報道発表資料

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1996年11月28日

騒音評価手法等の在り方について

 本年7月25日付けで中央環境審議会に対し諮問された「騒音の評価手法等の在り方について」の同審議会騒音振動部会騒音評価手法等専門委員会中間報告がまとめられた。
 本報告では、
(1) 騒音の評価手法としては、これまでの騒音レベルの中央値(L50)から等価騒音レベル(LAeq)に変更することが適当であること
(2) 一般地域における環境基準について、
(1) 騒音影響に関する基礎指針としては、夜間屋内で35dB以下、昼間屋内で45dB以下、昼間屋外で55dB以下とすることが適当であること
(2) 一般地域の住居系地域における環境基準の指針値として、夜間屋外で45dB以下、昼間屋外で55dB以下とすることが適当であること
等がとりまとめられた。
 今後、同専門委員会において更に審議を進めていただき、騒音環境基準の在り方については本年度末を目途に答申をいただき、自動車騒音に係る要請限度の評価手法の在り方等については、その後引き続き所要の検討を行っていただく予定である。
I 中間報告の概要
 本年7月25日付けで中央環境審議会に対し諮問された「騒音の評価手法等の在り方について」については、同審議会騒音振動部会に騒音評価手法等専門委員会が設けられ、最新の科学的知見の状況等を踏まえ、騒音環境基準における騒音の評価手法の在り方、及びこれに関連して再検討が必要となる基準値等の在り方について審議が行われている。
 このうち、騒音環境基準における騒音の評価手法の在り方及び一般地域のうち主として住居の用に供される地域(以下「住居系地域」という。)における環境基準の指針値等について検討結果が中間報告としてとりまとめられ、本日開催された騒音振動部会に報告され了承された。
 その概要は次のとおりである。
1 騒音の評価手法の在り方について
 騒音環境基準における騒音の評価手法の在り方については、その基本的特性や国際的な動向について総合的に判断し、測定に係る一部課題はあるものの、騒音の評価手法としては、これまでの騒音レベルの中央値(L50)から等価騒音レベル(LAeq)に変更することが適当である。
2 評価手法の変更に伴う環境基準値の再検討に当たっての考え方
 騒音評価手法の変更に伴う環境基準値の再検討に当たっては、現行環境基準が設定されてから約25年が経過し、この間に騒音影響に関する新たな科学的知見の集積、建物の実態の変化等が見られることから、騒音影響に関する科学的知見については、睡眠影響、会話影響、不快感等に関するLAeqベースの新たな知見を検討するとともに、建物の遮音性能については、その後の建物の実態を踏まえて適切な遮音性能を見込むこととする。
 その上で、都市騒音の実態等に鑑み地域補正を行うこととし、一般地域については、現行の騒音環境基準と同様にA(住居系地域)、B(住・商工混在地域)、AA(特に静穏を要する地域)の類型毎に基準値を設定するとともに、沿道地域の基準を別に設定することとする。
3 一般地域における環境基準の指針値等について
(1)騒音影響に関する基礎指針
1

睡眠影響
 睡眠影響を生じさせないためには、通常の場合、屋内で35dB以下、特に配慮を要する者(病人等)については、これより低いことが望ましい。
2 会話影響
 1mの距離でくつろいだ状態で話して100%明瞭な会話了解度を達成するためには、通常の場合、屋内で45dB以下、会話聴取について特に配慮を要する者(高齢者等)については、これより低いことが望ましい。
3 不快感等
 不快感等を防止し平穏な生活を維持するためには、通常の場合、屋外で55dB以下であることが望ましい。
(2)一般地域の住居系地域における環境基準の指針値
住居系地域については、騒音影響に関する屋内の基礎指針に、窓を開けた生活実態も考慮して建物の遮音性能を10dBと見込めば、屋外において、夜間45dB以下、昼間55dB以下となり、これは屋外の望ましい基礎指針をも満たすレベルとなることから、一般地域の住居系地域における環境基準の指針値は、LAeqで、夜間については屋外45dB以下、昼間については屋外55dB以下とすることが適当であると考えられる。
(3)新環境基準の達成期間
達成期間等については、住居系地域における新環境基準については設定後直ちに達成又は維持されるよう努めることとすることが適当であると考えられる。
4 道路に面する地域の環境基準の検討に当たっての課題
沿道地域の環境基準の検討に当たっては、
(1) 騒音影響に関する新たな科学的知見等を検討するとともに、道路交通騒音を巡る状況を踏まえ、その改善方策を含めて検討する必要がある。
(2) 現行環境基準に係る経緯、道路交通騒音の実態を含む現状、諸施策による騒音減少や環境基準達成の見通し等も踏まえつつ、環境基準値の地域補正やその達成期間、改善目標等の取扱いについて検討する必要がある。
(3) 沿道対策を含めて施策の総合的な推進を促すような視点を加味することも検討す る必要がある。
 なお、道路に面する地域の環境基準値等の在り方については、これまでの本委員会における検討の状況を併せて示したが、今後本委員会において引き続き検討し、一般地域における住居系地域以外の地域と併せて、まとまり次第報告する。
II 今後のスケジュール
 同専門委員会において更に審議を進めていただき、騒音環境基準の在り方については本年度末を目途に答申をいただきたいと考えている。
 また、自動車騒音に係る要請限度の評価手法の在り方等については、その後引き続き所要の検討を行っていただく予定である。

(別紙1~8については未掲載、詳細については担当課室までご連絡下さい。)

連絡先
環境庁大気保全局企画課大気生活環境室
室長:鈴木 安次(6540)
 補佐:荒木 真一(6543)
 担当:高橋 尚人(6546)