報道発表資料

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2005年06月07日
  • 自然環境

カルタヘナ議定書第2回締約国会議の結果について

カルタヘナ議定書第2回締約国会議が5月30日(月)~6月3日(金)の日程で、モントリオール(カナダ)にて開催されました。遺伝子組換え生物等の輸出の際の通告のオプション、リスク評価及びリスク管理、取扱い・輸送・包装及び表示の詳細な要件等に関し決議が採択されました。

1.これまでの経緯

  •  「生物の多様性に関する条約のバイオセーフティに関するカルタヘナ議定書」(以下「議定書」という。)は、遺伝子組換え生物の使用による生物多様性への悪影響を防止することを目的として、2000年1月に採択され、議定書発効に必要な50カ国が締結した日から90日後の2003年9月11日に発効。
     
  •  我が国は、これに対応する国内法として「遺伝子組換え生物等の使用等の規制による生物の多様性の確保に関する法律」(以下「カルタヘナ法」という。)及び関連する政省令等の整備を進め、2003年11月21日に議定書を締結。議定書の規定により締結の90日後の2004年2月19日から議定書が我が国について発効(カルタヘナ法も同日施行)。
     
  •  2005年6月5日現在、118カ国及びECが議定書を締結しており、我が国は73番目の締約国。
     
  •  第1回締約国会議は、2004年2月にクアラルンプール(マレーシア)で開催。

2.議定書第2回締約国会議の概要

(1)開催地・会議期間:モントリオール(カナダ)
2005年5月30日(月)~6月3日(金)

(2)締約国会議の主な結果

  •  遵守委員会からの報告
     第1回締約国会議において、議定書の遵守を促進し、不履行の事案に対処することを目的として遵守委員会が設置された。本年3月に遵守委員会の第1回会合が開催され、委員会の手続規則等が合意された。今回の締約国会議では、それを踏まえて議論が行われ、遵守委員会の手続規則が採択された。
     
  •  バイオセーフティに関する情報交換センター(Biosafety Clearing-House:BCH)の活動内容について
     これまでの議定書事務局によるBCHの運用経験及び運用に関する各国からの意見を踏まえ、よりアクセスを容易にすること、各国から提供される情報量を増やすとともにタイムリーに提供されるようにしていくこと等を内容とする今後数年間の作業計画が決議された。
     
  •  輸出の際の通告及び通告に含める正確な情報を確保するためのオプション
     議定書の規定に基づき、輸入国の権限のある当局に遺伝子組換え生物(Living Modified Organism:以下「LMO」という。)の輸出を通告するオプションについて継続して見直しを行っていくこと、通告に必要な事項を実施していくために各国が必要な措置を適用すること、輸入国が指定した言語を通告に使用することを検討すること等が決議された。
     
  •  リスク評価及びリスク管理
     各国及び関係機関等において文書にされているLMOに関するリスク評価及びリスク管理のレビューが行われ、関連する能力の開発の経験の交流やBCHを通じた情報の交換を進めていくこと、リスクアセスメントに関する技術専門家会合を設置し次回締約国会議に検討結果を報告すること等が決議された。
     
  •  LMOの取扱い、輸送、包装及び表示の詳細な要件について
     食料、飼料及び加工用のLMOの輸出に際して添付する文書の内容については、議定書において発効の日から2年以内にその詳細な要件を定めることとされており、本年3月に開催された専門家グループによる検討を踏まえ議論されたが、次回締約国会議において継続して審議されることとされた。
     また、拡散防止措置の下での利用を目的とするLMO及び環境への直接導入を目的とするLMOの輸出に際して添付する文書について、締約国に対して、商業インボイスその他の既存の文書システムを使用した経験に関する情報を事務局に提出すること、関連する議定書の規定及び記載内容にLMOの名前を含めること等の第1回締約国会議の決議が確実に実施されるよう措置を執ること等が決議された。
     
  •  責任及び救済
     LMOの国境を越える移動から生ずる損害についての責任と救済の分野における国際的な規則及び手続を作成する作業を議定書発効後4年以内に採択することが議定書に規定されており、第1回締約国会議において法律・技術専門家会合が設立された。
     今回の締約国会議では、直前に開催された専門家会合の報告が行われ、次回締約国会議までに第2回専門家会合を開催することが合意された。
     
  •  LMOによる社会経済的な影響(特に原住民の社会及び地域社会に及ぼすもの)に関する研究及び情報交換の推進について
     一般的な科学技術、特にLMOによる社会経済的な影響に関する国連、世銀、生物多様性条約等での取組のレビューを行い、既存のプロセス、枠組みを活用した協力を継続すること、LMOによる社会経済的な影響に関する研究を進めること、BCHを通じてその研究方法及び結果を共有すること等が決議された。
     
  •  公衆の啓発及び参加の促進について
     公衆の啓発、教育と参加は、議定書の効果的な実行のために重要な要素であるが、多くの開発途上国等は財源や技術の不足、情報入手の困難等から大きな制約を受けているという基本的な認識の下で、締約国等に対して、他の締約国等と協力する機会を求め推進すること、生物多様性条約や地球環境ファシリティ(GEF)のプロジェクトなど関連するイニシアティブ等を積極的に活用すること、BCHを通じて進行中のイニシアティブに関する情報と事例を共有することを求めること等が決議された。

3.その他

 第3回締約国会議は、2006年3月にブラジルにおいて、生物多様性条約第8回締約国会議にあわせて開催されることが決まった。

連絡先
環境省自然環境局野生生物課
課長   :名執 芳博(6460)
 課長補佐:安田 直人(6496)