報道発表資料

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2005年04月27日
  • 総合政策

整備新幹線(北陸新幹線(富山・石動間)、北陸新幹線(金沢・車両基地間))の工事実施計画の認可に際しての意見について

整備新幹線(北陸新幹線(富山・石動間)、北陸新幹線(金沢・車両基地間))について、国土交通大臣から独立行政法人鉄道建設・運輸施設整備支援機構に対して工事実施計画が認可されるにあたり、平成17年4月27日付けをもって環境省より国土交通省に環境保全上の意見の申し入れを行った。
 なお、当該区間は環境影響評価法施行の前にS54運輸大臣通達「整備新幹線に関する環境影響評価の実施について」に基づき環境影響評価報告書が作成されているものである。環境影響評価法の施行以前に環境影響評価報告書が作成された区間については、従前より工事実施計画の認可の際に意見を申し入れているところである。

1. 事業の概要

事業実施者:独立行政法人鉄道建設・運輸施設整備支援機構

事業名地域主な手続きの経緯
北陸新幹線
(富山・石動間)
富山県富山市 ~ 小矢部市 S60/12
環境影響評価報告書公表
北陸新幹線
(金沢・車両基地間)
石川県金沢市 ~ 白山市 S60/12
環境影響評価報告書公表

2. 環境省意見

整備新幹線に対する環境省意見(2区間共通)

1.列車走行等に係る環境保全について
(1) 列車走行に伴う騷音については、環境基準の類型指定後の詳細設計に際しては沿線の状況を踏まえた予測評価及び必要な対策の検討を行い、環境保全に配慮を要する施設や住居が計画路線に近接して存在することに留意し、音源対策を基本として必要な対策を採用し、環境基準の達成を図ること。なお、土地利用対策を含む総合的な対策の検討及び実施にあたっては関係機関との十分な連携を図ること。
(2) 列車走行に伴う騒音予測に際しては、住居や環境保全上配慮を要する施設であって中高層のものについては、実測値を用いて予測手法の検証を行いつつ、高さ方向の騒音影響の検討も実施すること。
(3) 今後、環境影響評価の前提となった、車両、走行条件等に変更があり、騒音及び振動が増加するおそれがある場合には、その影響を改めて予測・評価し、必要な対策を講じること。
(4) 列車走行に伴う振動については、沿線の通常の生活を保全する必要がある地域における振動レベルを70デシベル以下とするよう発生源対策を講じること。
(5) 駅舎及び車両基地からの排水については、適切な処理対策を講じ、周辺の公共用水域の水質保全に支障を生じないよう万全を期す必要があること。
2.工事に係る環境保全について
(1) 工事に伴う騒音、振動、濁水等の発生及び地下水への影響については、必要に応じ適切な対策を講じること。また、施工にあたって十分な監視を行い、環境保全に万全を期すこと。
(2) 橋梁及びトンネル坑口等の構造物の形状等については、沿線の景観にも十分な配慮を行う必要があること。また、橋脚等の設置にあたっては、河川敷の植生や水生生物の生息について十分配慮し、必要に応じた保全対策を講じること。
(3) トンネル工事に伴う発生土砂等については、極力有効利用を図るとともに、残土等の処理にあたっては、自然環境の保全に支障を及ぼすことのないよう適切な土捨場所の選定等に関する具体的な処理計画を関係機関と調整の上策定し、それに沿って処理するとともに、土砂及び濁水の流出の防止、のり面防護等十分な環境保全対策を講じること。
(4) 工事に伴い発生する廃棄物については、発生抑制及び再資源化に努め、廃棄物の種類ごとに、事業地近傍の再資源化施設、中間処理施設、最終処分場等の処理能力、受入可能量等を踏まえて適切に処理すること。
(5) 工事用仮設工作物及び関連工事を含め、地形及び植生の改変を伴う工事の決定及び事業実施にあたっては、計画段階より関係機関に協議を行い、必要に応じて現地調査を行うとともに十分な環境保全対策を講じること。特に、工事完了後に供用の見込みのないものについては原状回復を図ること。また、その際、植裁に用いる植物種及び工法等については、必要に応じて専門家等の意見を踏まえ、周辺の植生状況等環境にも配慮して適切に実施すること。
(6) 野生生物については、計画路線周辺地域における貴重な野生生物の生息・生育及び鳥獣保護区の存在等を考慮し、必要に応じ現地調査を行い、また専門家等の意見を聴取し、関係機関と調整の上、具体的な工事計画策定までに貴重な野生生物の保全のための措置を策定すること。また、工事着手以降も含め貴重な野生生物の生息等が確認された場合は、関係機関と協議し、その生息・生育に対する影響が最小限になるよう措置を講じること。
(7) 工事の実施期間が長期にわたることから、工事実施区域及びその周辺の環境の状況の変化等があった場合は、必要に応じて現地調査を行うとともに適切な環境保全対策を実施すること。
(8) 工事全体を通じて、温室効果ガスの発生抑制に最大限努めること。
3.地域の実態に配慮した環境保全対策について

 新幹線鉄道の供用にあたっての車両開発、テスト走行等を通じ、騒音・振動の影響を把握し、当該地域の実態に配慮した対策を最大限講じるよう努めること。

4.供用時における環境の状態の把握等について

 騷音・振動等の環境の状態を把握し、必要に応じて、適切な環境保全対策を講じること。また、計画路線周辺地域の貴重な野生動物に及ぼす影響について、専門家等からの指導を得た上で、必要に応じモニタリング等を実施しその影響の把握に努め、影響をおよぼすおそれがある場合には、専門家等の意見を踏まえ、適切な保全措置について検討すること。

5.地方公共団体との連絡調整について

 今後の事業の具体化にあたっては、環境保全の観点から、関係地方公共団体と十分連絡調整を図るとともに、必要に応じ地域住民に対しても環境保全に関する情報を公表すること。

添付資料

連絡先
環境省総合環境政策局環境影響評価課環境影響審査室
室長:   笠井 俊彦 (6231)
 室長補佐:富坂 隆史(6233)
 審査官:  西澤 賢太郎(6232)

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