報道発表資料

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1996年11月29日

ウィーン条約第4回締約国会議及びモントリオール議定書第8回締約国会合の結果について

「オゾン層の保護のためのウィーン条約第4回締約国会議」及び「オゾン層を破壊する物質に関するモントリオール議定書第8回締約国会合」が11月19日~27日に、コスタリカのサンホセで開催され、特に以下の事項について決議された。

 ○ 開発途上国のオゾン層保護対策に対し先進国が資金援助をすることを目的に設けられている多数国間基金について、1997年から1999年までの額を5億4000万米ドルとすること
 ○ エッセンシャルユースとしてのCFC等の生産については、試験研究・分析用途について1998年まで認めるとともに、喘息等の治療に用いられる経口吸入剤の代替化について、促進方策を定めたこと
 ○ 臭化メチルについては、来年開催されるモントリオール議定書第9回締約国会合において、規制スケジュールの強化を検討することとなっているが、これに併せて規制の例外措置が適用される不可欠農業用途の適用基準について検討することとなったこと

1.会合の概要

(1)日程
 ウィーン条約第4回締約国会議準備会合  11月19日
 ウィーン条約第4回締約国会議  11月25日
 モントリオール議定書第8回締約国会合準備会合  11月19~22日
 モントリオール議定書第8回締約国会合  11月25~27日
(2)開催地
 コスタリカ・サンホセ
(3)出席者
 代表 秋本健志郎コスタリカ大使
 環境庁からは、佐々木広域大気管理室長が出席したほか、外務省、通商産業省、農林水産省から関係者が出席
(4)参加団体
106カ国及びEC、7国際機関、NGO等が参加

2.モントリオール議定書第8回締約国会合の決定事項

(1)多数国間基金関連
 1997年から1999年までの額を5億4000万米ドルとすることを決議した。
 この額のうち7400万米ドルは、1994~1996年で割り当てられなかった基金で充当され、残りの4億6600万米ドルについては、先進国が国連の定める一定の割合に従って拠出することになっている。
 (参考)
 多数国間基金については、1991~1993年の3年間は、2億4千万米ドル、1994~1996年の3年間は、5億1千万米ドルであった。
(2)エッセンシャルユース関連
1  CFC、ハロン、四塩化炭素、1,1,1-トリクロロエタンの試験研究・分析用途のために 必要な生産等については、1997年までエッセンシャルユースとして認められていたが、そ の期間を1998年まで認めることとなった。
2  喘息等の治療に用いられる経口吸入剤等について、エッセンシャルユースとして、9ヶ国に対し、1997~1999年におけるCFCの生産が認められた。
 なお、我が国において、今回、経口吸入剤用にエッセンシャルユースとして認められたCFC等の生産量は、下表のとおりである。
                  (単位:トン)
  1998年 1999年
  CFC-11
  CFC-12
  CFC-113
  CFC-114
 53.0(3357.3)
 105.0(6926.7)
 0.5(  16.5)
 23.0(1003.0)
 37.0( 37.0)
 75.0( 75.0)
 0.5( 0.5)
 24.0( 24.0)
(  )内は世界全体のエッセンシャルユースとして認められた量
3  CFC使用経口吸入剤を円滑かつ効果的に転換するため、経口吸入剤の代替化の促進方策等について決議した。
(注)
 エッセンシャルユース(不可欠な用途)とは、生産等の全廃後も例外措置として生産等が認められる用途である。
(3)臭化メチル関連
 不可欠農業用途の適用基準については、TEAP(技術経済アセスメントパネル)においてさらに検討し、その結果を踏まえ、次回の会合(モントリオール議定書第9回締約国会合)で討議することとなった。
 (参考)
 臭化メチルは、先進国の場合、1995年より規制が始まり、2010年に全廃することとされている。
(4)ハロン関連
 ハロンの排出抑制について、先進国に対し、現存するハロン量と不可欠用途として評価されるハロン量とを比較して、過剰となるか不足となるのかを評価し、その結果を1997年12月31日までにUNEP(国連環境計画)に報告するよう要請すること等により、今後の対応を検討することとなった。
 (参考)
 ハロンは1994年に生産が全廃されたものの、現在もなお消火設備等に存在しており、排出を最小限化することが課題となっている。

3.条約と議定書の批准状況

 ウィーン条約  162カ国
 モントリオール議定書  160カ国
 モロンドン改正  111カ国
 コペンハーゲン改正  63カ国
  (1996年11月25日現在)

4.今後の開催予定

 モントリオール議定書第9回締約国会合はモントリオールで、第10回締約国会合はエジプトで開催される予定
連絡先
環境庁大気保全局企画課
課長   :櫻井 正人(内6510)
 広域大気管理室
 室長補佐:世一 良幸(内6562)
 担当   :窪田  剛 (内6564)
 担当   :俣野 良造(内6564)