報道発表資料
平成16年3月29日(月)に開催された中央環境審議会動物愛護部会(部会長:竹内啓東京大学名誉教授)において、環境大臣から諮問された「展示動物の飼養及び保管に関する基準の見直し」について、これまでの審議を踏まえて、答申がなされたのでお知らせします。環境省では、本答申を踏まえ、4月下旬を目途に、新基準を告示する予定です。
- 背景及び経緯
○ 「展示動物の飼養及び保管に関する基準(昭和51年)」は、動物愛護管理法に基づき定められているペット販売店や動物園等の動物を対象にした飼養保管方法のガイドラインです。 ○ 同基準は、策定後、約28年が経過しており、今回、平成11年の法改正によるペット販売店等の届出規制導入の趣旨等を踏まえ、内容を見直すこととしたものです。 ○ 基準の見直し案については、昨年の12月より、中央環境審議会動物愛護部会(竹内啓部会長)において審議を行ってきました。 ○ なお、平成16年1月26日~2月25日にパブリック・コメントを実施しております。 - 見直しのポイント
○ ペット販売店等の届出規制の導入(平成11年法改正)等を踏まえ、動物園・水族館中心であった現行基準を拡充し、ペット等の販売・繁殖施設等における飼養保管方法の適正化を推進。 (例) ・販売施設等における飼養保管方法(施設の構造、展示時間等)の改善 ・親子一緒の飼育など、幼齢動物における社会性の確保措置の実施 ・適正な繁殖方法の推進(遺伝性疾患や過重な妊娠の防止) 等 ○ 動物の飼養保管環境の向上等に対する社会的要請を踏まえ、その飼養保管環境をより豊かなものにすること等を推進。 (例) ・生息地等を模した環境の提供等、習性が発現できる豊かな環境の確保 ・計画的な繁殖及び繁殖制限措置の実施と終生飼養の確保の徹底 ・高齢、幼齢、妊娠中又は疾病動物等に対する適切な対応の推進 等 - 基準の概要
○一般原則・ 展示動物を、愛情と責任をもって適正に飼養保管するとともに、豊かな飼養保管環境の構築に努めること。 ・ 展示動物の種類の選定に当たっては、施設の立地及び整備の状況、飼養保管者の飼養能力等を考慮するよう努めること。 ・ 施設の収容力、展示動物の年齢、健康状態等を勘案し、計画的な繁殖を行うよう努めること。 ・ 展示動物の終生飼養に努めること。やむを得ず殺処分しなければならないときは、できる限り苦痛を与えないように努めること。 ・ 哺乳類、鳥類又は爬虫類に属する動物であって、動物園、水族館等で飼養保管され、人とのふれあい等を目的として飼養保管され、又は、販売や繁殖を行うために飼養保管されているもの。 ・ 展示動物による危害防止及び展示動物の逸走防止に努めること。 ・ 飼養保管及び施設の整備に当たっては、必要な運動、休息及び睡眠を確保するとともに、動物本来の習性が発現できるように努めること。 ・ 施設を常に清潔にすること等により、生活環境の保全に努めること。 ・ 感染性の疾病に関する知識の修得等に努めること。 ・ 輸送に当たっては、展示動物の健康及び安全の確保並びに展示動物による人への危害及び環境保全上の問題の発生の防止に努めること。 ・ マイクロチップ等による個体識別措置の実施及び記録台帳の整備に努めること。 ・ 施設の廃止に当たっては、動物を他の施設等へ譲り渡すように努めること。 ・ 動物本来の形態、生態及び習性を観覧できるように努めること。 ・ 演芸等は、過酷なものとならないように努めること。 ・ 観覧する場所の構造等は、人と動物の接触によって危害が生じないようなものにするよう努めること。 ・ 移動動物園にあっては、十分な休養等により、展示動物の健康と安全の確保が図られるように努めること。 ・ 動物とのふれあいは、十分な知識を有する飼養保管者の監督の下で行われるように努めること。 ・ 適切な構造の展示施設を整備するとともに、販売動物に過度の苦痛を与えないよう、展示の時間等を適切なものにするよう努めること。 ・ 繁殖には、遺伝性疾患が生じる動物、幼齢動物及び高齢動物を使用しないように努めること。また、みだりな繁殖による過度の負担を避けるよう努めること。 ・ 販売に当たっては、社会化期の確保、販売先の終生飼養の確認等に努めること。 ・ 動物本来の形態を撮影するよう努めること。 ・ 撮影時間、環境等を適切なものとし、動物に過度の苦痛を与えないように努めること。 - 今後の予定
平成16年4月下旬を目途に告示する予定です。
添付資料
- 連絡先
- 環境省自然環境局総務課動物愛護管理室
室長: 東海林 克彦(6484)
室長補佐:岡部 久 (6427)