報道発表資料

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1998年03月12日

整備新幹線(東北、北陸、九州各区間)の建設認可に際しての環境保全上の措置について

整備新幹線(東北:八戸~新青森間、北陸:長野~上越間、九州:船小屋~新八代間)について、平成10年3月12日付けで運輸大臣から日本鉄道建設公団に対して工事実施計画が認可されるに当たり、平成10年3月11日付けをもって、環境庁は運輸省に環境保全上の意見の申入れを行う。
 なお、新幹線に係る環境庁意見の申入れは、これまでも工事実施計画の認可に際して行われているところである。
列車走行等に係る環境保全について
(1) 列車走行に伴う騒音については、音源対策が最も基本的な施策であることに鑑み、最善の騒音低減技術を採用して、沿線の通常の生活を保全する必要がある地域における騒音を75デシベル以下とすることにより、このうち[1]類型の地域においては、更に可能な限り騒音の低減に努め、併せて土地利用対策を含む総合的な施策を講じつつ、新幹線鉄道規格新線の場合も含め、環境基準の達成を図ること。
(2) 列車走行に伴う振動については、新幹線鉄道規格新線の場合も含め、沿線の通常の生活を保全する必要がある地域における振動レベルを70デシベル以下とするよう発生源対策を講じる必要があること。
(3) 駅舎からの排水については、適切な処理対策を講じ、周辺の公共用水域の水質保全に支障を生じないよう万全を期す必要があること。
工事に係る環境保全について
(1) 工事に伴う騒音、振動、濁水等の発生及び地下水への影響については、必要に応じ適切な対策を講じること。また、施工に当たって十分な監視を行い、環境保全に万全を期す必要があること。
(2) 橋梁及びトンネル坑口等の構造物の形状等については、沿線の景観にも十分な配慮を行う必要があること。また、橋脚等の設置に当たっては、河川敷の植生や水生生物の生息について十分配慮し、必要に応じた保全対策を講じること。
(3) トンネル工事に伴う発生土砂等については、極力有効利用を図るとともに、残土等の処理に当たっては、自然環境の保全に支障を及ぼすことのないよう適切な土捨場所の選定等に関する具体的な処理計画を関係機関と調整の上策定し、それに沿って処理するとともに、土砂及び濁水の流出の防止、のり面防護等十分な環境保全対策を講じること。
(4) 工事用仮工作物及び関連工事を含め、地形及び植生の改変を伴う工事の決定及び事業実施にあたっては、計画段階より関係機関に協議を行い、必要に応じて現地調査を行うとともに十分な環境保全対策を講じ、自然環境へ与える影響を最小限にとどめる等、自然環境の保全に支障を及ぼすことのないよう万全を期すること。
(5) 野生生物の保全に関しては、計画路線周辺地域における貴重な野生生物の生息・生育及び鳥獣保護区の存在等を考慮し、貴重な野生生物の保全に関し専門家の意見を聴取し、具体的な工事計画策定までに関係機関と調整すること。また、工事着手以降も含め貴重な野生生物の生息等が確認された場合は、関係機関と協議し、その生息環境の保全に最善をつくす必要があること。
(6) 工事の実施期間が長期にわたることから、工事実施区域及びその周辺の環境の状況の変化等があった場合は、必要に応じて現地調査を行うとともに適切な環境保全対策を実施すること。
地域の実態に配慮した環境保全対策について
 新幹線鉄道の供用に当たっての車両開発、テスト走行等を通じ、騒音・振動の影響を把握し、当該地域の実態に配慮した対策を最大限講じるよう努めること。
環境の状態の把握等について
 供用時における騒音・振動等の環境の状態を把握し、必要に応じて、適切な環境保全対策を講じること。
地方公共団体との連絡調整について
 今後の事業の具体化に当たっては、環境保全の観点から、関係地方公共団体と十分連絡調整を図る必要があること。
連絡先
環境庁企画調整局環境影響評価課環境影響審査室
室  長 :小林 正明(内6231)
 審査官 :辻祐 司  (内6236)