報道発表資料

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1996年11月21日

第21回国際熱帯木材理事会(ITTC)の結果について

国際熱帯木材協定(ITTA)に基づき設置された国際熱帯木材機関(ITTO)の第21回理事会が、11月13日から20日まで横浜市のパシフィコ横浜にて開催された。
 今回会合では、ITTOのプロジェクトとして新たに計26件のプロジェクトが承認されたほか、来年1月に1994年の国際熱帯木材協定が発効することを受け、新協定の下での今後のITTOの活動のあり方等についての検討が行われた。

1.日時等

  日時:11月13日(水)から20日(水)
  場所:パシフィコ横浜(横浜市)
  参加者:国際熱帯木材協定(ITTA)加盟の全53ヶ国・地域のうちの
       44ヶ国・地域、及び国連食糧農業機関(FAO)等の国際機関、
       NGO等から約180名が出席
       なお、我が国からは、環境庁、外務省、林野庁他が出席

2.経緯

 1983年11月に、熱帯木材に関する商品協定として、「1983年の国際熱帯木材協定(ITTA)」が採択された。ITTAは、熱帯木材に関連する生産国と消費国との間の協力の促進を通じ、熱帯木材の貿易の拡大及び価格の安定・供給の安定を図ることを目的としている。
 1986年には、ITTAの実施機関として国際熱帯木材機関(ITTO)が設置された(本部:横浜)。ITTOは、ITTAの目的達成のため、熱帯林の保全と持続可能な管理及び持続可能な熱帯木材貿易を進めるための各種活動を行ってきており、これまでに理事会で採択され、ITTOより資金を拠出したプロジェクトは約300にのぼる。
 国際熱帯木材理事会(ITTC)は、ITTOの活動内容等をITTA加盟国により決定するために半年に1度行われている定例の理事会である。今回理事会では、1994年に採択されたITTA新協定(参考参照)が来年1月に発効することが決まったことを受け、今後の新協定の下でのITTOの活動のあり方等について検討が行われた。

3.結果概要

 今回会合では、計11の決議が採択された。主要な決議の概要は以下のとおり。

(1)プロジェクト及びプレ・プロジェクト(本格的なプロジェクトに先立って実施される準備調査的なプロジェクト)
 3つの常設委員会(経済・市場情報、造林及び森林管理、林産業)において各国等から提案のあったプロジェクトについての検討が行われ、計26のプロジェクト及びプレ・プロジェクトが新たにITTOのプロジェクトとして採択された。

(2)ボリビアにおける持続可能な森林管理の促進
 1994年の第17回ITTCで、ボリビアに持続可能な森林管理を促進するためのITTOのミッションを派遣することが決議され、調査が行われてきたが、今回会合においてその結果報告が行われたことを受け、ボリビア政府及び各加盟国に対する、ボリビアにおける今後の持続可能な森林管理の達成のための取組のあり方について決議された。

(3)ITTO行動計画の見直し
 新協定の発効を控え、2000年目標(2000年までに国際貿易される熱帯木材を持続可能に管理されている供給源からのもののみとするとの目標)達成のため、専門家パネルを設け、ITTOの行動計画の見直しに向けた検討作業を開始することが決議された。

(4)持続可能な森林管理の判断規準・指標
 新協定の発効、及び持続可能な森林管理の判断規準・指標に関する取組の成果等を踏まえ、1992年に作成された「持続可能な熱帯林管理手法の判断規準」について、専門家パネルを設け、その内容の見直しに向けた検討作業を開始することが決議された。

 これらの決議のほか、1996年度会計及び1997年度予算、熱帯木材の市場参入機会の促進、ITTOにおけるプロジェクトの承認から成果の評価に至る段階を追った仕事の段取り(プロジェクトサイクル)の強化等についての決議が採択された。

4.今後の予定

 第22回理事会 1997年5月21日~29日 ボリビア・サンタクルス
 第23回理事会 1997年11月12日~20日 横浜

(参考)
・国際熱帯木材協定(ITTA)
 ITTAは、1983年に熱帯木材に関する商品協定として採択されたもので、熱帯林に関する経済分野における生産国と消費国の協力の枠組みを作り、熱帯木材の国際貿易の拡大及び価格の安定化を図るとともに、熱帯林の持続的利用と保全、生態学的均衡の維持のための国内政策の発展を奨励することを目的としている。
 1983年の協定の有効期間が1994年3月末日までとなっていたことから、1992年から協定の改訂交渉が行われ、1994年1月に新協定が採択された。新協定では、2000年目標達成のために生産国の森林の管理能力の強化を図るとの条文が盛り込まれたところであり、これによって熱帯林保全に向けての国際的枠組みが一層強化された。また、新協定の採択に際し、温帯・北方林についても持続可能な管理を実現していくとの声明を日本を含む関係各国は発表した。我が国は、1995年5月、国会での承認を受けて正式に新協定を受諾している。本年9月には、新協定が1997年1月1日をもって発効することが決定された。

連絡先
環境庁企画調整局地球環境部環境保全対策課
課長 :小林 光  (6740)
 補佐 :河崎 哲久(6737)
 担当 :常冨 豊  (6739)