報道発表資料

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2004年03月03日
  • 自然環境

カルタヘナ議定書第1回締約国会議の結果について

カルタヘナ議定書第1回締約国会議が2月23日(月)~27日(金)の日程で、クアラルンプール(マレーシア)にて開催された。遺伝子組換え生物等の取扱、輸送、包装及び表示の詳細な要件、議定書の遵守を促進し不履行の事案に対処するための手続き等に関し決議が採択された。

1.これまでの経緯

  •  「生物の多様性に関する条約のバイオセーフティに関するカルタヘナ議定書」(以下「議定書」という。)は、遺伝子組換え生物の使用による生物多様性への悪影響を防止することを目的として、2000年1月に採択され、議定書発効に必要な50カ国が締結した日から90日後の2003年9月11日に発効。
  •  我が国は、これに対応する国内法として「遺伝子組換え生物等の使用等の規制による生物の多様性の確保に関する法律」(以下「カルタヘナ法」という。)及び関連する政省令等の整備を進め、2003年11月21日に議定書を締結。
  •  2004年2月16日現在、86カ国及びECが議定書を締結している。

2.議定書第1回締約国会議の開催

(1)開催地・会議期間:クアラルンプール(マレーシア) 2004年2月23日(月)~27日(金)(生物多様性条約第7回締約国会議に引き続き開催)

(2)締約国会議の主な結果

  •  輸入締約国の意思決定を容易にするための手続及び制度について
     輸入締約国が、輸出国からの遺伝子組換え生物の輸出に関する通告を受け、輸入に関する決定ができない場合に、事務局を通じて専門家の名簿による支援を受けること等を内容とする手続及び制度が決議された。
  •  バイオセーフティに関する情報交換センター(Biosafety Clearing-House:BCH)の活動内容について
     これまでの事務局によるBCHパイロットフェーズの運用経験を踏まえ、BCHの全面的な運用段階に移行することが決議され、BCHの役割、性格、運用、BCHフォーカルポイントの役割等を含むBCHの運用の形態を決めた附属書が決議された。
  •  遺伝子組換え生物等の取扱い、輸送、包装及び表示の詳細な要件について
     食料、飼料及び加工用の遺伝子組換え生物の輸出に際して添付する文書の内容については、議定書において発効の日から2年以内に文書添付に関する詳細な要件を定めることとされている。この点について議論がなされ、添付文書には輸出者、輸入者又は他の適当な機関に関する連絡先の詳細を示すこと、専門家グループにより文書内容と取扱いの詳細について検討し、次回締約国会議で検討すること等が決議された。
     また、拡散防止措置の下での利用を目的とする遺伝子組換え生物及び環境への直接導入を目的とする遺伝子組換え生物の輸出に際して添付する文書の内容については、遺伝子組換え生物の名前を含めること等記載すべき内容の細部がそれぞれにつき決議された。
  •  議定書の遵守を促進し不履行の事案に対処するための手続きについて
     議定書では第1回締約国会議において、議定書を遵守することを促進し、不履行の事案に対処するための協力の手続及び制度を検討することとされている。今回会合では遵守を促進する協力的な制度として、遵守委員会の設置、不履行が見られた際の遵守委員会への事案の提出手順、遵守委員会及び締約国会議がとる対応等が決議された。遵守委員会については、地域バランスを考慮し15名の委員が選定され、第2回会議以前に委員会が開催されることが決議された。
  •  遺伝子組換え生物等の国境を越える移動から生ずる損害についての責任及び救済に関する国際的な規則及び手続について
     議定書において4年以内に責任及び救済に関する国際的な規則及び手続きを適宜作成するための作業を完了することとされており、今回会議では責任と救済に関する専門家会合を設立すること及び当該会合への付託事項の内容について決議された。

3.その他

 第2回締約国会議は2005年の第2四半期に開催されることが決まった。
連絡先
環境省自然環境局野生生物課
課長  :名執 芳博(6460)
 課長補佐:水谷 知生(6468)