報道発表資料

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2004年07月12日
  • 水・土壌

「硝酸性窒素による地下水汚染対策事例集」について

 環境省は、硝酸性窒素による地下水汚染が見られる地域において、地域の実情に応じた効果的な対策を推進していくために、請負先に設置した「硝酸性窒素総合対策検討会(座長:平田健正和歌山大学システム工学部教授)」に おける検討結果をとりまとめた「硝酸性窒素による地下水汚染対策事例集」を作成しました。
 本事例集は、地方公共団体等が活用することを想定しており、硝酸性窒素対策の一層の推進を図るものです。

1.背景

 硝酸性窒素及び亜硝酸性窒素*(以下、硝酸性窒素)は、平成11年に地下水の水質汚濁に係る環境基準に追加されましたが、他の項目と比較して環境基準の超過率が高く(「平成14年度地下水質測定結果」において5.9%)なっています。硝酸性窒素による地下水汚染は、施肥、生活排水、家畜排泄物等、汚染原因が多岐にわたることから、地域の実情に応じて効果的な対策を講じる必要があります。このため、環境省では、平成11~15年度に硝酸性窒素総合対策推進事業を実施し、代表的な地域における窒素負荷低減対策の検討調査等を実施しました。
この度、請負先に設置した「硝酸性窒素総合対策検討会(座長:平田健正和歌山大学システム工学部教授)」(別添)において検討いただき、その成果等を「硝酸性窒素による地下水汚染対策事例集」としてとりまとめました。硝酸性窒素による地下水汚染が生じている(または生じるおそれがある)地域において、地方公共団体等が地域の実情に応じた対策を実施する上で本事例集を活用することにより、硝酸性窒素対策をより一層推進していくこととしています。

*硝酸性窒素及び亜硝酸性窒素は、平成11年に地下水の水質汚濁に係る環境基準に追加されました(基準値:10mg/L)。硝酸性窒素及び亜硝酸性窒素を大量に摂取すると、乳幼児を中心にメトヘモグロビン血症(血液の酸素運搬能力が失われる疾患)を引き起こすことが知られています。

2.事例集の内容

 本事例集は、硝酸性窒素による地下水汚染の現状、地方公共団体の取組状況や、硝酸性窒素総合対策推進事業の成果として地方公共団体における対策事例、硝酸性窒素による地下水汚染の浄化技術等について紹介しています。
硝酸性窒素総合対策推進事業では、地域的な特徴が異なる5つの代表的な地域(青森県、静岡県、長崎県、熊本県、宮崎県)を選定し、地下水質調査、汚染機構解明調査、窒素負荷量把握調査等からなる窒素負荷低減対策の検討調査を実施するとともに、窒素負荷低減計画の作成を検討しました。その結果、硝酸性窒素による地下水の汚染状況及び汚染原因についておおむね把握をすることができ、それに基づいて適正な施肥の推進や堆肥の有効利用、生活排水対策、家畜排泄物の適正処理の推進、地下水の保全や施肥に関する啓発活動等、地域の実情に応じた様々な窒素負荷低減対策を実施しました。
また、本事業では、硝酸性窒素による地下水汚染の浄化技術として、生物的脱窒を利用した原位置浄化技術(岐阜県)、電気透析法を利用した汚染除去技術(福岡県)の実証調査を実施しました。その結果、汚染現場での浄化の効果がある程度確認されましたが、浄化能力の季節的変動等の技術的課題、経済的課題等が示されました。
 今後は、これらの成果を下に、地域の実情に応じた効率的かつ効果的な窒素負荷低減対策の推進、広がりのある汚染現場に適用できる浄化技術の開発・普及等が重要となります。

 本事例集は環境省ホームページに掲載しておりますので、ご活用下さい。
硝酸性窒素による地下水汚染対策事例集

添付資料

連絡先
環境省環境管理局水環境部土壌環境課
地下水・地盤環境室
 室長:志々目友博(内線6670)
 補佐:瀬戸 俊彦(内線6671)
 補佐:坂口 芳輝(内線6672)
 担当:小沼 信之(内線6675)

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