報道発表資料
平成17年6月9日に、本繁殖期における22羽目のトキのヒナがふ化し、トキの繁殖(産卵・ふ化)が全て終了しましたので、本年の繁殖結果等についてお知らせします。
平成17年は、昨年の5組のうち1組のペアを解消、新たに3組のペアを形成し、合計7組のペアで繁殖に取り組みました。その結果、42個の卵を産卵し、22羽のヒナが生育しました。現時点におけるトキの総個体数は80羽となっています。
また、トキの飼育下での自然繁殖能力について確認試験を行ったところ、昨年に引き続き、1組のペアで1羽の自然ふ化及び育雛に成功しました。また、このペアを含めた7組のペアすべてで、人工ふ化と自然育雛を組み合わせた育雛試験に成功し、飼育下においても高い育雛能力が確認されました。
平成17年は、昨年の5組のうち1組のペアを解消、新たに3組のペアを形成し、合計7組のペアで繁殖に取り組みました。その結果、42個の卵を産卵し、22羽のヒナが生育しました。現時点におけるトキの総個体数は80羽となっています。
また、トキの飼育下での自然繁殖能力について確認試験を行ったところ、昨年に引き続き、1組のペアで1羽の自然ふ化及び育雛に成功しました。また、このペアを含めた7組のペアすべてで、人工ふ化と自然育雛を組み合わせた育雛試験に成功し、飼育下においても高い育雛能力が確認されました。
1 平成17年のトキの繁殖方針
佐渡トキ保護センターの繁殖可能個体により、前年の5組のうち1組のペアを解消、新たに3組のペアを形成し、合計7組のペアで繁殖を行いました(以下の表)。
すべてのペアについて、状況により自然繁殖を試み、ふ化及び育雛能力の確認を行いました。
個体番号 | ||
---|---|---|
♂ | ♀ | |
A | 17(友友) | 16(洋洋) |
B | 19(優優) | 18(美美) |
D | 35 | 26 |
E | 27 | 40 |
F※ | 20(新新) | 48 |
G※ | 28 | 23 |
H※ | 62 | 21(愛愛) |
2 平成17年のトキの繁殖結果
- (1)産卵状況
- 平成17年は、Fペアが3月21日に初産卵し、5月14日の最終産卵(Gペア)までの55日間に、6ペアから合計42個の卵が生まれました。今年は、昨年に引き続き、自然繁殖に広く取り組んだことと、1ペア(H)が産卵しなかったことから、1ペア当りの産卵数は6.0個で、前年(6.8個)より少なくなっています。
また、42個のうち、有精卵は27個(64.3%)、無精卵は13個、他の2卵は破損により、検卵に至りませんでした。前年(73.5%)より有精卵率が低化した原因については、繁殖期前半の天候不順等が考えられます。
- (2)ふ化状況
- 27個の有精卵から、人工ふ化で21羽、自然ふ化で1羽、合計22羽のヒナがふ化しました。ふ化しなかった5卵のうち、1卵は発育中止、他の4卵は孵卵後期~ふ化直前の破卵により、ふ化に至りませんでした。破卵が多かったため、ふ化率は81.5%で前年(88.0%)より低下しました。この結果、総個体数は80羽に達しました。
3 自然繁殖(親鳥によるふ化と育雛)の取組について
- (1)対象ペア
- (自然ふ化)
全7ペアを対象としていましたが、次のことからB、E、F及びGの4ペアでの試みとなりました。[1] Aペアについては、平成14及び16年で失敗し、今回も卵を巣外に落とすなど、状態が不安定であったため除外しました。 [2] Dペアについては、平成17年も無精卵が続いたため除外しました。 [3] Hペアについては、産卵しなかったため対象から除外しました。
(♂の性成熟が低かったものと推測されます。)
(自然育雛)
7ペアすべてについて試みました。
- (2)方法
- (自然ふ化)
Bペアについては、第2クラッチで、他の3ペアについては、第1クラッチから有精卵を1個又は2個残して採卵し、経過を観察しました。
(自然育雛)
自然ふ化に成功したペアには、さらにもう1羽の人工ふ化した兄弟ヒナを追加しました。
自然ふ化に至らなかったペアについても、抱卵している無精卵又は擬卵を3~5日齢の人工ふ化したヒナ1羽と交換して経過を観察しました。
- (3)結果
- (自然ふ化)
E、F及びGペアは、ふ化直前で親により破卵しました。Gペアは他と比べ状況が良かったため、第2クラッチで再度試みたところ、ふ化に成功しました。
Bペアについては、第2クラッチで試みましたが、孵卵後期に事故で破卵しました。
(自然育雛)
Gペアは、1羽の自然ふ化後、人工ふ化した3日齢の兄弟ヒナを巣内に入れたところ、2羽とも正常に発育しています。
A、B、D、E及びFの各ペアは抱卵開始から31~45日目で、抱卵している擬卵あるいは無精卵と3~5日齢のヒナと交換したところ、ヒナへの給餌状況に違いが見られましたが、すべて正常に発育し、現在までに4羽が巣立ちしました。
Hペアについては、産卵は見られませんでしたが、抱卵行動がみられたため、擬卵を巣内に入れたところ抱卵を続けました。抱卵開始から31日目に、Fペアの人工ふ化した4日齢のヒナと交換したところ、正常に育雛を続けています。
- (4)まとめ
- (自然ふ化)
平成16年に成功したB及びEペアは今回、ふ化には至りませんでしたが、新規のGペアの第2クラッチで成功しました。
(自然育雛)
7組のペアすべてで成功しました。
- (5)今後の対応
- 今年の自然繁殖の取組の結果、飼育下においてもトキの高い育雛能力が確認されました。今後は、自然ふ化の必要条件(飼育環境、ケージの構造等)について検討し、確認試験を実施する見込みです。
- (6)その他
- 自然ふ化、自然育雛に成功したGペアとヒナの映像及び写真の提供の用意がありますので、必要な方は担当まで御連絡ください。
添付資料
- 連絡先
- 環境省自然環境局野生生物課
課長:名執 芳博(6460)
補佐:松田 博(6469)
担当:佐々木 真二郎己(6469)
直通:03-5521-8283