報道発表資料

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1996年11月25日

光触媒によるNOx浄化建材の実用化調査の開始について

窒素酸化物(NOx) の濃度が高い幹線道路交差点周辺等の大気環境を改善するため、環境庁及び公害健康被害補償予防協会は高濃度汚染を改善する技術の調査研究を進めてきた。その結果、「光触媒を用いたNOx 浄化システム」が有力な手法の一つとして最近浮上してきた。
 このような背景から、公害健康被害補償予防協会は平成7年度から大阪府に「光触媒によるNOx 浄化建材の実用化調査」を委託してきたが、このたび、大阪市西淀川区出来島地区(国道43号沿道)においてフィールド試験に着手することとし、別添のとおり、本日、大阪府がその内容について報道機関に情報提供することとなったのでお知らせする。

 大阪府担当者
大阪府環境保健部環境局交通公害課 主幹兼自動車排ガス係長  山本 宏司
(TEL 06-944-6717 直通)

別添

「光触媒によるNOx浄化建材の実用化調査」の開始について

 大阪府では、平成5年11月に策定した「大阪府自動車排出窒素酸化物総量削減計画」に基づく高濃度汚染対策の一環として、道路沿道の大気を直接浄化する、「光触媒によるNOx浄化建材の実用化調査に取り組んでおり、昨年度は試作試料による室内分析等を行いました。
 本年度は、環境庁や公害健康被害補償予防協会、関連企業等の協力を得て、光触媒を用いた新しい建材を製作し、これを自動車交通量の多い国道43号沿道の道路建造物等に試験的に取り付け、自動車排出ガスで汚れた大気の浄化能力や建材の耐久性など総合的な実用化調査に着手いたしますのでお知らせします。
 光触媒とは、太陽などの光の作用によって物質を分解したり合成したりできるものをいいますが、今回、光触媒として用いているニ酸化チタンは、化粧品などの顔料や繊維製品等にも広く使用されているもので、太陽光によって窒素酸化物(NOx)等の大気汚染物質を分解することが知られています。
 このような性質を持つ光触媒の建材等への応用は、クリーンで無尽蔵の太陽光エネルギーを利用した大気浄化技術として、最近、エネルギーや環境分野で注目されている最先端技術です。

11月28日(木曜日)午後1時から2時まで、
現地で測定装置等のテスト運転を行います。

1. 調査目的
 国道43号沿道の歩道や塀等に光触媒建材を取りつけ、沿道の汚れた大気の浄化性能を把握するとともに、建材の自然条件下での耐候性や浄化性能の持続性等について調査し、実用化に向けた基礎資料を得ることを目的とします。

2. 調査場所
  大阪市西淀川区出来島2丁目(国道43号 出来島小学校の塀及び歩道) (別図)

3. 調査期間
  平成8年12月 2日~平成9年3月上旬

4. 調査対象の建材等

 No.  建材等 光触媒の加工方法
 A セメントモルタル  スレート板に光触媒混入セメントを吹き付け塗布
 B 無機系塗料 スレート板に光触媒(無機系)塗料を塗布
 C 無機系塗料 アルミ板に光触媒(無機系)塗料を焼き付け塗装  
 D ガラス ガラスに光触媒をコーティング
 E 無機系塗料 軽量発泡コンクリートに光触媒(無機系)塗料を塗装  
 F 歩道敷石 セメントブロック表面に光触媒を混入し、一体成形

注)建材の施工面積は、A~Eが約15m2、Fは約50m2で、触媒メーカー等の協力を得て製作

5. 調査内容
 曝露試験、通気試験を行い、建材による大気浄化性能を把握するとともに、耐候性や耐久性などについても評価します。
 なお、期間中は、大阪府の大気汚染測定車により、窒素酸化物等の浄化性能を定量的に把握するとともに、風向・風速や日射量、雨量の観測などの総合的な調査を実施します。
 調査結果については、学識経験者の意見を伺いながら評価・解析し、光触媒建材の改良点など今後の課題を整理するとともに、実用化に向けての基礎資料とします。

「参考 調査地点の状況について」と「光触媒によるNOx浄化建材の調査場所」については添付ファイル参照。

添付資料

連絡先
環境庁大気保全局自動車環境対策第一課
課長    小沢 典夫(TEL 6520)
 課長補佐 立川 裕隆(TEL 6525)
特殊法人 公害健康被害補償予防協会
         (TEL 03-3586-6041)
 基金事業部長     吉田 徳久
 基金事業部事業課長 柳橋 泰生