報道発表資料

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1996年12月03日

国立水俣病総合研究センターによるキルギス共和国(旧ソ連)の難民居住地区における水銀による健康影響に関する調査(国連難民高等弁務官事務所に対する協力)

キルギス共和国に居住する難民について、水銀による健康影響が考えられることから、国連難民高等弁務官事務所(United Nations High Commissioner for Refugees:UNHCR)の依頼により国立水俣病総合研究センターが現地調査に協力するもの。

1.背景

 タジキスタン共和国における民族紛争に伴い発生した難民の一部が、隣国キルギス共和国のデダブブ村に居住しているが、UNHCR等の調査で、居住地区にある露天水銀廃鉱山による難民への健康影響が示唆されたことから、水銀分析に高度なノウハウと経験を持つ国立水俣病総合研究センターに対し、UNHCRより調査協力を求められたものである。

2.現地の状況

 キルギス共和国のオッシュ地区デダブブ村は、露天水銀廃鉱山から約3km離れたところにあり、3~4年前から約250人の難民が住んでいる。
 今年始め、現地のUNHCR事務所は、露天水銀廃鉱山による健康影響について、現地の生態学研究所と共同で調査を行った。
 同調査によれば、デダブブ村の水銀汚染レベルが世界保健機構(WHO)の基準を越えていることの他、水道水のバクテリア含有率も極めて高いことが判明した。

 その後、同調査結果を、WHO、キルギス共和国の生態学研究所及びUNHCR本部において検討し、水銀による難民の健康影響については、同調査結果だけでは確認ができないため、医学的調査及び当該地域における大気、水、土壌のより精度の高い調査を行う必要があるという結論を得た。

3.UNHCRによる調査事業の概要

 UNHCRでは、上記調査で得られた結論を踏まえ、以下を骨子とする調査事業について、日本の外務省を通じ、国立水俣病総合研究センターに協力を要請してきたものである。

  UNHCRが予定している調査事業の概要

     時期 平成8年12月
     内容 医学的調査及び環境調査を行うとともに、キルギス共和国におけるこれら調査等の関連機器の必要性を検討し、さらなる調査の必要性について決定する。

4.国立水俣病総合研究センターによる調査

  今般、国立水俣病総合研究センターはUNHCRの依頼に応じ、次のとおり、調査員2名を現地に派遣することとした(調査結果については平成9年2月にUNHCR本部に対して報告される予定)。
  (1)調査時期: 12月8日~12月16日(9日間)
  (2)調査員  : 2名
          (若宮純司 臨床部総合臨床室長、坂本峰至 疫学研究部調査室長)

連絡先
環境庁企画調整局環境保健部保健企画課特殊疾病対策室
室長:石塚正敏(内6330)
 担当:正木清郎(内6331)

環境庁国立水俣病総合環境センター国際・情報室長:鈴 雄蔵
総務課長    :森  豊