報道発表資料

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1996年12月10日

平成7年度悪臭防止法施行状況調査について

環境庁は、全国の地方公共団体の報告に基づき、平成7年度の悪臭苦情、悪臭規制等の状況を取りまとめた。その概要は以下の通りである。

(1)悪臭苦情の状況
 平成7年度の悪臭苦情の件数は11,276件で、平成6年度に比べて670件(5.6%)減少した。
 苦情の発生源別内訳をみると、前年度に引き続き「サービス業・その他」が最も多く、次いで「畜産農業」、「個人住宅・アパート・寮」等の順になっており、依然として都市・生活型悪臭に対する苦情の割合が増加する傾向にある。

(2)悪臭規制等の状況
 悪臭防止法の規制地域を有する市区町村は、平成7年度末現在、全国の51.6%に当たる1,680市区町村(前年度比14市町村の増)であった。
 これらの規制地域内において平成7年度には3,004件の立入検査が行われ、行政指導が5,014件、法に基づく改善勧告が7件(前年度6件)行われた。

 環境庁としては、今後とも、悪臭防止法に基づく悪臭防止対策の推進を図っていく。

1.調査の目的

 本調査は、悪臭防止行政の一層の推進を図るため、環境庁が毎年度全国の都道府県及び指定都市を通じ、悪臭苦情の状況、悪臭防止法に基づく各種措置の施行状況等について調査を行い、その結果を取りまとめているものである。

2.調査結果

(1)悪臭苦情の状況

 1 苦情件数の推移

 近年の悪臭に係る苦情件数は昭和47年度をピークに概ね減少傾向にあったのに対し、平成6年度は約2割の増加がみられたが、平成7年度は11,276件で、平成6年度に比べて670件(5.6%)減少した。

 図1 悪臭苦情件数の推移(省略)

 2 都道府県別の苦情件数

 平成7年度の苦情件数を都道府県別にみると、苦情件数の多い都道府県は例年とほぼ同じで、東京都、愛知県、大阪府、神奈川県、埼玉県の順になっており、これら上位5都府県で、総苦情件数の3分の1以上を占めている。(表1)
 また、苦情件数を平成6年度と比較すると、47都道府県中33都道県で減少しており、平成7年度の苦情件数の減少は概ね全国的なものであるといえる。(表2)
 これに対し、苦情件数が増加したのは13府県であり、このうち2県(三重県、鳥取県)においては40%を超える増加がみられた。

表1 都道府県別苦情件数(上位10都道府県)


苦情件数 人口100万人当たり
苦情件数
都道府県 件数 都道府県 件数
1 東京都 1,115 宮崎県 178
2 愛知県 1,070 愛知県 158
3 大阪府 850 沖縄県 147
4 神奈川県 689 三重県 137
5 埼玉県 657 京都府 127
6 千葉県 502 茨城県 118
7 福岡県 486 高知県 116
8 兵庫県 428 大分県 113
9 茨城県 351 鹿児島県 105
10 京都府 324 宮城県 104
全 国 計 11,276 全国平均 90

表2 都道府県別苦情件数の対前年度増減状況

都道府県名 H7 H6 H7-H6
 1 北海道 247 269 -22
 2 青森県 143 199 -56
 3 岩手県 119 106 13
 4 宮城県 240 249 -9
 5 秋田県 68 65 3
 6 山形県 110 163 -53
 7 福島県 132 170 -38
 8 茨城県 351 310 41
 9 栃木県 163 168 -5
10 群馬県 173 137 36
11 埼玉県 657 645 12
12 千葉県 502 527 -25
13 東京都 1,115 1,309 -194
14 神奈川県 689 655 34
15 新潟県 154 184 -30
16 富山県 19 25 -6
17 石川県 93 133 -40
18 福井県 49 56 -7
19 山梨県 60 66 -6
20 長野県 209 241 -32
21 岐阜県 158 175 -17
22 静岡県 220 272 -52
23 愛知県 1,070 1,073 -3
24 三重県 252 178 74
25 滋賀県 129 140 -11
26 京都府 324 317 7
27 大阪府 850 840 10
28 兵庫県 428 450 -22
29 奈良県 125 157 -32
30 和歌山県 83 111 -28
31 鳥取県 34 23 11
32 島根県 52 85 -33
33 岡山県 67 82 -15
34 広島県 178 146 32
35 山口県 157 192 -35
36 徳島県 79 101 -22
37 香川県 94 108 -14
38 愛媛県 126 153 -27
39 高知県 96 96 0
40 福岡県 486 465 21
41 佐賀県 56 68 -12
42 長崎県 68 70 -2
43 熊本県 123 130 -7
44 大分県 140 194 -54
45 宮崎県 211 242 -31
46 鹿児島県 188 218 -30
47 沖縄県 189 183 6
合 計 11,276 11,946 -670

