報道発表資料

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2004年02月25日
  • 保健対策

第8回ジフェニルアルシン酸に係る健康影響についての臨床検討会の検討結果を踏まえた対象者等の確認について

本日行われた第8回ジフェニルアルシン酸に係る健康影響についての臨床検討会の検討結果を踏まえ、「茨城県神栖町における有機ヒ素化合物による環境汚染及び健康被害に係る緊急措置事業」について、今回、新たに11人の申請者をこの事業の対象者として確認するとともに、4人の申請者をこの事業の対象外として確認するなど、以下のとおり確認等を行いました。
 対象者に対する医療手帳の交付及び対象外の通知は、茨城県を通じて本日行われます。
 本日の新たな手帳の交付により、緊急措置事業の対象者は、110人となりました。

1 申請状況等について(2月25日現在)

(1) 申請者数 315人
(2) 対象者数 110人
(3) 棄却者数 184人
(4) 分析調査中 21人


2 A井戸及びB井戸を中心とした地域への対応について

  環境省では、昨年5月から「さがみ縦貫道路周辺地域等化学物質調査検討会(専門家検討会)」の意見を聞きつつ汚染源調査を実施してきたところ、平成15年12月10日の同検討会において、ジフェニルアルシン酸による地下水汚染の範囲は、いわゆるA井戸及びB井戸を中心とした半径500m以内及び2円に共通する接線の内側(以下「ABトラック内」という)に限定されていることが明らかとなった。

(1) ABトラック内低濃度総ヒ素井戸について
汚染源調査の一環として検査されたABトラック内109井戸のうち20井戸からジフェニルアルシン酸が検出された。このうち1井戸については総ヒ素値が環境基準値(0.01mg/l)以下であった。(平成15年12月10日)この1井戸の世帯について生体試料を分析したところ、世帯員全員の試料からジフェニルアルシン酸が検出された。(平成16年2月19日)
ABトラック内において総ヒ素が0.01mg/l以下で検出された井戸は、平成15年3月~4月に茨城県が実施した行政調査によると178井戸存在する。総ヒ素値が環境基準値以下の井戸については、これまで水道への転換の指導はなされていたが、飲水中止の指導はなされていなかった。
 
<対応方針>
[1] ABトラック内については、県はABトラック内での飲水中止について指導すべきである。
[2] 178井戸について、国はジフェニルアルシン酸の分析を早急に行うべきであり、県はジフェニルアルシン酸が検出された場合にはあらためて飲水中止を指導するとともに、緊急措置事業に基づく申請を勧奨すべきである。

(2) ABトラック内未申請者について
ABトラック内で総ヒ素値が環境基準値を越えて検出された64井戸については、県の指導の下、水道等への転換がなされ、昨年11月末の時点で当該井戸からの飲水はすべて中止されていることが確認されている。
一方これら64井戸中、34井戸については、緊急措置事業に基づく申請が現在もなされておらず、当該井戸のジフェニルアルシン酸に係る検査が未実施の状況である。
 
<対応方針>
[1] 県は34井戸の世帯に対し個別世帯毎に積極的な申請勧奨を行うべきである。
[2] [1]と併行して、国は34井戸のジフェニルアルシン酸の分析を早急に行うべきである。


3 健康診査について

  医療手帳交付対象者のうち、15才以下の小児については、全員について発達検査の追加が必要であることが確認されました。


(参考)

1   緊急措置事業の手帳交付対象者は、申請者のうち、飲用井戸水及び爪、毛髪などの生体試料からジフェニルアルシン酸が検出された者。
2   手帳交付対象者に対しては、健康診査の実施、医療費(自己負担分)及び療養手当を給付。
連絡先
環境省総合環境政策局環境保健部
旧軍毒ガス等問題に係るプロジェクトチーム
 上家 和子 (内線 6330)
 渡辺 隆彦 (内線 6331)