報道発表資料
平成15年度化学物質環境実態調査結果については、平成17年3月23日に開催した中央環境審議会環境保健部会化学物質評価専門委員会(櫻井治彦委員長、中央労働災害防止協会労働衛生調査分析センター所長)において審議がなされ、本日、平成16年度版「化学物質環境実態調査-化学物質と環境-」としてとりまとめたので報告する。
- 平成15年度化学物質環境実態調査の概要
化学物質による環境汚染の未然防止と汚染の早期発見及び適切な化学物質対策の立案に資するため、調査対象物質を平成15年5月6日及び同年5月28日の2度にわたって開催された化学物質環境汚染実態調査物質選定検討会において選定し、初期環境調査、暴露量調査及びモニタリング調査からなる目的別の調査方法により、平成15年度に調査を実施した。初期環境調査結果については、平成16年10月15日及び同年12月10日に開催された初期環境調査検討作業部会において、また暴露量調査結果及びモニタリング調査結果については、平成16年11月9日及び同年11月30日に開催されたモニタリング・暴露量調査検討作業部会において、調査結果の検討を行った。 - 平成15年度化学物質環境実態調査結果
(1) 初期環境調査
化学物質審査規制法の指定化学物質(現在の第2種監視化学物質に相当。以下同じ。)や化学物質排出把握管理促進法の候補物質、非意図的生成化学物質、環境リスク初期評価に必要な物質及び社会的要因から必要とされる物質等を対象に、環境残留状況を把握することを目的として、平成15年度は15物質(群)、延べ20物質(群)・媒体について調査を実施したところ、結果は次のとおりであった。
水質は7物質(群)について全国延べ34地点で調査を実施し、2物質(群)が検出された。
底質は4物質(群)について全国延べ27地点で調査を実施し、3物質(群)が検出された。
水生生物は2物質(群)について全国延べ12地点で調査を実施し1物質(群)が検出された。
大気は7物質(群)について全国延べ24地点で調査を実施し、3物質(群)が検出された。
なお、平成15年度を含むこれまでの調査の累計では、823物質(群)について調査を行い、そのうち367物質(群)が一般環境から検出されたこととなる。(2) 暴露量調査
化学物質審査規制法の指定化学物質や化学物質排出把握管理促進法の第1種指定化学物質等について、その環境リスク初期評価を実施するために必要な、ヒト及び生物の化学物質の暴露量把握に用いる環境残留状況を把握することを目的として、平成15年度は7物質(群)、延べ10物質(群)・媒体について、水質は38地点で5物質(群)を、底質は20地点で2物質(群)を、水生生物は9地点で3物質(群)の調査を実施した。
調査対象の7物質(群) 延べ10物質(群)・媒体のうち、オクタブロモジフェニルエーテルが水生生物、2,4-ジニトロフェノールが水質、フェノールが水質、PFOSが底質及び水生生物、PFOAが底質及び水生生物から検出された。
(3) モニタリング調査
「残留性有機汚染物質に関するストックホルム条約」(平成16年5月17日発効。以下「POPs条約」という。POPsとは、Persistent Organic Pollutants(残留性有機汚染物質)をいう。)の対象物質及び同条約対象候補となる可能性のある物質、化学物質審査規制法の第1,2種特定化学物質及び指定化学物質のうち環境残留性が高く環境基準等が設定されていない物質で、環境残留実態の経年的把握が必要な物質を経年調査(モニタリング)することを目的として、平成15年度は、11物質(群)延べ40物質・媒体について調査を実施した。これらのうち、POPs条約の対象物質はPCB類、HCB、アルドリン、ディルドリン、エンドリン、DDT類、クロルデン類、ヘプタクロル類、トキサフェン、マイレックスである。
モニタリング調査は水質36地点9物質(群)、底質62地点11物質(群)、生物21地点 (貝類6地点、魚類14地点、鳥類2地点)11物質(群)及び大気35地点9物質(群)を対象に調査を行った。POPsについては鳥類のアルドリンを除き、全ての物質が水質・底質・生物(貝類、魚類)及び大気試料から検出された。また、有機スズ化合物については、底質及び生物(鳥類を除く)から検出された。
また、平成15年度から新たに分析の始まったマイレックス及びトキサフェン類の2物質については、いずれも大気中からごく微量検出された。マイレックスについては、水質及び底質において定量下限値 0.3 pg/L,2 pg/g-dryでその一部試料に微量の検出検体があった。トキサフェン類については、定量下限値が水質、底質それぞれparlar26では40 pg/L,90 pg/g-dry、parlar50では
70 pg/L,200 pg/g-dry、parlar62では300 pg/L,4000 pg/g-dryで、すべての地点で検出されなかった。また、生物試料では比較的低濃度で2つの物質とも検出された。このうちトキサフェン類は沿岸魚より沖合魚の方が高く、また魚食性鳥類で高めの濃度で確認されるなどの特徴が認められた。
添付資料
- 連絡先
- 環境省総合環境政策局環境保健部環境安全課課長: 上家 和子
保健専門官:吉田 佳督(内線6361)
調査係長: 川村 太郎(内線6355)