 3 発生源別の苦情件数

 平成7年度の苦情件数を発生源別にみると、「サービス業・その他」が最も多く、2,930件で全体の26.0%を占め、次いで「畜産農業」の1,824件(16.2%)であった。第3位は、「個人住宅・アパート・寮」の1,481件(13.1%)であり、これに、「サービス業・その他」、「下水・用水」、「ゴミ集積場」を加えた都市・生活型悪臭苦情件数は5,205件で、全体の46.2%を占めている。(図2)
 前年度との比較では、「畜産農業」が1.6%の減少となっているのに対し、「個人住宅・アパート・寮」は0.1%の減少、「サービス業・その他」は1.1%増加しており、都市・生活型悪臭苦情件数の比率が高まっている(対前年度0.8%増)。

 図2 発生源別苦情件数の推移(省略)

 4 規制対象とそれ以外の苦情件数の比較

 平成7年度の総苦情件数11,276件のうち、悪臭防止法の規制対象となる規制地域内の工場・事業場に対するものは約半数の5,807件(51.5%)であり、規制地域外の工場・事業場に対する苦情(1,749件、15.5%)及び「一般住宅・アパート・寮」、「下水・用水」など非規制対象の発生源に対する苦情(3,720件、33.0%)が残り約半数を占めている。(表3)

 表3 規制対象・非規制対象別苦情件数

  発生源別 規制地域
工場・
事業場
に対す
る苦情
畜産農業  939 885
製造工場
関係の計
2,408 394
サービス業
・その他
2,460 470
小 計
(%)
 5,807
(51.5%)
 1,749
(15.5%)
非規制
対象の
発生源
に対す
る苦情
移動発生源 11 1
建設作業現場 307 14
下水・用水 659 99
ごみ集積場  27 9
住宅・寮等 1,256 225
不 明 1,037 75
小 計
(%)
3,297
(29.2%)
423
(3.8%)
  合 計
(%)
9,104
(80.7%)
2,172
(19.3%)

 注) %は総苦情件数11,276件に対する割合。

(2)悪臭規制等の状況

 1 規制地域の指定状況

 悪臭防止法に基づく規制地域を有する市区町村は、平成7年度末現在、1,680市区町村(前年度末1,666市区町村)で、全国の市区町村数の51.6%に当たる。(表4)

 表4 地域指定の状況

市区町村数 指定地域を有する
市区町村(%)
   663    613  (92.5)
   23    23 (100.0)
  1,992    919  (46.1)
   577    125  (21.7)
  3,255   1,680  (51.6)

2 法に基づく規制措置等の状況

 平成7年度中に、悪臭防止法に基づく措置等を行った件数は、立入検査3,004件(同4,284件)、報告の徴収479件(同390件)、特定悪臭物質の測定135件(同162件)であり、特定悪臭物質の測定を行ったもののうち規制基準を超えていたのは35件(同48件)であった。
 さらに、工場・事業場等に対する悪臭防止の行政指導が行われたのは5,014件(前年度5,375件)、改善勧告を行ったのは7件(同6件)、改善命令は0件(同0件)であった。(表5)

 表5 法に基づく措置等の状況

行政措置等 件数
立入検査  3,004
報告の徴収   479
物質測定   135
(うち基準超過)   (35)
行政指導  5,014
改善勧告    7
改善命令    0

*参考「平成6年度悪臭防止法施行状況調査」については、添付ファイル参照。

添付資料

連絡先
環境庁大気保全局企画課大気生活環境室
室   長:鈴木安次(内6540)
 室長補佐:小柳勝彦(内6542)
 担   当:倉谷英和(内6545)