報道発表資料
- 環境省は、光化学オキシダント注意報の発令状況、光化学大気汚染によると思われる被害届出状況について、毎年、その発生のおそれのある4~10月の間を対 象に、全国の都道府県から報告を求め、取りまとめている。
- 平成16年には、22都府県で光化学オキシダント注意報の発令があり、その発令延日数(都道府県単位での発令日の全国合計値)は189日で、光化学大気汚染によると思われる被害届出人数は、393人であった。
- 光化学オキシダント濃度は気象条件等に影響されるため、注意報発令日数は、年により増減するが、昼間の日最高1時間値の年平均値についてみると、近年漸増の傾向にある。平成16年は7月に注意報発令日が多く出現し、光化学オキシダントの最高濃度は0.233ppm(7月16日、千葉県千葉地域)であった。
- 環境省では、平成12年度からインターネットにより、大気汚染状況をリアルタイムで知ることのできる「大気汚染物質広域監視システム(そらまめ君)」を運用しているが、光化学オキシダント注意報の発令状況もこの中で情報提供している。また、平成14年6月から携帯電話での情報提供も実施している。
- 環境省は、引き続き大気汚染物質の広域的な監視を実施するとともに、光化学オキシダント生成の原因物質である窒素酸化物、揮発性有機化合物(VOC)の排出抑制に努めていくこととしている。
- 光化学オキシダント注意報発令状況
平成16年は、22都府県で光化学オキシダントに係る注意報の発令があり、その延日数は189日であった。注意報発令延日数は平成15年の108日(19都府県)と比較して約75%の増加であった。光化学オキシダントの濃度は気象条件等に影響されるため、光化学オキシダント注意報発令日数は、年により増減する。
都道府県別では、千葉県が28日で最も多く、次いで埼玉県が23日、茨城県と東京都が18日となっている。月別にみると7月が最も多く(88日)、次いで8月(38日)、6月(34日)の順であった。
なお、光化学オキシダントの昼間の日最高1時間値の年平均値についてみると、近年漸増の傾向にある。
注意報発令日は7月に多く出現し、光化学オキシダントの最高濃度は0.233ppm(7月16日、千葉県千葉地域)であった。
注) 「注意報」 : 光化学オキシダント濃度の1時間値が0.12ppm以上で、気象条件からみてその状態が継続すると認められる場合に、人の健康及び生活環境に係る被害を未然に防止するため、大気汚染防止法第23条第1項の規定により発令される。 「警報」 : 各都道府県等が独自に要綱等で定めているもので、一般的には、光化学オキシダント濃度の1時間値が0.24ppm以上で、気象条件からみてその状態が継続すると認められる場合に発令される。 「延日数」 : 都道府県を一つの単位として注意報の発令日数を合計したものであり、同一日に同一都道府県内の複数の発令区域で注意報が発令されても、当該都道府県での発令は1日として数える。 - 被害届出状況
平成16年の光化学大気汚染によると思われる被害の届出は、9都府県であった。その人数は合計393人で、平成15年の254人(5都県)に比べ増加した。
都道府県別では、東京都の159人が最も多く、次いで福島県の140人、千葉県の71人、となっている。月別にみると7月に282人、6月に111人となっており、それ以外の月には被害届出はなかった。
集団被害発生(20人以上)は5件で、集団被害届出人数は被害届出人数の約65%を占めた。被害届出人数の内訳を見ると、小学生が約58%で最も多く、次いで中学生が約30%となっている。被害の多くは屋外での授業中等に発生している。被害症状は、目やのどに関する症状が多く、いずれも休息、洗眼、うがいにより回復した。
- 今後の対策
光化学オキシダントの主な原因物質は窒素酸化物と揮発性有機化合物(VOC)である。
窒素酸化物対策としては、これまでも大気汚染防止法、自動車NOx・PM法等に基づき、発生源からの排出抑制を行っており、引き続き排出抑制に努めていくこととしている。
一方、VOCについては、昨年5月26日、VOCの排出抑制を目的として大気汚染防止法が改正された。今後、平成22年度までに、VOCの排出量を平成12年度比で3割程度削減することを目標に、法規制と自主的取組の双方の政策手法を適切に組み合わせる「ベストミックス」により排出抑制を進めていくこととしている。
また、「大気汚染物質広域監視システム(そらまめ君)」を活用し大気汚染物質の広域的な監視を実施するとともに、一般に広く情報提供を行っていくこととしている。
(参考)
- 光化学オキシダントの発生機構
光化学オキシダントは、工場や自動車から排出される窒素酸化物、VOCを主体とする一次汚染物質が、太陽光線の照射を受けて光化学反応を起こすことにより発生する二次的な汚染物質である。日差しが強く、気温が高く、風が弱い日等に高濃度になりやすい。
- 緊急時の措置の概要
大気汚染防止法においては、光化学オキシダントの濃度が高くなり、被害が生ずるおそれがあるときは、都道府県知事等が注意報を発令し、報道、教育機関等を通じて、住民、工場・事業場等に対して情報の周知徹底を迅速に行うこととなっている。また、この際、光化学オキシダントの原因物質である窒素酸化物等の排出削減のため、工場・事業場等に対してはばい煙排出量の削減について、自動車の使用者に対しては運転の自主的制限について、それぞれ協力を求めることとなっている。
- 大気汚染物質広域監視システム(愛称:そらまめ君)
全国の大気環境データや光化学オキシダント注意報発令状況などをリアルタイムで収集し、地図情報等に加工しインターネットにより情報提供を行うシステムである。平成12年6月に、環境省が光化学オキシダントによる被害の未然防止等を目的として構築したシステムである。平成14年6月からは、システムを改良し、携帯電話にも光化学オキシダント注意報発令の情報を提供している。
URL(http://w-soramame.nies.go.jp/)
添付資料
- 表1 注意報等発令日数及び被害届出人数の推移[PDFファイル 10KB] [PDF 9 KB]
- 図1 注意報等発令日数及び被害届出人数の推移[PDFファイル 13KB] [PDF 12 KB]
- 表2 平成16年の月別注意報等発令日数[PDFファイル 17KB] [PDF 17 KB]
- 図2 平成16年 各都道府県の注意報等発令日数[PDFファイル 63KB] [PDF 62 KB]
- 表3 平成16年の日別被害届出人数[PDFファイル 18KB] [PDF 17 KB]
- 連絡先
- 環境省環境管理局大気環境課
課長 関 荘一郎 (6530)
課長補佐 佐藤 美稚子(6538)
担当 向谷 仁志 (6539)