811)
 補佐 瀧口 博明(6814)
 係長 黒澤  淳(6818)