報道発表資料

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2004年05月28日
  • 水・土壌

「ダイオキシン類簡易測定法検討会報告書」について

環境省では、ダイオキシン類の簡易測定法の適用可能性に係る技術的検討を行うため、
専門家からなる「ダイオキシン類簡易測定法検討会」を平成15年5月に設置し、生物検定法による簡易測定技術を中心に検討を進めてきました。今般、その検討結果を「ダイオキシン類簡易測定法検討会報告書」として取りまとめました。
 今後、本検討結果を踏まえ、生物検定法によるダイオキシン類簡易測定技術を公定法を補完する方法として導入するため、制度的事項や精度管理のあり方について中央環境審議会に諮り、検討を行うこととしています。
  1. 背景
     現行のダイオキシン類の測定に係る各種公定法は、高分解能ガスクロマトグラフ質量分析計による超微量かつ高度な測定方法であるため、分析に多大な時間や費用がかかることなどから、簡易で迅速な測定方法の開発・適用が大きな課題となっています。
     このため、様々な簡易測定法の開発が進められてきており、最近、生物検定法による測定方法が有望な簡易測定法の1つとして注目されてきています。
     環境省では、平成15年5月に「ダイオキシン類簡易測定法検討会」(座長:森田昌敏国立環境研究所統括研究官)を設置し、生物検定法を中心にダイオキシン類簡易測定技術の公定法を補完する方法としての技術的可能性について評価・検討を行ってきました。

  2. 検討方法
     生物検定法による簡易測定技術については、検討対象とする簡易測定技術を公募により募集し、要件に該当する技術について、応募機関による共通試料(試薬を調製した標準試料及び実際の廃棄物焼却炉から採取した排出ガス、ばいじん、燃え殻試料)の分析試験(一次、二次)、中立機関による追試及びヒアリングを実施し、技術的評価を行いました。
     また、低分解能ガスクロマトグラフ質量分析計による簡易測定技術については、平成12~14年度に環境省が実施したダイオキシン類簡易測定法実証調査のデータをもとに技術的評価を行いました。

  3. 検討結果
    (1)生物検定法によるダイオキシン類簡易測定技術
     応募のあった13技術のうち、要件に該当する11技術について、ダイオキシン類が生体内で毒性発現する際にAhレセプター(アリール炭化水素受容体)に結合することを活用した「Ahレセプターバインディングアッセイ法」である3分類(「レポータージーンアッセイ法」、「抗Ahレセプター複合体抗体を用いたイムノアッセイ法」及び「AhレセプターアッセイPCR法」)及びダイオキシン類に対して特異的に反応する抗体による抗原抗体反応を活用した「抗ダイオキシン類抗体を用いたイムノアッセイ法」の4種類の技術分類に分類し、[1]公定法による毒性等量値との比較、[2]定量下限値、[3]測定値のばらつきなど分析方法としての安定性及び[4]分析時間及び費用面での簡易性の観点から検討・評価を行いました。

    生物検定法による簡易測定技術の技術分類

     検討の結果、「Ahレセプターバインディングアッセイ法」である3分類については、概ね各評価項目を満足しており一定の技術的レベルにあると評価されました。一方、「抗ダイオキシン類抗体を用いたイムノアッセイ法」については、現段階においては、各評価項目を十分満足している状況にはないが、更なる改善を図ることにより、各評価項目を満足する可能性のある技術もあると評価されました。(検討の概要は別紙参照。)
     以上のことから、生物検定法による簡易測定技術は、技術的観点から、現行の公定法を補完する方法として適用可能なものであると結論づけられました。

    (2)低分解能ガスクロマトグラフ質量分析計によるダイオキシン類簡易測定技術
     低分解能ガスクロマトグラフ質量分析計による簡易測定技術は、施設の日常管理やスクリーニングなどへの適用可能性が評価されました。

  4. 今後の対応
     環境省では、上記検討結果を踏まえ、今後、生物検定法による簡易測定技術を公定法を補完する方法として導入していくに当たり、適用範囲及び条件、個別技術の認定のあり方などの制度的事項や精度管理のあり方などについて、中央環境審議会に諮り、検討を進めていくこととしています。

 <参考>

ダイオキシン類簡易測定法検討会検討員(50音順、敬称略、○:座長)
  伊藤 裕康 独立行政法人国立環境研究所化学環境研究領域計測管理研究室主任研究員
  酒井 伸一 独立行政法人国立環境研究所循環型社会形成推進・廃棄物研究センター センター長
  半野 勝正 千葉県環境研究センター廃棄物・化学物質部化学物質研究室上席研究員
  宮田 秀明 摂南大学薬学部 教授
 ○ 森田 昌敏 独立行政法人国立環境研究所 統括研究官
  渡邉 肇 大学共同利用機関法人自然科学研究機構
岡崎統合バイオサイエンスセンター 助教授

ダイオキシン類対策
 ダイオキシン類簡易測定法検討会報告書

添付資料

連絡先
環境省環境管理局総務課ダイオキシン対策室
室長 須藤 欣一(内6532)
 補佐 太田志津子(内6579)
 係長 山井 毅 (内6571)

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