報道発表資料

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2004年11月10日
  • 地球環境

アジア太平洋地域におけるオゾン層破壊物質の回収破壊に関するワークショップの結果について

環境省は、11月6日(土)、シェムリアップ(カンボジア)において、カンボジア政府環境省、国連環境計画(UNEP)との共催により、「アジア太平洋地域におけるオゾン層破壊物質(ODS)の回収破壊に関するワークショップ」を開催しました。
 本ワークショップは、11月3日(水)から5日(金)まで当地にて行われていたUNEP主催によるオゾン層保護担当官南アジア/東南アジア太平洋地域ネットワーク会合に引き続いて開催されたものです。
 南アジア、東南アジア太平洋地域のオゾン層保護担当官のほか、スウェーデン及びオーストラリアの政府関係者、関係国際機関等の出席を得て、先進国におけるODSの回収破壊政策や、アジア太平洋地域における廃棄ODSの管理方策の在り方等について活発な意見交換が行われました。
  1. 背景
     オゾン層破壊物質(ODS)については、オゾン層保護のためのモントリオール議定書において、生産量及び消費量を段階的に削減していくことが定められている。我が国を含む先進国では、CFC(クロロフルオロカーボン)等主要なODSの生産は既に全廃されているが、開発途上国では1999年から規制が開始され、2010年にはCFC等の生産・消費が全廃される予定である。
     今後、途上国においてODSの撤廃を進めていく中で、不純物が混合して再利用できないODSや、余剰となって廃棄されるODSが生じると考えられ、地球環境保全の観点から、これらの管理方策について検討していく必要がある。
     そこで、環境省では、日本の回収破壊に関する経験や技術を活かした支援を行うため、当該地域における廃棄ODSの管理の在り方について途上国のオゾン層保護担当官への情報提供・意見交換を行うことを目的として、本ワークショップを開催した。
  2. 開催日
    11月6日(土)
  3. 開催場所
    シェムリアップ(カンボジア)
  4. 主催
    日本政府環境省、カンボジア政府環境省及び国連環境計画(UNEP)
  5. 参加国等
    南アジア/ 東南アジア太平洋地域 : 22か国
    その他地域 オーストラリア及びスウェーデン
    日本 地球環境局環境保全対策課長ほか
    国際機関 国連環境計画(UNEP)及び国連工業開発機関(UNIDO)
    計約40名
  6. 会議の概要
    <議題>
    (1) ODSの回収破壊に関するこれまでの議論の概観
    (2) 日本におけるODSの回収破壊政策
    講演:日本政府環境省
    (3) スウェーデン及びヨーロッパにおけるCFCの再生・破壊経験
    講演:バグロフ冷媒技術株式会社(スウェーデン)
    (4) オーストラリアにおけるODSの回収破壊政策
    講演:オーストラリア政府環境・遺産省
    (5) アジア太平洋地域における廃棄ODSの管理に係る現状
    講演:国連環境計画(UNEP)
    (6) ODS破壊施設及びHFC(ハイドロフルオロカーボン)破壊によるCDM(クリーン開発メカニズム)*プロジェクトに関する技術的情報
    講演:イネオスケミカル株式会社(日本)
    <ディスカッション概要>
    我が国からは、廃棄ODSの管理方策について、破壊という選択肢を含めて包括的に議論していくことの必要性を指摘した。また、日本及びスウェーデン等から、廃棄ODSの管理に係る法的措置と産業界の参画の必要性が指摘された。
    アジア太平洋地域におけるODSの廃棄実態について、各国のオゾン層保護担当官が有する定性的・定量的データが不足していること、ODSの再生施設又は破壊施設建設のために必要な資金的・技術的情報が不足していることなどがUNEP及び途上国の担当官から指摘された。
    破壊処理のための選択肢について、主に経済的観点から、新たな破壊施設の建設よりも、既存の焼却施設やセメント製造施設を地域的に活用する可能性や、破壊施設を有する先進国へODSを輸出する可能性について議論がなされた。
    廃棄ODSの処理方策を考える上ではODSの回収が不可欠であるが、多くの途上国における回収・再利用プロジェクトがうまく機能していない現状について問題提起がなされた。一方で、再利用できないODSを処分する手段が存在しないことや、回収したODSの品質を保証できないことが、回収・再利用が進まない要因の一つとなっていることが指摘された。
    途上国におけるモントリオール議定書の規制スケジュールに沿ったCFC消費量の削減や、中国における生産量全廃の前倒し計画などが、今後のCFCの供給-需要バランスや価格に与える影響と、それによる回収破壊の経済的実現可能性について議論がなされた。
    CDMプロジェクトにおいて設置されたHFC破壊施設を活用したODSの破壊処理の可能性が示唆された。
  7. 今後の対応
     南アジア地域・東南アジア太平洋地域の廃棄ODSの管理方策について、今後も引き続き日本が中心となり、途上国におけるODS廃棄に係る実態把握を含め、議論を続けていく。
連絡先
環境省地球環境局(旧)環境保全対策課フロン等対策推進室
室長: 宇仁菅伸介 (内6750)
 補佐: 小泉 潤一 (内6751)
 担当: 西川 絢子 (内6753)